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第51期新人王戦決勝三番勝負

今期の新人王戦は、10月12日に第一局、10月19日に第二局が行われ、池永天志四段が齊藤優希三段に2連勝し優勝しました。本棋戦は、26歳以下で六段以下の棋士と、三段リーグ上位者や26歳以下の女流成績優秀者が参加する若手の登竜門とも呼ばれる棋戦で、歴代優勝者には羽生九段や森内九段、渡辺名人、藤井二冠なども名を連ねています。また三段での決勝進出は6人目で、齊藤三段には都成三段(当時)以来2人目の三段での優勝が期待されていました。

第一局は、先手の齊藤三段が角換わりに誘導し、銀を3八に置いたまま▲3五歩~▲4五桂と急戦を仕掛け、先に馬を作って攻勢に出ました。池永四段は▲5六香に対して△5四歩と受け止めると反撃に転じ、最後は△2八飛から寄せ切りました。

第二局は、先手の池永四段が矢倉に誘導しますが、齊藤三段は6手目に△7四歩と、今期竜王戦第一局に豊島竜王が見せた急戦策を採用します。16手目まで竜王戦と同じ進行でしたが、池永四段は△6五桂の銀取りに対して▲6六銀とかわしました。その後齊藤三段は角で銀を食いちぎり、△5七銀と飛車角両取りを掛けて攻勢に出ましたが、池永四段は落ち着いて受け止めると、左右からの挟撃体制を作って寄せ切りました。

両局とも若手らしく流行の最先端の将棋となり、序盤は齊藤三段の攻勢、中盤は池永四段の反撃という展開になりました。齊藤三段の積極的な指し回しは魅力的でしたが、池永四段の正確な寄せがわずかに上回った印象です。

池永四段は昨年、四段以下が参加する第9期加古川青流戦でも優勝しており、両棋戦を制したのは永瀬王座以来2人目の快挙となりました。これを機に、他の棋戦でも活躍することを期待したいと思います。齊藤三段も、前期優勝の高野五段や今期竜王戦で活躍した梶浦六段を破っての決勝進出は、見事としか言いようがありません。熾烈な三段リーグを抜け、四段に昇段する日を楽しみにしたいと思います。

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