棋士紹介:vol.3 稲葉陽八段/横山泰明七段

2021年12月26日に、第1回オールスター東西対抗戦が開催されます。
棋士紹介第3弾としてご紹介するのは、東西それぞれのBブロックトーナメントを勝ち抜いた棋士、稲葉陽八段と横山泰明七段です。

関西Bブロック:稲葉陽八段

生年月日:1988年8月8日
出身地:兵庫県西宮市
井上慶太九段門下

・同学年の棋士は多く、糸谷哲郎八段、中村太地七段ら7名がいます。
・ダスティン・ホフマン(俳優)、天海祐希(俳優)、ロジャー・フェデラー(テニス選手)、ショーン・メンデス(歌手)らと同じ誕生日です。
・同門には菅井竜也八段や船江恒平六段らがいます。
2008年4月に19歳で四段昇段。プロデビュー同期は田中悠一五段です。

幼少期に加古川市に転居しており、今年のAbemaトーナメントでは「加古川親善大使」のリーダーとしても活躍しました。兄の聡氏も元奨励会員で、プロ棋士を破っての加古川清流戦優勝などの実績があります。

居飛車党で、鋭い踏み込みからのシャープな攻めと、容易に土俵を割らない粘り強さが持ち味です。同学年の宿敵・糸谷哲郎八段との対局が長手数の熱戦になることでもおなじみです。
通算成績は341勝199敗(.631)。竜王戦は1組、順位戦はB級1組ですが、前期まで5期連続A級に在籍していました。

タイトル戦の戦績は挑戦1回。2017年の名人戦で佐藤天彦名人に挑戦しましたが、2勝4敗で敗退しています。
棋戦優勝は2回。直近では昨年度のNHK杯選手権を制しています。NHK杯はここ5年で3度決勝に進出しており、傑出した成績を収めています。
安定した親しみやすい語り口で、NHK将棋講座の講師も務めました。

東京Bブロック:横山泰明七段

生年月日:1980年10月16日
出身地:東京都多摩市
桜井昇八段門下

・同学年の棋士は山﨑隆之八段、村中秀史七段、島本亮五段です。
・オスカー・ワイルド(作家)、ルイ・アルチュセール(哲学者)、ブライス・ハーパー(野球選手)、大坂なおみ(テニス選手)らと同じ誕生日です。
・同門には飯島栄治八段や村山慈明七段らがいます。

中央大学在学中の2002年10月、21歳で四段昇段を果たしました。プロデビュー同期は同門の藤倉勇樹五段です。
デビューからしばらくは振り飛車党でしたが、10年ほど前に居飛車党に転向しました。激しい攻め将棋を持ち味としています。

通算成績は417勝259敗(.617)。順位戦はB級1組、竜王戦は4組です。2014年度には連勝賞を受賞しています。また2006年度の新人王戦では決勝三番勝負に進出しました。

順位戦は初年度から昇級争いに加わるも微差に泣き、昇級に10期を費やします。C級1組昇級後はほどなくして全勝優勝してB級2組に上がりますが、ここでも4位、3位、3位とあと一歩届きません。それでも昇級枠の増えた2020年度、三度目の3位に滑り込み、藤井聡太竜王、佐々木勇気七段とともにB級1組昇級を果たしています。
独特の間合いをもつトークも印象的です。

両者を比較してみると

ともに少年時代はサッカーに親しんだという両者。現在、B級1組に在籍しています。
稲葉八段は降級組、横山七段は昇級組と対照的ですが、稲葉八段が藤井竜王を破るなど、A級復帰を狙える位置につけると、横山七段も初参戦ながらすでに残留を決定的なものにしています。いずれも「鬼の住処」で存在感を放っています。
また、現在同門の棋士が6名という点も共通しています。才気あふれる若手が活躍する井上一門と、渋い実力派の揃う桜井一門。比較してみるとなんとなく両者の雰囲気に通ずる気もします。

なお対戦成績は1勝1敗。直近では今期のB級1組の初戦で、横山七段が勝利しています。

ここまでは稲葉八段がトップレベルの実績を収めてきていますが、横山七段もじっくりとステージを上げています。勝率も6割を超える実力者同士であり、いつ大舞台に名乗りを上げてもおかしくありません。
まずはこの東西対抗戦で、持ち味の鋭さを遺憾なく発揮してほしいところです。

※成績や段位は2021/12/25現在

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