第80期順位戦B級1組の展望
順位戦のB級1組は、13名が総当たりで全12局を戦う、順位戦の中でも最も対局数の多いリーグ戦です。A級から陥落して復帰を目指す実力者や、B級2組から昇級して更に上を目指す伸び盛りの若手らが鎬を削り、上位2名の昇級と下位3名の降級を巡る熾烈な戦いは「鬼のすみか」とも形容されています。前期は9勝3敗の2人が昇級、4勝8敗以下の3人が降級しています。
今期注目されるのは、何と言っても藤井二冠が1期抜けを果たせるかという点です。藤井二冠はこれまでの順位戦で、通算39勝1敗(勝率0.975!)の21連勝中と圧倒的な強さを見せてきましたが、対局相手のレベルが一段と上がるB級1組で連勝を続けるのは容易ではありません。数少ない公式戦で負け越している久保九段との対局も楽しみですが、まずは1-2回戦で組まれている前期A級の三浦九段と稲葉八段との連戦が試金石となりそうです。
藤井二冠以外の注目棋士をリストアップしておきたいと思います。
近藤誠也七段
2015年プロ入りの24歳です。
順位戦5年目でB級1組昇級というスピード出世を果たし、前期は前半の3連敗が響いて昇級争いに加われませんでしたが、最終的に7勝5敗と勝ち越しています。藤井二冠に順位戦唯一の黒星を付けた相手としても注目です。
佐々木勇気七段
2010年プロ入りの26歳です。
藤井二冠に剝き出しの対抗心を燃やし、30連勝を阻止したことでも有名になりましたが、C1,B2と同時昇級を果たしてきました。近い将来タイトル獲得も期待される俊英です。
稲葉陽八段
2008年プロ入りの32歳です。
第75期順位戦ではA級1期目で名人挑戦を果たしています。前期は後半5連敗を喫してB級1組に降級となりましたが、NHK杯で優勝する等好調で、1期でのA級復帰を目指します。
三浦弘行九段
1992年プロ入りの47歳です。
棋聖位獲得経験もある強豪ですが、前期は順位戦に星が集まらずB級1組に降級となりました。2月には朝日杯で準優勝する等、まだまだA級復帰を目指す力は充分です。
木村一基九段
1997年プロ入りの47歳です。
第60期王位戦で初タイトル獲得の最年長記録を作ったことは記憶に新しいところです。前期は最終局まで昇級の可能性を残しましたが、前半の3連敗が響き惜しくも逃しました。
郷田真隆九段
1990年プロ入りの50歳です。
羽生世代の一翼を担い、タイトル獲得通算6期の強豪です。前期は昇級争いを繰り広げましたが、終盤の連敗が響き惜しくも逃しました。
今期のB級1組は、上位に実績のあるベテランが名を連ね、中~下位に期待の若手強豪がひしめく混戦模様です。誰が抜けだしていくのか注目していきたいと思います。
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