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大事なことは本質的にお客様の役に立てるかということ~エンタープライズセールス立ち上げの振り返り~
自己紹介
こんにちは!DIGGLEでエンタープライズセールスの立ち上げをしている松本です!
今回が3回目の投稿となります。自己紹介やDIGGLEのセールスの概要はこちらをご覧いただけるとうれしいです。
この1年強、大手企業向けの営業(エンタープライズセールス)に専念してきました。
今回のテーマは「SaaSスタートアップ企業のエンタープライズ開拓における失敗とその乗り越え方、そこからの学びの振り返り」です。
新規でのエンタープライズセールス経験は1年くらいしかないので、解像度やレベルは高くないと思いますが、読んでいただけるとうれしいです。
1.上手くいかなかった期
最初の半年ほど、想像を超える苦戦を強いられました。上手くいかなかった理由を時系列で振り返ります。
1-1.ミッドマーケットと同じ売り方していた期
まず、エンタープライズセールスを始めた時はとりあえず同じ商品だし、同じように売ってみるか、と深く考えず、今まで通りの営業をしてみました。
すると、今までと大差ない確率で有効商談化するものの、受注までは行かない事態に直面しました。
競合他社への失注や案件の延期が増える増える……
検討担当者の方には評価いただけるものの、上司からNGが出た、この機能が無いから……等の理由で失注を数件積み重ね、このままではいけないと思った私はエンタープライズセールスの有識者のみなさんのX(Twitter)やnoteを読み漁り、みなさんが推しているフレームワークや理論にたどり着き、取り入れることを決意します。
1-2.テクニックにのめり込み(営業力過信)期
世の中的に結果を出しているとされている方々のテクニックを使えば売れるということが分かった(つもりになっていた)私は、教科書通りお客様との接点を増やし、社内のあらゆるリソースを駆使して、ご提案を行いました。
が、またしても失注が積み重なる……そして失注要因も大きくは変わらない……
いや、流石におかしい、と思い、受注・失注案件を徹底的に振り返りました。
2.取り組んだ施策
2-1.過去案件の振り返り
案件の振り返りは以下の観点で行いました。
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その結果見えてきたのは、プロダクトの思想、強みがお客さまとマッチしていないと選ばれない、という本質だけど見落とされがちなことでした。
お客さまとマッチしているか、とは以下のポイントがあると考えています。
①プロダクトの思想、強みがお客様の現状・理想像とマッチしているか
②プロダクトの方向性や実際の使い方が解決したい課題と整合しているか
このように書くと、「じゃあお客さまの課題とプロダクトが合ってないから売れません」と言ってしまいたくなることもあると思いますが、それは違います。
エンタープライズセールスの仕事は「自分たちのプロダクトが解決できる課題をお持ちのお客さまを自ら見つけに行き(ターゲティング)、お客さまの言語化されている/されていない課題感に対してお客さまに寄り添いながら理想像を描いていくこと」だからです。
ただ、営業力が高いというだけでお客さまに選んでいただける(かつその後も上手くご活用いただける)ことは稀で、あくまでプロダクトやそのコンセプトがあっての営業だと考えています。
そして、案件の振り返りを踏まえて行ったことは、ターゲティングの見直しと提案内容のブラッシュアップです。
2-2.ターゲティングの見直し
DIGGLEというプロダクトの活用事例や過去の受注・失注の要因から、DIGGLEでお役立ちできそうなお客さまの像を再定義しました。
お客さまの像としてはホリゾンタルSaaSで一般的な企業規模(売上・従業員数)や業種といった観点だけでなく、より自社プロダクトの本質的な価値に沿った観点が見つけられるかが重要だと考えています。
そのためには、解像度高く自社のプロダクトとお客さまの課題を理解できていることが重要で、一次情報を取り続けておく必要があります。
2-3.提案内容の見直し
これまでは目の前のお客さまの課題ヒアリング、機能・運用提案をメインに行っていましたが、その提案の幅と深さを広げました。
2-3-1.提案の幅
課題ヒアリングではお客さまが認識している課題を引き出すことは可能ですが、認識していない課題を炙り出すことはできません。表面化している課題は氷山の一角で、エンタープライズのお客さまの本質的な課題は認識の外にあることが多いです。
