『棋神ラーニング』 のこだわりをご紹介!
前回の記事で将棋ウォーズの新機能『棋神ラーニング』の概要をお伝えさせていただきました。
リリースしてから2週間が経ちましたが、予想以上にたくさんの方にご利用いただいており、大変嬉しく思っております。
今回は、前回でお伝えしきれなかった細かなこだわりについてお話していきます。
中終盤重視! あえて定跡講座を行わない!?
棋神ラーニングの学習カリキュラムは、1つのテーマにフォーカスした単元が複数集まって構成されています。
1つの単元は、基本的に1つの動画と複数のクイズで構成されています。
単元のテーマは将棋の上達に必要な要素を詰め込んでいてさまざまあるのですが、棋神ラーニングは中盤終盤をテーマにした単元が多いです。
将棋は、棋力が下がれば下がるほど、終盤で勝敗が左右されるケースが多いくなります。
級位者の方の将棋は、序盤でリードしてそのまま勝ち切るというケースは少なく、お互いミスをして形勢が入れ替わりながら、最後にミスをしたほうが負ける、というケースが多いです。
ですので、終盤のミスを減らすことが勝敗に大きく直結します。
また、中盤で取り返しの付かないミスをして、そのまま負けてしまうというケースも見受けられます。中盤になると局面が複雑化し、見落としをしてしまう、何をしていいかわからない、といった場面が増えてきます。
中盤はどういった方針で何を目指して指すべきか、といった指針を学ぶことでミスを減らし、負けを減らしていくことに繋がります。
逆に序盤はそこまで大きな差がつくことがありません。
初心者のうちは、ただで駒を取られてしまう、一方的に成り駒を作られてしまう、といったように序盤で将棋が終わってしまうケースがあるかもしれませんが、ある程度将棋を知っていけば、そういった負け方はほとんどなくなってくるかと思います。
多少の陣形差で形勢に差がつくことはあるかもしれませんが、駒がぶつかってしまえばその差はすぐに帳消しになってしまうことがほとんどです。
級位者のうちは、序盤の優劣で勝敗に影響するケースは少なく、中終盤の優劣で勝敗が決まるケースが多いので、棋力向上には中終盤の能力を高めることが大事だと考えています。
なので、棋神ラーニングは中盤終盤をテーマにした単元が多いカリキュラムにしています。
将棋の学習というと、定跡を覚える、というのが思い浮かぶ方も多いと思います。
定跡には将棋の大事な要素が詰まっていますので、覚えることは決して無駄ではありません。ただ、初段を目指す上ではやや学習効率が悪いと考えています。級位者は序盤の棋力はさほど勝敗に影響を与えないので、定跡で序盤の力を鍛えても成績に反映されにくいです。
ただ、序盤を一切無視してもいいというわけではありません。
序盤もある程度の基礎が身についていないと、勝負にならない程差がついてしまうこともあります。
そこで、棋神ラーニングでは定跡などで学べる重要なエッセンスを抽出し、さまざまな単元で学習できるようにしています。
例えば、このような単元です。
・飛車と歩の良い配置・悪い配置
・歩の再生
・紐について
・飛車と銀のコンビネーション
・角交換の注意点
・駒を進める歩の手筋
・銀の進軍を受ける
・良い玉型
・離れ駒に注意
こういった内容で、なるべく短期間で序盤のコツが掴めるようなコンテンツを用意しています。
あえてランダムに!?
こちらが中級編の単元リストです。これを上から順に学習していきます。
なんだが統一感がなくバラバラな印象を受けませんか?
終盤の詰みや詰めろをやったら次は序盤の話になったり、そうかと思えば中盤の戦い方の話になったりなど、あちこち散在しているようにみえます。
これはあえてこうしています。
インターリーブという学習法をご存知でしょうか?
