棋士紹介:vol.2 澤田真吾七段/戸辺誠七段

2021年12月26日に、第1回オールスター東西対抗戦が開催されます。
棋士紹介第2弾としてご紹介するのは、東西それぞれのAブロックトーナメントを勝ち抜いた棋士、澤田真吾七段と戸辺誠七段です。

なお、いずれのブロックも関西→東京の順に開催されたということで、序列にかかわらず関西選出の棋士を先に記載します。

関西Aブロック:澤田真吾七段

生年月日:1991年11月21日(30歳)
出身地:三重県鈴鹿市
森信雄七段門下

・同学年には里見香奈女流五冠や黒沢怜生六段らがいます。
・ヴォルテール(思想家)、伊藤忠太(建築家)、ケン・グリフィー・Jr.(元大リーガー)、指原莉乃(タレント)らと同じ誕生日です(敬称略、以下同じ)。
・同門には故・村山聖九段をはじめ、山﨑隆之八段や糸谷哲郎八段らがいます。西田拓也五段は同い年、そして大石直嗣七段は2009年4月のプロデビュー同期という間柄です。

順位戦はB級2組。2期連続で4位と、最も昇級に近い成績を収めています。今期はここまで6勝1敗の2位と、いよいよブレイクの予感です。
竜王戦は2組。前期(第34期)に1組参戦を果たすも陥落となり、今期は再び2組からのスタートとなりました。
第58期王位戦では挑戦者決定戦に進出しており、昨年度の第62期でも最終戦までリーグ優勝をうかがう活躍を見せました。
通算成績は321勝183敗(.637)。2020年度は14連勝を挙げ、連勝賞を受賞しています。最後は藤井聡太王位・棋聖が勝つと(年度をまたぎ、次年度以降の記録になるため)澤田七段の受賞が決まるという面白い状況でした。

トーナメントでは準決勝で新鋭・冨田誠也四段を、決勝で久保利明九段を破り、優勝を決めています。

東京Aブロック:戸辺誠七段

生年月日:1986年8月5日(35歳)
出身地:神奈川県横浜市
加瀬純一七段門下

・同学年には広瀬章人八段、髙﨑一生七段らがいます。
・ニール・アームストロング(宇宙飛行士)、柴咲コウ(女優)、村上茉愛(元体操選手)、佐々木勇気(七段)らと同じ誕生日です。
・同門には佐藤和俊七段、遠山雄亮六段がいます。
プロデビューは2005年10月、同期は佐藤天彦九段です。

順位戦はB級2組。ハイペースで駆け上がってからは12期連続での残留となっています。竜王戦は4組です。
社交的で非常に朗らかな性格は、棋士仲間からもファンからも愛されています。
巧みな話術にも定評があり、現在NHK将棋講座の講師も務めています。さらにYouTubeでの活躍や、プロ野球の始球式も経験するなど、実力に加えて人気・知名度も十分です。
通算成績は328勝219敗(.600)。2009年度に新人賞を受賞しています。ちなみに左利きですが、右投げ右打ちです。

トーナメントでは、準決勝でファン投票3位の渡辺明名人を破ると、決勝で梶浦宏孝七段に勝利し、本戦出場を決めました。

両者を比較してみると

ともにプロ野球好きで、澤田七段は広島東洋カープ、戸辺七段は横浜DeNAベイスターズのファンとのことです。
また澤田七段はプロレスファン、戸辺七段は相撲ファンと、激しい肉弾戦をこよなく愛するという点でも共通しています。
ただ、棋風やキャラクターは対照的ともいえるほど異なります。
澤田七段は居飛車寄りのオールラウンダーで、高い千日手率に代表されるように、じっくりとした展開を好む印象です。
一方の戸辺七段は、生粋の振り飛車党、そして「戸辺攻め」との異名をとる強烈な攻め将棋を持ち味としています。
また明朗快活そのもので「動/陽」タイプの戸辺七段に対し、澤田七段はミステリアスな風貌から淡々とユーモアを織り交ぜる「静/陰」タイプと言えるでしょうか。

なお、この2人の対戦成績は戸辺七段の3勝2敗。直近では今期の順位戦B級2組4回戦で、深夜の千日手指し直しの末、戸辺七段が勝利しています。

目立った実績が多いわけではありませんが、実力は折り紙付きの両者。東西対抗戦でも際立つ個性を存分に発揮してほしいと思います。

※成績や段位は2021/12/10現在

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