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第4回ABEMAトーナメント本戦2回戦第二試合

8月14日に第4回ABEMAトーナメント本戦2回戦の第二試合が行われました。予選Cリーグ1位のチーム木村「エンジェル」と予選Aリーグ2位のチーム稲葉「加古川親善大使」との対戦となりました。チーム木村は本戦1回戦をシードされ、2回戦からの登場です。チーム稲葉は本戦1回戦でチーム斎藤を破り、2回戦に駒を進めました。両チームともドラフト終了時に私が優勝候補に挙げた8チームの一角であり、好勝負が期待されます。

■一局目 佐々木勇気七段 〇 vs ● 稲葉陽八段
チーム稲葉は、本戦1回戦と同様に一局目からリーダーの登場です。先手の稲葉八段が相掛かりに誘導し、佐々木七段が先に飛先の歩を交換します。稲葉八段も飛先の歩を交換して横歩を取ると、佐々木七段は角を交換して敵陣に打ち馬を作ります。稲葉八段は金で馬を捕獲し、駒得に成功します。苦しくなってきた佐々木七段は、飛車を中段に浮いて2筋に転回し、桂で角を奪います。更に佐々木七段は奪った角を△6五角と急所に打って先手玉に迫ると、竜を作って鮮やかに寄せ切りました。

■二局目 池永天志五段 〇 vs ● 久保利明九段
一局目を落としたチーム稲葉は、1回戦では最終局に勝ってチームの勝利に貢献した久保九段に託します。後手の久保九段は四間飛車を選択します。持久戦模様の駒組みとなり、久保九段は銀冠に囲い、池永五段は2枚の銀を六段目に進めます。久保九段は△4五歩から銀交換し、7筋から仕掛けます。池永五段も6筋から反発し、久保九段は9筋から端攻めします。久保九段は9筋を突破しますが、池永五段は▲2三飛成と敵陣に殺到します。最後は久保九段が連続王手で先手玉に迫りましたが、池永五段が逃げ切りました。

■三局目 佐々木勇気七段 〇 vs ● 船江恒平六段
2連勝のチーム木村は、相手の読みを外しに佐々木七段を投入します。四段昇段同期の船江六段は、勝った記憶がないという佐々木七段に対し、先手番で矢倉に誘導します。脇システムの将棋となり、両者とも持ち時間を増やして6分を超えました。各交換から佐々木七段が敵陣に角を打ち込み、船江六段は1筋から棒銀で攻めます。佐々木七段も9筋から反発し、1筋で得た香も使って先手の玉頭から襲い掛かります。船江六段は角銀香で後手の飛車を押し戻し1筋から反撃しますが、佐々木七段は再び先手の玉頭から攻め掛かり寄せ切りました。

■四局目 池永天志五段 ● vs 〇 稲葉陽八段
3連勝のチーム木村はリーダーを温存し、池永五段が2局目の登場です。先手の池永五段が角換わりに誘導し、相腰掛け銀の将棋となりました。定跡の手順となり、両者とも持ち時間を6分以上に増やしています。池永五段は▲4五桂から飛先の歩を交換しますが、稲葉八段は待機戦略で相手の攻めを待ちます。池永五段が▲4六角と自陣角を打つと、稲葉八段は7筋から仕掛けます。池永五段も後手の玉頭から反撃しますが、時間を4分以上残していた稲葉八段は長手数の即詰みを読み切り、チームに初白星をもたらしました。

■五局目 木村一基九段 〇 vs ● 久保利明九段
チーム木村は、満を持してリーダーが登場です。先手の久保九段は、初手▲7八飛と三間飛車に構えます。木村九段が角道を止めると、久保九段は穴熊に囲います。木村九段が銀冠に組み替えると、久保九段は飛車を3筋に振り直し、3筋から仕掛けます。木村九段は角道を空けて馬を作りますが、久保九段は角で馬を消します。木村九段が竜を作り、久保九段は馬を作って、お互いに玉頭での激しい攻防となりました。終始押し気味だった木村九段は、自玉を5筋方面に逃がしてから先手玉を受けなしに追い込み、久保九段の投了となりました。

■六局目 佐々木勇気七段 〇 vs ● 稲葉陽八段
後がなくなったチーム稲葉は、再度流れを変えるべくリーダーを投入します。先手の佐々木七段が角換わりに誘導し、相早繰り銀の将棋となりました。佐々木七段は▲2四歩と踏み込み、稲葉八段が△5四角から先手の飛車を抑え込むと、研究手と思われる▲4二銀不成とタダ捨ての妙手を魅せます。稲葉八段は思わず時間を使って飛車で銀を取ると、佐々木七段も飛車を6筋に回して、後手の玉頭から攻め掛かります。稲葉八段も敵陣に飛車を打ち込み反撃しますが、佐々木七段はギリギリの受けで中段まで玉を逃がします。最後は佐々木七段が2枚の飛車を後手玉の左右から打ち込み、即詰みに討ち取りました。

【チーム木村 5勝 vs チーム稲葉 1勝】
チーム木村は、一局目に佐々木(勇)七段が相手のリーダー稲葉八段に逆転勝ちして流れを呼び込んだのが大きく、二局目も池永五段が久保九段を倒す殊勲の星を挙げました。予選でプレーオフを含め6勝1敗と絶対的エースの木村九段が登場する前に3勝を挙げて、危なげない勝利だったと思います。予選で振るわなかった佐々木(勇)七段が3連勝で自信を取り戻し、池永五段も着実に強豪相手に白星を挙げており、優勝候補の一角としてチームの雰囲気は良くなってきたと思います。
チーム稲葉は、予選では1勝4敗から逆転勝ちするなどチーム一丸となっての粘り腰を見せてきましたが、今回は再現することができませんでした。2枚看板の稲葉八段と久保九段がなかなか波に乗れず、最終的に2人とも負け越しに終わったのは残念に思います。しかし同郷の棋士でチームを構成し、地元の応援をバックに抜群のチームワークで戦った3人にも拍手を贈りたいと思います。


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