第79期順位戦B級1組の展望
B級1組は13人が総当たりで12戦ずつ行い、上位2人がA級に昇級し、今期から1名増えて下位3名がB級2組へ降級します。「鬼のすみか」と呼ばれるこのクラスには、A級を目指す精鋭やA級から陥落したベテランなどの強豪が揃っています。前期は9勝3敗までが昇級し3勝9敗までが降級していますが、誰もが昇級候補であり、誰もが残留に向け一局も疎かにできない戦いが続きます。8月までに4回戦を終えていますので、好スタートを切った棋士をリストアップしてみます。
永瀬二冠
2009年にプロ入りした27歳です。今期は4連勝と絶好のスタートを切りました。叡王と王座の防衛戦を戦っていますが、他の棋戦でも勝ちまくっており、棋聖戦・王位戦では惜しくも挑戦者決定戦で敗れましたが、王将戦では挑戦者決定リーグ入りを果たしています。
郷田九段
1990年にプロ入りした49歳で、羽生世代の一員です。プロデビューから2年5か月で王位を獲得する等、タイトルを通算6期獲得しています。A級には通算13期在籍しており、名人にも2回挑戦しています。今期は4連勝と絶好のスタートを切り、74期以来のA級復帰を目指しています。
山崎八段
1998年にプロ入りした39歳です。定跡に囚われない独創的な棋風で知られています。タイトル獲得はありませんが、タイトル戦になる前の第1期叡王戦で優勝し、初代叡王になっています。今期は1回戦が抜け番でしたが、4回戦で好調の千田七段に勝ち、3勝0敗の好スタートを切りました。
千田七段
2013年にプロ入りした26歳です。将棋ソフトを使った序盤研究で知られています。タイトル獲得はありませんが、昨年の朝日杯将棋オープン戦で、3連覇の掛かった藤井七段(当時)を破って優勝しています。今期は3連勝の好スタートを切りましたが、4回戦で山崎八段に敗れ3勝1敗となっています。
B級2組から昇級したばかりの丸山九段と近藤七段に、まだ白星がありません。丸山九段が竜王戦で挑戦者決定三番勝負に進出する等、両者とも他の棋戦では活躍しているだけに、B級2組の厳しさが感じられます。まだまだ先の長い戦いなので、両者の巻き返しにも期待したいと思います。