第29期銀河戦決勝トーナメントの展望
銀河戦は、パラマス方式の本戦トーナメントを8つのブロックに分かれて行い、各ブロックの最終勝ち残り者と最多勝ち抜き者の16名が決勝トーナメントを戦います。今期は本戦トーナメントが終了し、決勝トーナメントの組み合わせが発表されましたので、状況を確認しておきたいと思います。
今期は8つのブロック中7つのブロックで、第一シードに相当する最後に登場した棋士が最終勝ち残り者となりました。前期は4つのブロックで下から勝ち上がってきた棋士が最終勝ち残り者になっていますので、今期は比較的順当に実力者が勝ち残ったと言えそうです。前期優勝の藤井銀河を含め、4人のタイトルホルダーも当然のように決勝トーナメントに駒を進めています。
一方、最多勝ち抜き者は四段が2人、五段が3人と、今年度好調の若手が勝ち上がっています。彼らの中から、決勝トーナメントを勝ち上がっていくニューヒーローが現れるのか、期待しつつ見守りたいと思います。
それでは、決勝トーナメントの組み合わせも確認していきましょう。
一番左のブロックには、最終勝ち残り者として豊島竜王と佐藤(天)九段、最多勝ち抜き者として佐々木(勇)七段と増田六段が入りました。本命は豊島竜王ですが、早指しのABEMAトーナメントで活躍した佐々木(勇)七段や増田六段も侮れず、一番の激戦ブロックだと思います。
左から二番目のブロックには、最終勝ち残り者として永瀬王座と菅井八段、最多勝ち抜き者として黒田五段と星野五段が入りました。本命は永瀬王座ですが、ABEMAトーナメントで大活躍した菅井八段や若手で着実に実績を上げている黒田五段にも注目したいと思います。
右から二番目のブロックには、最終勝ち残り者として渡辺名人と木村九段、最多勝ち抜き者として伊藤(真)六段と服部四段が入りました。本命は渡辺名人ですが、今期の王座戦挑戦者の木村九段や、今期加古川青流戦を制した服部四段にも注目したいと思います。
一番右のブロックには、最終勝ち残り者として藤井銀河と佐藤(康)九段、最多勝ち抜き者として佐々木(大)五段と斎藤(明)四段が入りました。本命は藤井銀河ですが、今期各棋戦で上位に食い込んでいる佐藤(康)九段や、数少ない藤井銀河に勝ち越している棋士である佐々木(大)五段も注目されます。
銀河戦は持ち時間15分、切れたら1手30秒未満(他に1分の考慮時間10回)の早指し棋戦であり、一発勝負のトーナメントのため、連覇が難しい棋戦と言われています。前期初優勝の藤井銀河が連覇を達成できるのか、他の誰かが連覇を阻止して優勝するのか、楽しみに観戦していきたいと思います。
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