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ABEMA師弟トーナメント2022 予選Aリーグ2位決定1回戦

12月17日、ABEMA師弟トーナメント2022 予選Aリーグ2位決定1回戦が放映されました。チーム鈴木「ツインターボ」とチーム豊川「マッスルマンモス」の顔合わせとなっています。

一局目:梶浦宏孝七段 vs 豊川孝弘七段

チーム豊川は師匠が先陣を切ります。先手の豊川七段が矢倉を選択し、梶浦七段は受けて立ち相矢倉の将棋となります。豊川七段が3筋から仕掛けると、梶浦七段も8筋から反発します。豊川七段は歩で飛車の位置を変え、▲5五歩とぶつけて飛車の横利きを止めますが、梶浦七段は8筋の歩を成り捨て垂れ歩で8筋突破を狙います。豊川七段が▲3四歩と銀頭を叩くと、梶浦七段は1分半程考えて△8七歩成と攻め合います。豊川七段が歩で銀を剥がしてから1分半程考え▲3四歩と桂頭を叩くと、梶浦七段は桂を2筋に跳ねてから歩で金を剥がします。豊川七段は飛車に当てて銀を打って後手の飛成を防ぎますが、梶浦七段は桂を交換して王手金取りに△5七桂と打ちます。鈴木九段が「これは勝ったね」とつぶやきますが、豊川七段も▲4五桂~▲3三歩成と反撃します。梶浦七段は△7七角成と銀を食いちぎって寄せにいきますが、豊川七段は玉を上部に逃がして捕まりません。梶浦七段は王手飛車から飛車を取りますが、豊川七段は入玉をほぼ確定させてから寄せ切りました。
チーム鈴木:0勝 - チーム豊川:1勝

二局目:鈴木大介九段 vs 渡辺和史五段

チーム鈴木は師匠が流れを変えるべく出陣です。先手の鈴木九段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、渡辺五段は△4四角と上がってミレニアムを目指します。鈴木九段が飛車を細かく動かして牽制し、5筋の歩を交換すると、渡辺五段は1筋の香を上げ地下鉄飛車を通します。鈴木九段は6筋の銀頭を叩いて引かせると、▲4五歩と伸ばして攻め掛かりますが、渡辺五段は1筋から端攻めし香を走ります。5分以上残している鈴木九段は▲1八歩と低く受け、時間に追われた渡辺五段はじっと5筋に歩を打って受けます。鈴木九段は銀を取らせる代わりに後手陣の金を剥がしますが、渡辺五段は丁寧に受けて決め手を与えず、飛車を8筋に戻して角交換後に△8八飛成と竜を作ります。鈴木九段も慌てず自陣の守りを固めますが、渡辺五段は飛車取りに△4八角と打ち込みます。この角はタダで取れますが、取ると後手の竜が働きそうなので、鈴木九段は飛角交換の間に桂交換して▲6五桂と王手で迫ります。最後は鈴木九段が力強い手つきで▲6六角~▲6一角と2枚の角で王手し、そのまま即詰みに討ち取りました。
チーム鈴木:1勝 - チーム豊川:1勝

三局目:梶浦宏孝七段 vs 渡辺和史五段

両チームとも元気のない弟子を送り出し喝を入れます。先手の渡辺五段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換します。梶浦七段が角を交換し、両者とも銀冠の形に組み替えます。梶浦七段が8筋の歩を合わせて桂交換すると、渡辺五段は4筋の位を取って▲4六桂と据えます。お互いに隙を作らず手待ちとなりましたが、時間に追われた渡辺五段は3,1,7筋の歩を突き捨て▲7四歩と桂頭を叩きます。梶浦七段が銀で歩を取ると、渡辺五段は金取りに▲5四桂と跳ねます。この桂を取ると飛金両取りに角を打たれるので、梶浦七段が金を寄ってかわすと、渡辺五段は銀で桂を支えます。梶浦七段は8筋の歩を合わせてから9筋を端攻めして香を吊り上げ、香取りに△8五桂と跳ねます。渡辺五段が飛頭を歩で叩くと、梶浦七段は同飛と応じますが、作戦会議室では鈴木九段が「ひえぇー」と声を上げています。渡辺五段は飛車取りに▲7三角と打ち、桂取りに歩を打って桂香交換を催促し、飛車取りに▲8四桂と打ちます。梶浦七段は飛車を見捨てて先手陣の銀を剥がしますが、後手陣は飛車を持たれると受けが難しく無念の投了となりました。
チーム鈴木:1勝 - チーム豊川:2勝

