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ABEMAトーナメント2024 本戦1回戦第三試合

8月17日、ABEMAトーナメント2024の本戦1回戦第三試合が放映されました。予選Cリーグを2位通過したチーム豊島「関西三銃士」と、予選Bリーグを2位通過したチーム斎藤「1993」の顔合わせとなっています。


一局目:大石直嗣七段 vs 三枚堂達也七段

チーム豊島は大石七段がポーズを決めて出陣します。振り駒で後手となった大石七段は一手損角換わりを採用し、三枚堂七段が早繰り銀で対応すると、四間飛車に振ります。大石七段が△8五桂と跳ねて銀を吊り上げ、△4五歩~△5四歩と銀を捕獲すると、三枚堂七段は▲8五銀と桂を食いちぎり、金取りに▲1五桂と打ちます。大石七段が歩で5筋の銀を取ると、三枚堂七段は▲3一角と打って飛角交換し、▲4一飛~▲9一飛成と香を取って竜を作ります。大石七段は△4九角~△7六角成と馬を作り、三枚堂七段が▲8五桂と攻め掛かると、銀2枚を投じて自陣を補強し、金で桂を食いちぎってから△7五桂と反撃します。三枚堂七段は▲8四香と打って銀を剥がしますが、大石七段は△7六香から金を剥がし、攻防に馬を利かせて寄せ切りました。
チーム豊島:1勝 - チーム斎藤:0勝

二局目:糸谷哲郎八段 vs 高見泰地七段

両チームともリーダーを温存し、かつてのチームメイトの対決となります。先手の糸谷八段が雁木に構えると、高見七段は△5五角と飛び出して矢倉に組みます。高見七段が少し迷った手つきで飛車を5筋に回し、飛角交換してから飛車取りに△2七角と打ち込んで馬を作ると、糸谷八段は▲8五桂と角に当てつつ上部への脱出路を作り、2筋の歩を突き捨ててから▲7一飛と打ち込みます。高見七段が△3五銀~△3四銀と飛車を捕獲すると、糸谷八段は飛銀交換に応じてから▲8一飛成と桂を取って竜を作ります。高見七段が△4九馬から先手玉に迫り、△3七飛と打って金銀との2枚替えをすると、糸谷八段は▲5四角と攻防に据え、▲7一飛と2枚飛車で後手玉に迫ります。糸谷八段は玉を上部に脱出して入玉し、相入玉を目指した後手玉を逃さず寄せ切りました。
チーム豊島:2勝 - チーム斎藤:0勝

三局目:豊島将之九段 vs 斎藤慎太郎八段

両チームとも順番通りでリーダー対決となります。お互いに飛先の歩を交換し、後手の豊島九段が7筋の横歩を取ると、斎藤八段は▲2五飛と中段に構えます。斎藤八段は角を交換して飛車取りに▲5六角と打ち、豊島九段が飛車をぶつけて交換すると、桂取りに▲8二飛と打ち込みます。豊島九段が3筋の歩を伸ばして桂を取り合い、銀香両取りに△5五角と打って△9九角成と馬を作ると、斎藤八段は▲8四桂と打って攻め合います。豊島九段は角銀両取りに△6四桂と打って角桂交換し、△3六角と打って挟撃態勢を作り、斎藤八段が成桂と"と金"で後手陣の金銀を剥がすと、△4七桂成と飛び込みます。斎藤八段は▲8二竜と王手して千日手を打開し、▲8四桂~▲4五桂と詰めろを掛けます。豊島九段は△6七馬から詰ませにいきますが届かず、斎藤八段が逃げ切りました。
チーム豊島:2勝 - チーム斎藤:1勝

四局目:大石直嗣七段 vs 高見泰地七段

チーム斎藤は順番を入れ替え高見七段を送り出します。先手の大石七段は相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換してから、高見七段が△6五銀と繰り出すと、飛車の横利きで7筋の歩を守ります。大石七段が角交換し、歩で飛車を吊り上げてから▲7二角と打ち込んで馬を作り、飛車を8筋に回すと、高見七段は3筋の歩を伸ばして桂に当てます。大石七段は桂と銀を取らせる代わりに▲8一飛成と桂を取り返して竜を作り、高見七段が△3三玉と早逃げすると、▲6五銀と出て飛車を捕獲します。高見七段は左右の香取りに△5五角と打ちますが、大石七段は▲5二馬と金を食いちぎり、▲3四金と玉頭を押さえて寄せ切りました。
チーム豊島:3勝 - チーム斎藤:1勝

