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「観る将」が観た第79期順位戦B級2組 藤井二冠8回戦

12月16日に行われた順位戦B級2組8回戦、藤井二冠と野月八段の対局の感想です。藤井二冠はここまで6勝0敗と単独トップに立っており、残り4局中3勝すれば昇級決定という状況です。野月八段は激しい攻めを得意とする居飛車党で、藤井二冠とはこれが初手合いとなります。ここまで3勝4敗と黒星が先行していますが、12月12日に行われた朝日杯二次予選で羽生九段を破って本戦出場を決めており、気分良く本局を迎えています。

戦型は後手の野月八段が得意の雁木を選択し、藤井二冠は▲3五歩と早仕掛けに出ました。野月八段も8筋から反撃し、序盤から駒がぶつかる激しい将棋となりました。ここで野月八段が△5二玉と上がったのに対して、藤井二冠は▲7八銀から相手の飛車に圧力を掛けていきましたが、対局後のインタビューで藤井二冠は「動いていくと反動が厳しそうな気がした」、野月八段も「受けに回られるのは予定とは違った」と語っており、作戦の岐路だったのかもしれません。

難しい中盤戦となり、両者1時間を超える長考の応酬となりましたが、野月八段は馬を作って自陣に引き守りを固めます。藤井二冠も中央に銀を並べて相手からの攻撃を牽制していましたが、一転して銀を前に繰り出し▲3三銀成から攻勢に出ます。野月八段は△4八銀~△5九角と王手を掛け必死の反撃を試みましたが、▲5八玉とかわされたのを見て、3分程考えてから次の手を指さずに投了しました。

本局は、野月八段の誘導で激しい将棋になりかけましたが、相手の作戦を察知した藤井二冠がいったん自陣に手を入れ受けに回りました。早めの投了にも感じましたが、持ち駒もなく攻撃を完全に封じられた野月八段としては指す手がなく、やむを得ない状況だったようです。

これで藤井二冠は7勝0敗となり、残り3局で2勝すれば昇級が確定します。「あまりこれまでのことは考えずに、いままで通り臨めれば」といつも通り淡々とコメントした藤井二冠ですが、ここまで来たら全勝でのB級2組1期抜けを期待したいと思います。

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