そのため、DIGGLEの導入事例やお客さまの業種、顕在課題やご希望などを元に、業務・時間軸なども意識しながら提案の幅を広げていきました。
この取り組み・ご提案は同時期に弊社で新設されたソリューションコンサルティングチームと一緒に行っています。
2-3-2.提案の深さ
こちらも当たり前のことではあるのですが、エンタープライズのお客さまでは導入担当部門(担当者・役職者)、利用部門、情報システム部門、役員(決裁者)など様々な方が導入に関わってきます。
そして、それぞれの方にとって、興味関心や課題意識、理想像は異なるので1本足でのご提案(内容・資料)では無く、それぞれの方に合わせたご提案を行う必要があります。
そのため、事前のすり合わせや確認を丁寧に行い、商談するそれぞれの方に対して適切な価値を提供できるようにご提案しています。
2-4.アカウントプランMTG
個人事業主的営業スタイルを脱却し、複眼的にお客さまに向き合う体制を作りました。
案件ごとの提案の進め方や提案内容についても一人だけで考えるのではなく、可視化してチームで考える体制を作ることで、案件ごとの提案の濃度も各メンバーの提案の引き出しも強化することができるようになりました。
2-5.受注失注振り返り会
エンタープライズセールスは案件数が少なくリードタイムも長いので、高速でPDCAを回すために1件1件の案件を大切にする必要があります。
そのため、各案件に決着がついたタイミングでチーム内で振り返り会を行い、次の案件にいかせる学びを抽出しています。
受注、失注で役割は異なりますが、両振り返りとも以下の観点で重要だと考えています。
失注振り返り会:同じ失敗を二度繰り返さないために重要
受注振り返り会:早期に勝ち筋を見つけるために重要
失注振り返り会は一営業としては全くやりたくないことですが、これを徹底することで同じ思い、失敗をしなくてよくなるので、絶対にやったほうがよいです。
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2-6.結果どうなったのか
実際に商談を進めていく中で、徐々にお客さまの反応が変わってきました。
まだまだ理想の実現度は10%くらいですが、徐々にエンタープライズ企業での導入が進んできています。
3.エンタープライズセールスの立ち上げに必要なことは何か
3-1.本質的に役立てる要素があるプロダクト・サービスなのか
大前提ですが、本質的にお客さまの役に立てないプロダクトやサービスは大企業には導入いただけません。多くの方が選定に関わるからこそ、本質的な課題解決や理想実現に役立つことのできるプロダクトやサービスでなければ、すぐに見抜かれてしまい、全員が納得の上で導入されることはないからです。
私も立ち上げ時からDIGGLEは大企業の予実管理の理想実現にマッチした機能とサービスを保持していると考えていましたが、実際に様々なお客さまと商談を進めていく中で、今まで気がついていなかった本質的な強みに気づくことができ、導入していただける割合が高まってきました。
全くもって役に立たないプロダクトなど存在しないと思いますが、その言語化レベルや適合度合いが高いというのは重要なポイントであると考えています。
3-2.高速考動
弊社のValuesの一つですが、エンタープライズセールスを早く立ち上げるにはPDCAを早く深く回すことが重要です。どうしてもかかってしまう案件ごとのリードタイム以外の部分をいかに短くすることができるか、そこに関係する人全員が余計な感情を持たず着意を持ってやり切ることができるかが大事だと考えています。
3-3.覚悟
どうしても結果が出るまで時間がかかってしまうので、覚悟が必要です。
立ち上げをするメンバー、チームには結果が出るまで集中してやり切る覚悟が必要ですし、経営をする人たちには結果が出るまで信じて待ち続ける覚悟が必要だと思います。
これが無いのであればエンタープライズ領域には手を出さないほうがよいと個人的には思います。弊社は幸いそれがあったので、何とか形を作るところまで持って行くことができました。
4.終わりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。直近の取り組みで0から0.1くらいのフェーズになったかなとは思いますが、0.1⇒1、1⇒10へのチャレンジがこれから始まります。
まだまだ挑戦したいことがたくさんあります。
DIGGLEに興味をお持ち頂けた方
エンタープライズセールスについて意見交換いただける方
いらっしゃれば、ぜひお話させてください!!