四局目:鈴木大介九段 vs 豊川孝弘七段

両チームとも、この日1勝を挙げている師匠同士の対決となりました。先手の鈴木九段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、豊川七段は△5三銀左と急戦含みの駒組みを進めます。豊川七段が飛車を7筋に寄せると、鈴木九段も飛車を7筋に振り直します。豊川七段が△8四銀~△7五歩とぶつけると、鈴木九段は▲4八角と回して6筋の歩を支えます。豊川七段が9筋の歩をぶつけて香交換すると、鈴木九段は飛車を9筋に回して銀に当てます。豊川七段が2分半程の長考で銀の前に歩を打って受けると、鈴木九段は角を引いて8筋の歩を支えます。豊川七段が桂取りに△8七香と打つと、鈴木九段は銀を引いて桂に紐を付けます。豊川七段は桂を跳ねて援軍を送りますが、鈴木九段は▲6六香と打って6筋の歩を支えつつ後手の角道を止めます。豊川七段は9筋の歩を成り捨て銀を前進しますが、鈴木九段は飛車を6筋にかわして6筋に戦力を集めます。時間に追われた豊川七段は「比叡山!」と叫びながら歩頭に銀を引く勝負手で竜を作りますが、鈴木九段は▲2六香と据えてから▲6三歩成と攻め込み、飛車を見捨てて後手陣の金銀を"と金"で剥がします。豊川七段は何度も叫びつつ粘りましたが、鈴木九段は手堅く寄せ切りました。
チーム鈴木:2勝 - チーム豊川:2勝

五局目:梶浦宏孝七段 vs 渡辺和史五段

追いついたチーム鈴木は、この日は2敗と調子の出ない梶浦七段が「自分が出たい」と宣言して出陣します。三局目と先後も同じカードとなりましたが、先手の渡辺五段が作戦を変え相矢倉の将棋となります。渡辺五段が4筋の位を取ると、梶浦七段も6筋の位を取ります。渡辺五段は▲4六角と好所に出ますが、梶浦七段が△6三金と手厚く構えると、▲5三角と引きます。逆に梶浦七段が飛車取りに△6四角と出ると、渡辺五段は▲4六銀と出て防ぎます。じっくりした駒組みに戻り、渡辺五段が3筋に角を引いて飛車を5筋に回すと、梶浦七段は8筋の歩を突き捨て、角で銀を食いちぎって先手陣を乱します。渡辺五段は王手で▲1七角と飛び出し4筋の歩を伸ばしますが、梶浦七段は歩と銀で先手陣に攻め込み金銀交換します。渡辺五段は▲4三銀と打ち込み金銀交換すると、▲6四銀とタダ捨てして▲6二金~▲7二角と後手玉に迫ります。梶浦七段も金銀3枚で先手玉に迫りましたが、渡辺五段は▲8一角成と飛車と交換して寄せ切りました。
チーム鈴木:2勝 - チーム豊川:3勝

予選Aリーグ2位決定1回戦の結果

チーム豊川は先陣を切った師匠の豊川七段が一局目を制し、二局目に敗れた弟子の渡辺五段を叱咤激励して波に乗せました。渡辺五段は初戦から3連敗でしたが三局目に今大会初勝利を挙げると、決着局でも熱戦を制して調子を取り戻し、次の2位決定戦でも活躍が期待されます。
チーム鈴木は師匠の鈴木九段が2勝して意地を見せましたが、弟子の梶浦七段がこの日は白星に恵まれず、前回の準優勝チームが早くも姿を消すこととなりました。決着局の対局者決めで、弟子に立ち直って欲しいという師匠の想いを汲み、梶浦七段が自ら出陣を志願した姿には、この師弟の厚い信頼関係を感じさせてくれたと思います。

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