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Go to Marketで大切な「ビジョニング」について #SaaSLovers Day1

みなさんこんにちは!あっというまに12月、今日から #SaaSLovers はじめていきます。#SaaSLovers は、有志でSaaSに関するブログを書く企画です。今回で6回目となり、今までで110記事くらい上げています。(noteでは70記事程度をマガジンにまとめています)今回の参加者様は以下の17名の方にお集まりいただきました。1日目は私から!

12月の平日、クリスマスまでブログアップします!

自己紹介

小松昇平と申します。過去10年ほどSaaS企業で働いています。現在はDoubleVerifyという外資系のデジタル広告計測テクノロジー(アドベリフィケーション)企業で働いています。半分SaaS、半分アドテクのような立ち位置の会社です。趣味で、こちらのブログコミュニティ #SaaSLovers を2019年から運営しています。

今回のテーマ:Go to Marketで大切なこと

私は外資系企業での勤務経験が多く、その中でも日本法人の立ち上げフェーズでの勤務が多いです。すでにある製品を新市場へ進出させる、いわゆるGo to Marketのフェーズです。外資系企業のGo to Marketの特徴として、スタートラインが、「業務がない」「価値が分からない」「ニーズがない」というないないづくしが挙げられます。このような段階で大切なことは何か、紹介できればと思います。

ゼロからのスタート

立ち上げフェーズは、上記で説明したように何もないところからのスタートとなります。ないないづくしをもう少し深掘ると、以下のようになります。

ないないづくしの説明

この中で、一番最初に取り組むべきポイントは「ニーズ」だと考えています。ニーズには、潜在ニーズと顕在ニーズが2つあります。ニーズが顕在化していれば、ニーズに対して提供するサービスの価値をわかりやすく伝えることが次のステップです。価値が伝われば、具体的な業務の話につなげることができます。
立ち上げフェーズの場合、お客様側もニーズがあるかどうかわからない、知らない状態です。まだ見ぬ潜在化されたニーズに対して、ニーズを感じていただくところから提案をしていく必要があります。

ビジョンを持つ

このようなフェーズで最も重要なのは、ビジョンを持ち、伝えていくことだと感じています。現在私が所属するDoubleVerifyは下記のビジョンを掲げて事業展開しています。

Make the Digital Advertising Ecosystem Stronger, Safer and More Secure
(デジタル広告のエコシステムをより強く、より安全に、よりセキュアに)

https://doubleverify.com/company/

簡単に解説すると、DoubleVerifyはデジタル広告の掲載面品質を測定し、不適切なコンテンツと一緒に広告が出ないようするサービスを提供しています。業界の名前としてはアドベリフィケーション(Ad Verification)というのですが、おそらくこのブログの読者のほとんどの方はご存知ではないかと思います。広告業界で働く方も名前はなんとなく知っているが詳細は知らない、自分には関係ない、と思われている方が大半です。

ビジョニング:関係するステークホルダーとの接点作り

以上のようなビジョンを市場に対して伝えていき、ニーズを喚起していくことが最優先です。(正しい言葉の使い方か分かりませんが、私はビジョンの伝達活動をビジョニングと呼んでいます
ビジョンは一方的に伝えるものではなく、伝えたい相手との双方向のやりとりで、お互いに対話しながら理解を深めていくものだと個人的には考えています。ビジョンの啓蒙と言っても良いかもしれません。
伝えたい相手である「市場」と言っても市場にはさまざまなステークホルダーがいますよね。ここでは一例として、現職のDoubleVerifyを例にとって簡単に整理して共有できればと思います。

ステークホルダーの一例

・関係省庁

日本でサービス提供する以上、当然ですが日本の法令に基づいて事業展開をしていく必要があります。DoubleVerifyの場合、いくつか間接的に関わる法令があります。例えば、デジタルプラットフォーム取引透明化法です。これらの法整備の状況をキャッチアップしつつ、自社のビジョンと照らし合わせたときの関連性を把握することが大事です。
省庁のご担当者様とお話し合いをして会社としての意見を伝える。逆に、省庁の皆さんがどういうことを考えているのかを教えていただき、理解を深める。直接的な売上には関係しませんが、ビジョニングの足固めとして必要だと感じます。

・業界団体

省庁に加えて、業界団体の皆様も様々な自主規制やルール作りに動いていらっしゃいます。例えば広告業界ですと、2021年4月にJICDAQ(一般社団法人 デジタル広告品質認証機構)と呼ばれる団体が設立されました。DoubleVerifyでは、いち早く業界団体のサービス認証を得ました。
自社の事業が、業界団体のミッション、ビジョンにどうやったらアラインできるか、またどのように貢献できるかという視点も大事だと考えています。

