指す将順位戦9th B1第5局 ▲島ノ葉尚-△けい

対局準備(将棋編)

 本局は、前局に続いて昇級勢の島ノ葉尚さんとの一戦です。島ノ葉さんも昨季9勝2敗の成績を残しており、1位でB級1組に昇級してこられました。

 本局はかなり事前準備の段階で不安が残っていました。先週コロナに罹っており、島ノ葉さんから対局日調整の打診が来たときに少し待っていただいたこと。その期間将棋が指せなかったこともあり、リハビリ感覚で将棋を指していた時に以前より中終盤にかけて思考の出力が出ない感覚を覚えたこと。そして、24での事前調査であまり対三間飛車の棋譜が見つからなかったこと。

 言い訳と言ってしまえばそれまでですが、なぜか将棋のモチベーションも上がってこず、精神的にはかなり苦しい状態で対局に臨みました。

対局準備(飲み物・食べ物編)

 いつもの三種の神器をスタンバイ、いつもより思考の出力が上がりにくいことを考慮してモンスターエナジーを対局前から早めに飲み始めました。

対局

棋譜:https://lishogi.org/study/zfkJLRJR/cazhdcjD#0

 本対局の棋譜は上のリンクからどうぞ。

 対抗型になるだろうということ以外ほとんど事前予想ができなかったので、何がきてもいいように藤井システム含みで駒組みを進めていきました。

図1:29手目▲4五桂

 1六歩をついておらず、桂が浮いた瞬間を狙った1五角からのやり取り。本譜はややひねって4五桂と指されましたが、3五歩に対しては同歩同飛3六歩3四飛でほぼ互角の進行。もちろん急戦の相手に対し先に飛車先の歩を交換し3四飛と構えられるのであれば気分は悪くないですが、評価値的には互角の範囲でした。1二香とこちらの香が角筋を避けていることもあり、結果的にこの桂跳ねが悪手だったということでしょう。

図2:40手目△8二王

 おろされた飛車の筋を避けて玉を上がった局面。最善は普通に攻める4五歩でしたが、経験上飛車に睨まれた状態の7一の王でいいことになったのがあまりないことと、ここでパスしたら桂馬を取ってくるだろうから馬から飛車筋がそれたタイミングで攻め始めた方が動きやすいだろうということでこの手を選択しました。

 ちなみにいただいた対局中の観戦コメントでは


gasbombe > 落ち着いてる~
hyoge1983 > じっと82玉はやばいです?
hyoge1983 > いった
gasbombe > 良さそう
9IKALOS6 > 82玉に価値がどこまであるか
SaisokuAmanogawa > そういう人なのか!


とのこと。この辺りの評価はそれぞれの棋風が表れそうですね。

図3:44手目△6四桂

 先ほどの局面から数手進んだこの盤面。何よりうれしいのは第1局、第2局で課題となった、中盤のやや有利な手が広い局面での最善手が指せたこと。序盤の振り返りの記事で書いたようにそこが課題であり、中盤4局で目指すところだったので、この手が指せた時点でかなり満足。

 この手を指す際に考えていたのは
①相手の攻めで怖いのは5五角+7四桂からの即死魔法なのでそれをケアしたい
②こちらの攻めが単に4六歩では少し弱そう
③相手の玉形的に玉頭に何かしらの嫌味をつけると攻めやすそう
の三点でした。実際、上の三点を抑えたこの手は仮にもっと評価値が高い手があったとしても実践的に勝ちやすい手だったのではないでしょうか。

図4:59手目▲5八銀

 本譜のこの局面では既にかなり局面が安定化できていると思います。上の最善では5五馬が示されていますが、この記事を書きながら長く読ませていると7五銀が最善になりました。本譜通り7五銀同歩5五馬だと6六銀の受けが生じていますが、それでも5四馬から8七を狙った攻めが残っておりなかなか迫力があります。

 同時に7五銀同歩で8三を攻める筋が消えていること、馬の利きで4四桂や4三歩などの攻め筋が消えており安全に勝つことのできる展開を選択できたと思います。島ノ葉さんの棋譜振り返りでは攻めの手という評でしたが指している本人的には逆で、受けの手に攻め筋がついてきたという感じです。

図5:79手目▲6八銀

 終盤、少しぐだりつつも何とか駒をはがしていったこの局面。なんと8七馬から15手詰があったそうです。
 8七馬同玉8九竜8八合7六金同玉7八竜7七銀引6四桂6五玉5四角5五玉4五金6六玉5六金まで15手、自分の感覚的には上部が広そうで脱出されそうだったので指しませんでしたが、ぴったり詰んでいたようです。

 これが指せていれば言うことなしですが、自分の信条は身の丈に合った手を指すこと。安全勝ちできる局面だったこともありギリギリOKということで。

 最終的には82手目△6九角成までで相手が投了。本局も勝ち、連勝を5に伸ばすことができました。

対局を振り返って

 こちらの軽い仕掛けに対して悲観されすぎたのが勝因だと思うので、実力100%の勝ちではないと思います。形成判断は相手のその時のメンタルが反映されやすい部分であること、そして今季ここまで4連勝していることから、自分の棋力以上に相手が評価してくれているというのが結果として自分の勝ちやすい状態につながっているのでしょう。

 本局は自分の将棋にしては短手数決着だったと思いますが、これが実力だと思っていると油断、慢心からの酷い負け方につながると思うのでこの先も丁寧な将棋を心掛けていきたいです。

(対局とは全く関係ないけどガスボンベさんの1五角に対する税務調査官という表現は面白いなと思いました。こういう表現がさらっと出てくるのいいなあ)

次の対局に向けて

 6回戦では、ゴッゴルさんとの対局が予定されています。前期の対戦では勝っているので、リベンジされないよう頑張っていきたいと思います。

 個人的にはここから先1か月ほどは採用試験の二次、院の中間報告会、実習の準備とかなり忙しくなるので、対局相手の方にはお手柔らかにと思ったり思わなかったり…

今後書きたいもの、書かなきゃいけないものの在庫

 今後書きたい、noteを始めたなら書かなきゃいけないと思っているものは以下の通りです。失踪せずに続けられるといいですね。

優先度 高:今季指した指す将順位戦の記事×残り0
      同期について:前編(温存中)
      同期について:後編(未着手)

優先度 中:自分の棋風や採用戦法について(温存中)
      自己紹介(将棋以外)
      昨季の振り返り

優先度 低:昨季の個別の将棋についての記事(書かない気がする)
      日記的な記事

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