将棋のルール議論の必要性

現状の将棋の先手勝率

あなたは先手勝率70%のゲームをプレーし続けますか?
最近の将棋AIの大会は先手勝率70%を超えることは珍しくない。このようなゲームにおいて、後手は引き分け大満足と感じるだろう。実際後手は勝ちを目指すのではなく最初から引き分けを狙う作戦が多く用いられている。

将棋のルール

コアルールと周辺ルール

将棋がなぜ久しく続けれらているかといえば、いつどこでもルールが同じだからだ。研鑽をし、棋力を高めた者が報われるからだ。もう少し詳しく書けば、コアのルールが同じで周辺ルールは少し違う。コアのルールとは駒の動き、勝ち負けはどうやって決まるかといったルールだ。周辺のルールとは、持ち時間や入玉宣言の点数、指し手上限などだ。周辺ルールは度々変更されてきた歴史がある。昭和の初めごろまで持ち時間がそもそもなかったし、プロの将棋で入玉宣言法の導入は2013年からだし、プロの将棋で指し手上限が500手になったのは2019年からだ。コアのルールの変更は反発が大きいだろうが、周辺ルールは現状でも棋戦の主催者によって違うので、変更への反発は少ない。例えば桂馬を急にチェスのナイトと同じにするのは反発が大きいであろう。指し手上限を400手や600手に変更しても反発は少ないだろう。流石に200手にすれば引き分けが増えるとして、反発を招くであろうが。感のよいかたはお気づきかもしれないが、周辺ルール次第で将棋の結論は、大きく変わる。補足だが将棋は運によらず先手勝ち、引き分け、後手勝ちいずれかになると数学的に示されている。

議論の対象

将棋AIで主に議論の対象になる周辺ルールは以下の通りだ。
・指し手上限
・宣言を何点法にするか
・千日手と持将棋の扱い
・先後の決め方
・先手と後手のそれぞれの持ち時間

各棋戦の周辺ルール

プロ棋戦は引き分けが多く発生するようにして、指し直しをするようにしている。将棋AIの棋戦は絶対1局で決着が着くようになっている。電竜戦は持ち時間や千日手と持将棋の勝ち星で先手が不利になるようにしてるにもかかわらず、先手勝率70%程度だ。この程度のハンデでは先後の差は埋められないことを示している。千日手と持将棋を後手勝ち扱いにしても、先手が有利である。
将棋AI界でルール変更の議論が起こるのは、先手必勝になって、順位がつけられなくなったり、棋力がわからなくなると予想しているからだ。

将棋の理想の結論

現状のルールであっても全ての人間にとっては十分なルールである。しかし将棋AIは将棋が強くなりすぎた弊害がでてきている。将棋のルールはいつでもどこでも同じであることが大事であるので、将棋AI界だけが先走って変更しても、多くの人間には受け入れられない。
将棋のルールで何について議論せねばならないかというと、第一に将棋の理想の結論は何かということである。現状の先手勝率70%のルールのままにしておいて、例え先手勝率100%になったとしても、結論として受け入れるのもありだろう。ルール変更をし先手勝率が50%になるように調整するのもありだろう。さらに過激なルール変更をし、先手勝率が50%未満にするのもありだろう。この辺を真剣に議論する時が来ている。ただ先手勝率100%と結論づけれらた世界で、後手を持ちたいか疑問である。その時、後手番になったら何も指さずに投了してもおかしくはあるまい。

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