電竜戦の戦法調査
2022年12月3,4日(土,日)に電竜戦というコンピューター将棋ソフトの大会が行われた。そこでの戦法を調査していきます。
この記事を読めば
・戦法の採用数はいくらか
・戦法の勝敗数はいくらか
・先後勝敗数はいくらか
がわかります。
以下の点にご留意ください
・戦法の分類はプログラムで行ったため人間の分類とは異なる場合があります
・総対局数は428局ありましたがいくつかデータが欠け,400局強の調査となります
・戦法の雑感を書きますが,全ての棋譜を見て述べているわけではありません
・筆者は純粋居飛車党のため振り飛車についての分析が雑になります
それでは本題へ
全体の分析
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居飛車285局-振り飛車123局でした。
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1手損角換わりは筋違い角を打つための戦法のように感じた。力戦は弱くて定跡通りさせないものと、強豪ソフトがあえて選んだものが混じっています。
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角換わりが1番人気でした。次いで、相掛かり、横歩取り、矢倉と雁木の順でした。矢倉と雁木という分類は先手矢倉、後手雁木となるケースもあり分類が難しかったのでひとまとめです。
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四間飛車、向かい飛車、三間飛車、中飛車の順で人気でした。角交換型と不角交換型の区別はしていません。四間飛車は優秀な戦法であることが再認識された。あとで述べるが後手四間飛車の勝率が意外にいいことに驚いた。相振り飛車が発生したかをプログラムで、発見できておりません。一応全て対抗形とお考えください。
各戦法ごとの分析
居飛車で採用数の多かったものから順にお伝えします。
まずは角換わり
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腰vs早は先手が腰掛け銀、後手が早繰り銀を採用。その他には棒銀や旧式角換わり腰掛け銀などが含まれている。
目を引いたのは早繰り銀、後手で勝ち越している。先手が早繰り銀を採用した場合、後手が腰掛け銀をするケースは見られなかった。先手早繰り銀の場合、後手腰掛け銀は間に合わないのかもしれない。
相掛かり
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先手が勝ちやすいことがわかる
横歩取り
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通常の横歩取りは先手の歩得、後手の手得となりいい勝負となる。しかし青野流が以上に勝率が高い。先手は青野流を採用すべし。
矢倉と雁木
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こちらは多種多様な戦法が指されていた。相矢倉、相雁木、矢倉対雁木、どちらかが急戦を仕掛けるなどがあった。
居飛車の5大戦法の先後勝敗は
先手勝ち 120
後手勝ち 76
引き分け 9
でした。
その他居飛車を含めると
先手勝ち 168
後手勝ち 109
でした。
振り飛車
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黄色は振り飛車が勝ちを表す
振り飛車は後手で指すほうが良さそうだ。後手ノーマル四間飛車と後手向かい飛車はいい作戦だと思う。ノーマル振り飛車については居飛車が穴熊を選ぶケースが見られた。これは人間の棋譜を学習しているのか、ソフト自身が穴熊を評価しているかはわからない。
振り飛車の先後勝敗は
先手勝ち 59
後手勝ち 61
引き分け 3
でした。
トータルの先後勝敗は
先手勝ち 227
後手勝ち 170
引き分け 12
今後の予定
電竜戦は1日目が予選、2日目が予選の結果に応じてA級、B級、C級と分かれて対局を行なっていた。さらに詳細な調査のために、A級のみの調査を、今後行いたい。