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第29期銀河戦本戦トーナメントHブロック決勝 藤井銀河vs佐々木(勇)七段

10月14日に、銀河戦本戦トーナメントHブロック決勝が放映されました。銀河戦の本戦トーナメントは、全棋士と女流棋士2人とアマ2人を8つのブロックに分け、各ブロックでパラマス式トーナメントが行われます。各ブロックの最終勝ち残り者と最多勝ち抜き者が、決勝トーナメントに進出します。

藤井聡太銀河は前期初優勝を遂げ、今期は本戦トーナメントの決勝からの登場となり、勝てば最終勝ち残り者として決勝トーナメントに進出します。佐々木勇気七段は既に4人抜きしており、本局に敗れても最多勝ち抜き者として決勝トーナメント進出を決めています。

振り駒で先手となった藤井銀河は相掛かりに誘導し、佐々木七段が先に飛先の歩を交換します。藤井銀河は▲8七歩を保留したまま飛先の歩を交換し、7筋の歩も取ります。佐々木七段は歩を取らせる間に△6四銀と進出し、手得を主張する展開です。藤井銀河は飛車を2筋に戻すと再度▲2四歩から歩を交換し、佐々木七段は3筋の歩を守りつつ△3三金と飛車に当てて受けます。藤井銀河が飛車を下段まで引くと、佐々木七段は飛車を7筋に寄せ、銀を先手の金と交換することに成功します。

藤井銀河はすかさず3回目の▲2四歩から継ぎ歩攻めを見せ、佐々木七段は△2二歩としゃがんで受けざるを得ません。佐々木七段が引いた角を△5三角と浮いて活用を図ると、藤井銀河も角を浮いて▲8四角と王手します。佐々木七段が角をぶつけて受けると、藤井銀河は角交換に応じてすぐに▲3一角と打ち込みます。後手陣は金銀がバラバラでかなり苦しく見えましたが、佐々木七段は△4六歩~△8八歩と歩で先手陣に嫌味を付けます。

藤井銀河は相手の手に乗り▲7七桂~▲6五桂と跳ねて後手の玉頭を狙いますが、佐々木七段も桂のタダ捨てから王手桂取りで先手の桂を外して粘ります。しかし藤井銀河は冷静に▲7四桂と急所に打ってから、再度▲6五桂と打って後手陣に攻め掛かり、馬と"と金"を作って寄せ切りました。

本局は序盤から積極的に動いた藤井銀河が、2筋を押さえ込んでから玉頭を攻め、佐々木七段の反撃を見切って寄せ切る快勝となりました。この結果、藤井銀河はHブロックの最終勝ち残り者として、佐々木勇気七段は最多勝ち抜き者として決勝トーナメントへの進出となりました。両者が決勝トーナメントでも勝ち上がっていけることを期待したいと思います。

なお本局は5月に収録されたそうで、棋聖戦五番勝負が始まり過密日程になる前の対局ということになります。藤井銀河は現在も先手での相掛かりを多用し、果敢に相手の7筋の歩を取りに行くところや、後手が飛先の歩を交換してきた際に角頭を歩で受けないところは変わっていません。ただこの対局では序盤に3筋の歩を突いていますが最近は4筋の歩を突くことが多いので、3筋の歩を突いて後手に飛車で取らせるのは避けているように思います。藤井銀河の研究の流れを感じ取ることができる一局だったのかもしれません。

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