Bayside EP ライナーノーツ vol.2 ~楽曲紹介~
今回音源を作るにあたって「ベッドルームポップ」というキーワードを強く意識しました。
USインディ等で多用されるジャンル名ですが、自分のイメージだと
「少しチープな録音環境で作られたローファイな宅録音楽」というイメージがあります。
(近年のベッドロームポップはかなりハイファイなものもあると思いますが)
自分の思い描くベッドルームポップの理想像の一つはフィリピンの「Mellow Fellow」です。籠った音像とメロウな楽曲、それとノスタルジーな映像が合わさったMVにはかなりハマりました。
あと大阪のバンド「the mellows」もホリデイレコーズ経由で知ってから何度も聴きました。こちらも籠った宅録風の音ですが、楽曲自体は日本語で歌われるノスタルジックなシティポップでちょっと昭和な雰囲気も含めてとても好きになりました。
ヴェイパーウェイヴ以降の感覚・キーワード意識的に取り入れているところも現代的な感じがして好きです。
近年好きだったこれらのアーティストもイメージして音源を作ったところもあります。
【楽曲紹介】
①シベリア
この曲は仕事中に鼻歌で作りました。
当時彼女とあまりうまくいっておらず、平和な関係を望んでいたのでそれが歌詞に出たのかなと思っています。
シベリアという単語の持つ昭和感や、お菓子としてあまりスタンダードではないちょっとイビツな感じが気に入っています。
楽曲自体は昭和ノスタルジーなフォークソングだと思うのですが、それをあえてベッドルームポップ的なアレンジでまとめています。
他の楽曲同様ですがギターにはモジュレーション系のエフェクトを多用して、ローファイな音にリバーブを効かせてサイケな音像にしています。
マックデマルコがフレーズを引用したことで再評価された「セキトオシゲオ」というアーティストがいて、その音源をよく聴いていたのでシンセはそれをイメージして入れました。
サビ部分だけ打ち込みにディレイをかけたり、全体的にドープで酩酊感のある音を目指して作っています。
※「RADIO INDIES #3 」にてこの曲が選曲されています
ヒップホップ、R&B志向の強いプレイリストの中に入っていたのがとても面白いなと思いました。嬉しいです。
ラジオトークのテーマがちょっとヤバめでそれも面白いなと思いました。
②ロンリー・ライフ
これは仕事を辞めて無職の時に作りました。
当時、30歳を超えて無職の童貞だったので...ルサンチマン的なものがピークに達していたように思います。その時の感覚をドキュメントしたような曲だなと今になって思います。
コード進行や歌詞も自分にとっては手グセみたいなものなので、あっという間にできた曲という印象があります。
卑屈な内容の歌なのに、軽快なメロディやサウンドに乗せるとさわやかに聴けてしまう、それがポップスの面白さなのかな、と思います。(とってつけたようなことを...)
実はけっこう前からソロライブで弾き語りをやっていたので動画もあります
※当時はオザケンをもじってタイトルをつけたのですが意味性が強かったり・ギミック感のあるものが今の気分ではなかったので改名しています
今回音源にすることでジャングリーなネオアコ・ギターポップとして仕上げています。ただ、音作りは他の楽曲同様リバーブ・コーラスを深めにかけて、籠ったサイケな音作りにしています。
宅録だからバンド感を出したくないという気持ちもあったのですが、楽曲を生かすアレンジを検討した結果、躍動感のあるバンドっぽいリズムアレンジになっています。
軽快でさわやかな感じがちょっとカジヒデキさんっぽい気がして気に入っています。(カジさんはこんな内容は歌わないと思いますが...)
こちらの「Fallout Radio Show」にて最近取り上げていただいています。
ジャングリーなギターポップ(Northern Portrait、Camper Van Beethovenなども!)の中に自分の曲が入っていて、とてもうれしいです。
今まで歌詞が面白いといわれることが多かったので、最近は海外の方に聴いてもらえるのもうれしいです。
③アプローチ
これは当時SuchmosやPAELLASを聴いていて、自分もインディなソウル・R&Bに挑戦してみたいなと思って作った曲です。たしか電車の中で鼻歌で作曲しました。
ただ、あまりに作ったことのないジャンルの曲だったので、どう形にすればいいのか...と思っていました。
今年の初めにソロのライブに誘ってもらった時にライブを打ち込みでやる というアイデアがあったので、その時に試しにトラックを作ったら思いのほか良かったので、それをベースに組み立てていきました。
※他の音源もその時に作ったトラックをベースに組み立てています
タイトルにもしていますが音楽性はまさに自分にとっては新しいアプローチで歌詞の内容もそれに準じた新しい場所へ行こう的なものになっています。
彼女経由でスピリチュアルな考え方を知ったこともあって、それに影響を受けて書いています。
この曲を友達に聴かせた時にアジアの猥雑な風景が見えた と言われたのですが、自分の育った場所がインドネシアなので、そういった原風景が湧き出てきたのかもしれないです。
あらためて聴くとクルアンビンっぽさもあるなぁと感じます
あと、この曲を作り始めたあたりから急にプリンスにハマり始めました。
イントロの怪しい音もプリンスだったら変な音入れるかな...と思って入れたりしています。
楽曲紹介はこんな感じです!
Bandcampフライデーの度にこの音源を思い出すのが習慣になっています。よかったらまだまだ聴いてください!
よろしくお願いします。