2020年度将棋大賞の発表
4月1日、2020年度の対局を対象とした「第48回将棋大賞」が発表されました。各賞の結果を確認しておきたいと思います。
■個人表彰
MVPに相当する最優秀棋士賞は、藤井二冠が初めて受賞しました。各棋戦の主催社の担当記者による投票は、藤井二冠が8票、渡辺名人が5票と接戦だったようですが、コロナ禍において明るい話題を提供した功績も考慮すると、個人的には今年は藤井二冠の受賞が妥当だと思います。特別賞は該当なしとなり、優秀棋士賞は渡辺名人、敢闘賞は豊島竜王が受賞しました。新人賞の池永四段は、新人王の獲得と王位戦挑決リーグ入りが評価されたものと思います。
■記録部門
藤井二冠が最多勝利賞と勝率一位賞を獲得しました。特に勝率の4年連続8割越えは、燦然と輝く大記録だと思います。永瀬王座も最多対局賞と最多勝利賞を初めて獲得しました。特に最多対局賞は2位に15局の大差を付け独走となりました。連勝賞は澤田七段が初めて獲得しました。藤井二冠も17連勝していますが、継続中のため2021年度の記録となります。
■女流部門
里見女流四冠の最優秀女流棋士賞は、文句なしだと思います。2021年度からは西山女流三冠も女流棋士として参戦するため、激しい争いになることを期待します。優秀女流棋士賞は、山根女流二段が初めての受賞となりました。2020年度はタイトル戦の登場もなく少し意外でしたが、17連勝を記録したことと女流王位への挑戦を決めたことが評価されたと思われます。2021年度は、更なる飛躍が期待されます。女流最多対局賞は、加藤(桃)女流三段が獲得しました。2020年度は3回の女流タイトル挑戦がありましたが、2021年度はタイトル奪還を目指して欲しいと思います。
■升田幸三賞・名局賞他
升田幸三賞を予想していた竜王戦ランキング戦2組の藤井二冠vs松尾八段戦の▲4一銀は、名局賞特別賞という形での受賞となりました。確かに両者が最善を尽くした結果生まれた絶妙手であり、名局と呼ぶに相応しい対局だったと思います。藤井二冠は棋聖戦第2局の△3一銀で、升田幸三賞(特別賞)も受賞しました。AIが6億手読んで初めて最善手と判断したと話題になった手ですが、▲4一銀に比べると地味に感じたので予想外でした。
升田幸三賞は、大橋六段の耀龍四間飛車が受賞しました。大橋六段が書籍を出されていることは知っていたのですが、私の偏った観戦局には登場しなかったので、恥ずかしながらノーマークでした。藤井二冠とプロ入り同期の大橋六段が、体系立てた戦術で升田幸三賞を受賞したことは凄いと思います。順位戦も昇級しましたし、2021年度はタイトル争いに絡むことを期待したい一人です。
名局賞と女流名局賞は予想通りでした。両局の内容は、下記予想の中に書きましたので、興味がありましたらご覧ください。
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