「観る将」が観た第14期マイナビ女子オープン五番勝負第三局
5月15日に藤沢市の「時宗総本山 遊行寺」で行われた、マイナビ女子オープン第三局を観た感想です。
ここまで1勝1敗のタイとなり、3週間以上の間隔をおいての対局となりました。西山朋佳女王は爽やかな藤色の着物、伊藤沙恵女流三段は春らしい薄黄色の着物で登場です。
本局は、先手の西山女王が初手▲7八飛と三間飛車に振り、伊藤女流三段も6手目に3筋に飛車を振り相振り飛車の将棋となりました。西山女王は金銀2枚で手早く玉を固めると、7筋の歩を交換し飛車を六段目に浮きます。伊藤女流三段が△3三角と向かい飛車への切り替えを匂わせると、西山女王はいったん飛車を3筋に回し、伊藤女流三段が△2二角と戻すと2筋の歩を突いて逆襲します。伊藤女流三段は再度△3三角と上がって凌ぎますが、このやりとりは手損の上、歩も損しており、西山女王が優位に立ちました。
西山女王は▲6五桂~▲9七角と、敵陣の5三の地点に照準を定めます。伊藤女流三段も△5二金右~△4二角と懸命に防戦しますが、西山女王は角交換から2筋にと金を作って攻め込みます。伊藤女流三段は角を打ち、銀取りを手抜いて嫌味な桂を取り払い馬を作ります。西山女王は相手の攻撃に丁寧に対処し、銀取りに歩を打ってから12手後にようやく桂で銀を取って駒損を回復します。
伊藤女流三段は馬で相手の飛車を食いちぎりますが、西山陣に飛車を打ち込まれる隙はありません。西山女王は2枚の角を打ち、自玉の安全度を高めつつ相手陣に迫ります。更に西山女王は歩で相手の玉頭を切り崩し、馬を作って寄せに入ります。伊藤女流三段は敵陣に飛車を打って抵抗しますが、西山女王が冷静に金を自玉に寄せると攻めが続きません。▲9五桂と王手されたのを見て、伊藤女流三段は無念の投了となりました。
本局は、序盤に西山女王が作戦勝ちしてリードを奪い、焦らずにじっくりリードを拡げて快勝となりました。伊藤女流三段も苦心の手順で粘りましたが、西山女王の堅実な指し回しの前に届きませんでした。
この結果、西山女王は4連覇に向けてあと1勝となりました。第四局に向け、西山女王は「よいコンディションで挑めるように、当日まで意識して頑張りたい」と話しました。伊藤女流三段は「私自身がベストを尽くすだけだと思っているので、力が発揮できるように頑張りたい」と話していますので、次局もお互いに力を出し合った好局を期待したいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?