これは、同じテーマやスキルを一気に学ぶのではなく、異なるテーマやスキルを交互に学ぶ学習法のことです。
この方法で、より高い学習効果が得られるとされています。
例えば、英語を勉強するとき、
文法8時間→リーディング8時間→リスニング8時間
とまとめて長時間学習するよりも、
文法1時間→リーディング1時間→リスニング1時間 × 8回
としたほうが定着しやすいということです。
変化をつけることで学習効果が高くなるので、棋神ラーニングでは似たような単元はあえて連続しないような構成にしています。
棋神ラーニングは、このような脳科学、認知心理学といった科学の知見を取り入れています。
独自の終盤特化型対局!
棋神ラーニングのカリキュラムには、こういった局面から対局して勝利する、といった課題があります。
実戦形式にすることでたくさんの効果があります。以下は一例です。
・攻めと受け両方を考慮しながら読む訓練になる
・優勢な局面から勝ちにつなげる訓練になる
・学んだことを実戦で応用する訓練になる
など
また、初級者のうちは、40枚の駒が配置された途中局面は複雑すぎて状況を把握するだけでも一苦労です。
学んでほしいことにフォーカスして考えられるように、駒数を減らして対局するようにしています。
こういった終盤特化の部分図形式の対局は他ではなかなか見られないので、棋神ラーニングの特徴の一つと言えます。
実戦クイズでミスを克服!
棋神ラーニングには、対局した棋譜をAIが解析し、ポイントとなる局面をクイズ形式で出題するという実戦クイズという機能があります。
将棋で勝つには、特別な手を指す必要はありません。とにかく、ミスを減らすことが勝利の秘訣です。
将棋ウォーズには「dlshogiWars1」というボットがいます。
このボットは、将棋ウォーズの棋譜を学習して作られた将棋AIで、人間のような手を指すボットです。
このボットはほとんど先を読めていません。人間がパッと見で思いつくような平凡な手しか指しません。読みの入った鋭い捨て駒や、高度な手筋などはほとんど行いません。
ただし、AIなので大きなミスはほとんどしません。
このボットは将棋ウォーズの10分切れ負けで三段の棋力があります。
大きなミスをしなければ、平凡な手だけで三段になれるというのが、このボットを見ているとよくわかります。
棋力向上のためには、自分のミスを一つ一つ振り返り、同じようなミスをしないようにしていくことが大切です。
実戦クイズでは、このミスの振り返りをサポートします。
形勢が大きく変わってしまった手、つまり悪手を指してしまった局面が出題されます。その局面での最善手を知ることで、まず自分のミスを認識できます。
そして、最善手が何故良い手なのか考えます。すぐに理解できるようでしたら、問題ありません。次に進みましょう。
パッと見で理解できない手を示される場合があると思いますが、そこが学べるポイントです。何故その手が良い手なのかじっくり考えてみるのをオススメします。ここで新しい発見があれば大きな進歩になります。
考えて理解できなくても大丈夫です。AIはレベルが高すぎる手を示すこともあるので、そういった場合は、そんな手もあるんだな程度に考えてスキップしてしまって構いません。
人は1回インプットしただけではすぐ忘れてしまいます。復習しないと定着しません。
なので、実戦クイズは何度も同じ局面が出題されます。
最新の脳科学では、忘れた頃もしくは忘れかけた頃にアウトプットすることが記憶の定着において重要だと言われています。科学的に正しい方法で学習できるように、忘れかけた頃に出題されるように設計しています。
もし忘れてしまっている局面で正しい手が指せれば、それは強くなっている証拠です。
地道な作業ですが、こういったように自分のミスを一つ一つ潰していくことが棋力向上につながります。
この学習方法は棋力に関係なく使えますので、実戦クイズは級位者の方だけでなく有段者の方にも棋力向上に役立つ機能かと思います。
ぜひ有段者の方もこの実戦クイズを使ってみてはいかがでしょうか?
以上、棋神ラーニングの細かなこだわりについて紹介させていただきました。
棋神ラーニングを通して、成長する喜びを感じていただけたら幸いです。