今世紀で一番嬉しかったこと #日記
ちょうど今とある方の記事を読み,今でも余韻が残っている,一週間ほど前の感情を書き留めておきたくなったので,この記事を書き始めた.
今世紀で一番嬉しかったことの話.
ぼくは,3年前に塾講師としてアルバイトを始めてからというもの,教育というものにすっかり魅了されている.それもあり,ずっと塾講師の仕事に打ち込んでいた.
教育の何に魅了されたのか,一言では言い表せない.様々な理由があると思うし,言語化できていない理由もあるはず.
ただ,一つ言えるのは,自分に存在価値があると思えたこと.これは相当大きかったと思う.もともと自己肯定感が極めて低く,「誰にでも長所や強みがある」という言葉を信じていなかった.
だから,教育者の端くれとして,アルバイトながらに生徒のことを考えて,働いて,結果が出るのが本当に嬉しかった.生徒や保護者に感謝され,同期や社員に必要とされるのが,本当に嬉しかった.
ちょっと,麻薬的ですらあるなと,思っていた.
今年度になって,いろいろな思いと,事情があり,出勤を極端に減らしている.具体的には,月に一度,代講で校舎に行くくらい.
教育への思いが弱くなったわけではなく,以前とは変化し,強くなっている.そして,校舎の生徒たちへの思いも,1ミリも弱くならない.
今でもネガティブな感情と共に思い出す生徒がいる.
結果を出すこともあり,その記憶ばかりが美化されるが,まあ実際はうまくいっていないことのほうが多い.美化された記憶に埋もれず,より一層苦い気持ちで思い出すのが,その生徒のこと.
その生徒は,特に面倒を見ることが多い子だった.担当教科以外も,全教科的に面倒を見る担当をさせてもらっていた.必然的にコミュニケーションをとることも多かった.基本的に生徒を区別・差別することは無いが,人間なので,“思い入れの強い子”はどうしてもいる.その子への思い入れは特に強かったように思う.たぶん,上手くいっていなかったからだと思う.
どうしても,その子の成績を上げることができなかった.時間を費やし,試行錯誤しても,成績は思うように上がらず,テスト結果を見るたびに,申し訳ない気持ちばかりが募っていった.結局その子は転塾することになり,悔しい思いでお別れすることになってしまった.
今でも,「ああすれば良かった」などと考えてしまう.
一週間ほど前,久しぶりに校舎に行った.
今では月一くらいで校舎に行って生徒たちとコミュニケーションをとるのが本当に楽しい.「戻りたくなっちゃうな」とか思っていた,その日の下校時刻のこと…
去年ぼくの力及ばず転塾した“あの生徒”が,「会いに来たよ」と言って,目の前に現れた.
信じられない思いの後に,言いようのない喜びが込み上げてくる.
ぼくにもうちょっと語彙力があれば良かったんだけど,残念ながらぼくに,そのときの喜びを形容できる語彙力がない.「言いようのない喜び」としか表現できない.
そのときの気持ちは,教育者なら共感してくれるかな?
聞けば,ぼくが(珍しく)校舎に来ていることを,校舎にいた生徒がその子にLINEで伝えたらしく,それでわざわざ会いに来てくれたとのこと.
時間も時間だったし,お互いの立場的にも長話するのも変なので,2,3分ほど話して,その子は「またね」と言って帰っていった.
その「またね」が,また嬉しかった.
今となっては,その子が今の環境(塾)で幸せになってくれることを祈ることしかできないけど,去年ぼくが費やした時間がほんの一助にでもなればな,と思う.