第30期銀河戦本戦トーナメントGブロック決勝 藤井竜王vs高見七段
11月1日に、銀河戦本戦トーナメントGブロック決勝が放映されました。銀河戦の本戦トーナメントは、全棋士と女流棋士2人とアマ2人を8つのブロックに分け、各ブロックでパラマス式トーナメントが行われます。各ブロックの最終勝ち残り者と最多勝ち抜き者が決勝トーナメントに進出します。藤井聡太竜王は本戦トーナメント決勝からの登場となり、勝てば最終勝ち残り者として決勝トーナメントに進出します。高見泰地七段は本戦の7回戦から登場し、既に佐々木(大)七段、中村(太)七段、久保九段、木村九段と4人抜きしており、本局に敗れても最多勝ち抜き者として決勝トーナメント進出を決めています。
戦型は相掛かり
振り駒で先手となった高見七段が相掛かりに誘導し、藤井竜王は受けて立ち飛先の歩を交換してから銀を前進します。高見七段は飛先の歩を交換して六段目に引き、飛車の横利きで7筋の歩を守ります。藤井竜王が角道を開けると、お互いに陣形を整備して戦機を探ります。
一瞬の隙
高見七段が▲7七角と上がると、藤井竜王はいったん銀を引き4筋の歩を狙います。高見七段も銀を上がって歩を支えますが、藤井竜王は角を交換し、桂で取らせてから7筋の歩を突いて桂頭を狙います。高見七段は銀をぶつけて再び飛車の横利きを通して桂頭の歩を守りますが、藤井竜王は△5五銀とかわします。高見七段は7筋の歩を取りますが、藤井竜王は6筋の歩を突いて銀に当てます。高見七段が再度銀をぶつけて交換すると、藤井竜王は△3八角と飛桂両取りに打ち込みます。
藤井竜王の馬
高見七段は飛車を2筋に回して受けますが、藤井竜王は7筋の桂頭を歩で叩きます。高見七段は仕方なく飛車で7筋の歩を取りますが、藤井竜王は△2九角成と桂を取って馬を作ります。高見七段は7筋の歩を伸ばして突破を目指しますが、藤井竜王は先手の桂の利きに飛車取りで△6五銀と打ち、銀桂交換の後△6五同馬と引き付けて飛車に当てます。
高見七段の飛車
高見七段は構わず▲7三歩成と"と金"を作って飛車に当てますが、藤井竜王は取れる飛車をすぐには取らずに△8四桂と追撃します。高見七段が飛車を3筋にかわすと、藤井竜王は桂で"と金"を取って先手の反撃の芽を摘みます。
馬の除去
高見七段は▲5六銀と打って馬を追い、▲6六角と打って1筋の香を狙いますが、藤井竜王は△3三金と上がって角成を防ぎつつ、先手の飛車の動きも封じます。高見七段は▲7五銀と打ち、銀桂交換してから角と馬を交換して自玉に迫る脅威を軽減します。更に高見七段は飛車に当てて▲6六角と打ち直し、金取りに▲2五桂と打って攻め掛かります。
飛車の捕獲
藤井竜王は△2四金と出て、香を取らせる代わりに桂を取り、△3五銀と打って先手の飛車を捕獲します。高見七段は4筋の歩を成り捨ててから▲5五銀と出て食い下がりますが、藤井竜王は焦らず△4六桂打と継ぎ桂で金に当てます。高見七段は金取りに▲4四歩と打って攻め合いますが、藤井竜王は△5八桂成と金を剥がして王手してから銀で飛車を取ります。
連続王手
高見七段も▲4三歩成と金を剥がしますが、藤井竜王は玉で"と金"を取ってから△2八飛と王手で打ち込み先手玉を追い詰めます。高見七段は▲2一馬から王手を続けましたが、藤井竜王は正確な応手でかわして逃げ切りました。
まとめ
本局は藤井竜王が一瞬の隙を突いて馬を作って優勢になり、高見七段が反撃する展開となりました。高見七段は後手の馬を消して攻め込みましたが、藤井竜王は先手の飛車を捕獲して受けなしに追い込み、危なげなく逃げ切りました。
これで本戦トーナメントGブロックからは、最終勝ち残り者として藤井竜王が、最多勝ち抜き者として高見七段が決勝トーナメントに進出することになりました。両者とも優勝目指して勝ち進むことを期待したいと思います。
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