・パートナー企業

DoubleVerifyが提供するアドベリフィケーションは、実際のオペレーションの際には、広告管理画面上で広告運用している代理店様中心にご利用いただくことがほとんどです。そのため、広告代理店様側のミッション、ビジョンを理解しながら協力を仰ぐ必要があります。広告代理店様の中でも、顧客担当、媒体担当、ソリューション担当と色々な役割の方々がいらっしゃいますので、それぞれの方々が成し遂げたいことを理解しながら、サービスを通じて作りたい世界を伝えていくことが大事ですね。

・見込み客

見込み客の皆様との接点は営業活動の観点でももちろん大事です。業界カンファレンスの参加、特に合宿型のカンファレンスに参加することが重要だと感じます。
普段多忙な皆様と腰を据えて意見交換ができるのは貴重な機会です。直接プレゼンテーションを行いビジョンを伝えることもできます。このような機会を増やしていくことで、お客様がどのようなことを考えているのか、自社製品に関する領域だけではなく、周辺領域の理解促進にもつながります。特には「もっとこうした方がわかりやすいよ」とビジョンのメッセージアウトや訴求についても色々とフィードバックをいただくこともできます。

・既存顧客

DoubleVerifyはLand & Expansionのモデルで成長してきた会社です。つまり、お客様のサービス利用を促進し、満足度を高め、結果として対価として売上を増やせるか、をとても大切にしています。収益モデルとカスタマーサクセスが密に紐づいています。
日本法人ができて3期目ですが、既存のお客様と交流を行う機会も実施できるようになりました。直接話を聞き、お客様とお客様を繋げ、DoubleVerifyを使っていただくこと自体を価値に感じてもらう。このような取り組みも非常に重要だと感じております。

課題:ビジョニングと単純化のバランス

以上のような形でステークホルダーと接点を持ち、ニーズを顕在化するためにビジョンを伝えるべく日々働いています。最後に、私が最近抱えている課題について少し紹介させてください。
DoubleVerifyは製品機能がたくさんあり、決して簡単には提案ができないサービスです。それらを単純化してお客様にわかりやすく伝えると言うことを日々考えているのですが、あまりに単純化してしまうと、サービスの提供価値を矮小化してしまうリスクもあると感じています。つまり、ビジョンが伝わりきらず、近視眼的な目線になってしまいます。
一方で、サービスのビジョンと世界観を伝えることにフォーカスしすぎると、「難しい」「わかりづらい」「自分には関係なさそう」などとフィードバックをいただくこともあります。
以上のようなに、長期的なビジョニングと足元の単純化&わかりやすさとのバランスを取ることに試行錯誤している日々です。

上記のような悶々?とした日々を過ごしておりますが、そんな中で拠り所になるのは、仕事を通じて、社会にどのように貢献できるかです。サービス提案を通じて社会がどう良くなるのか。DoubleVerifyの場合は、質の悪いコンテンツ上に広告が出ることで、企業の大切な広告費が無駄になってしまう。質の悪いコンテンツを量産することが正になってしまい、デジタル広告の価値そのものが低下してしまう。以上のような悪い流れを断ち切ることが、自分がちょっとでも社会に貢献できることだと感じております。
まだまだ立ち上げフェーズで大変なことも多いですが、上記のようにビジョンを拠り所にして頑張っていくことで、踏ん張れる時もあるのかなと思います。(なのでビジョニングは働く従業員にとっても大事!)

以上、新しいサービスを世の中に伝えていく際に、どんなことを感じているか、ちょっとだけ共有しました。これをやったら成功する、みたいな結論は特にないのですが、自分も継続的に試行錯誤していければと思います。
これから新しいサービスを市場に投入していこうという方がいらっしゃいましたら、ぜひ意見交換をさせていただけるとうれしいです。特に「ないないづくし」なニッチなサービスの方、ぜひ雑談させてください。

#SaaSLovers 明日の2日目は、坂本達夫さんによる「フィニッシャーの位置に自分を置きに行く:ビジネスで『アオアシ』青井葦人のような決定的な仕事をキメる方法」です。サッカー観戦でお忙しいなか執筆された超大作なはずです!どうぞお楽しみに!

おわり

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Shohei Komatsu(小松昇平)
ありがとうございます。