五局目:糸谷哲郎八段 vs 三枚堂達也七段

チーム豊島は糸谷八段もポーズを決めて出陣します。後手の糸谷八段が雁木に組むと、三枚堂七段は左美濃に構え、▲2五桂とぶつけます。糸谷八段は桂交換してから△8四桂と据え、三枚堂七段が▲8八桂と受けると、△5四銀~△6五歩と先手の角を攻めます。三枚堂七段は同桂と応じてから3筋の歩を取り込んで飛車の横利きを通し、糸谷八段が△3四同銀と飛車に当てると、▲6五飛と桂を食いちぎって銀と交換します。糸谷八段は△3九飛と打ち込み、三枚堂七段が▲6四銀と捨ててから飛金両取りに▲7三銀と打つと、△6五歩と角を攻めて角桂と飛車を交換します。三枚堂七段は▲8二飛と打ち込んで竜を作りますが、糸谷八段は△5五角~△7七桂と先手玉に迫り、△1五角と総攻撃を仕掛けて寄せ切りました。
チーム豊島:4勝 - チーム斎藤:1勝

六局目:豊島将之九段 vs 斎藤慎太郎八段

追い込まれたチーム斎藤はリーダーが出陣し、再びリーダー対決となります。後手の斎藤八段が△3三金型の角換わりを採用して右玉に構えると、豊島九段は4筋の歩を交換します。斎藤八段が3筋の歩を交換して△3六歩~△4六角と打って"と金"を作ると、豊島九段は4筋で桂を交換し、飛車を角と刺し違えてから金取りに▲1七角と打ちます。斎藤八段は銀取りに△6四桂と打ち、豊島九段が▲7四桂と打ち返すと、△4四歩と先手の端角の利きを止めてから△7六歩と銀頭を叩きます。豊島九段が▲4二角~▲5三角成と金を食いちぎって攻め込むと、斎藤八段は△6六角と王手して攻め合います。豊島九段は馬を作って▲8一馬と飛車を取りますが、斎藤八段は王手馬取りに△8六飛と打ち、馬を取って詰めろを掛けて寄せ切りました。
チーム豊島:4勝 - チーム斎藤:2勝

七局目:大石直嗣七段 vs 高見泰地七段

チーム豊島は好調の大石七段を送り出します。後手の大石七段が一局目と同様に角を交換して四間飛車に振り、駒組みを進めてから向かい飛車に振り直すと、高見七段は飛車を3筋に寄せます。大石七段が△8五桂と跳ねて銀桂交換し、△2七角~△5四角成と馬を作ってから飛車取りに△2五桂と打つと、高見七段は▲5五歩と伸ばして馬を捕獲します。大石七段は馬で7筋の歩を食いちぎって先手陣を乱してから飛車を取り、高見七段が飛車取りに▲3四桂と打つと、銀で桂を食いちぎります。高見七段は香取りに▲8二角と打ち込み、大石七段が構わず△2八飛と攻め合うと、自陣に銀を埋めて粘ります。大石七段は自陣の飛車を下段に引いて香を守り、△8七銀の王手から必至を掛け、高見七段の▲7三角成からの連続王手を凌いで逃げ切りました。
チーム豊島:5勝 - チーム斎藤:2勝

本戦1回戦第三試合の結果

チーム豊島は、初出場の大石七段がフィッシャールールに慣れてきたのか3戦3勝でチームを1回戦突破に導き、糸谷八段も2戦2勝と大きく貢献しました。リーダーの豊島九段は敗れたものの終盤まで勝勢の局面を築いており、次戦以降は活躍が期待できそうです。3人がそれぞれ決めポーズを作って出陣するスタイルも、チームを勢いづかせる要因の一つだったような気がします。
チーム斎藤は、リーダーの斎藤八段が2度に渡るリーダー対決を制して意地を見せました。予選では全勝だった三枚堂七段がこの日は白星に恵まれず、高見七段も精彩を欠いて、残念ながらチームはここで敗退となりました。同学年の3人が刺激し合い、お互いに持てる力を出し切る好チームだったと思います。

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