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「観る将」が観た第31期銀河戦決勝トーナメント準決勝 藤井銀河vs杉本(和)五段

12月16日に、銀河戦決勝トーナメント準決勝が無料プレミアで公開されました。前期優勝の藤井聡太銀河に挑むのは、杉本和陽五段です。

藤井銀河は本戦Hブロックの最終勝残者として決勝トーナメントに進み、1回戦で斎藤(明)五段、2回戦で千田七段を降しています。本局は全八冠制覇の2日後の収録だったようです。

杉本五段は2017年プロ入りの32歳です。今期は予選を勝ち上がり、本戦Bブロックで1人抜きながら最多連勝者として決勝トーナメントに進み、1回戦で豊島九段、2回戦で渡辺(和)六段を破っています。


杉本五段は三間飛車

振り駒で後手となった杉本五段が三間飛車に振り穴熊を目指すと、藤井銀河も穴熊に囲います。杉本五段が3筋の歩を伸ばすと、藤井銀河は少し時間を使って▲4六銀と上がります。杉本五段は角を4筋に引いて飛車の利きを通し、藤井銀河が5筋の歩を伸ばして銀を引かせてから▲3八飛と寄せると、△6二金寄と陣形を引き締めます。

藤井銀河が早くも30秒将棋へ

藤井銀河は▲6八角と引き、杉本五段が△3四銀と上がって3筋の歩を支えると、数分考えてから▲6七金と上がって陣形を整えます。杉本五段が少し時間を使って2筋の歩をぶつけると、藤井銀河は早くも持ち時間を使い切り、同歩と応じます。杉本五段は同角と飛び出し、藤井銀河が飛車を2筋に戻して角に当てると、△2五歩と守ります。

杉本五段の長考

藤井銀河が3筋の歩を突き捨ててから▲3五歩と銀頭を叩くと、杉本五段は9分程の残していた時間を一気に使い切り、更に考慮時間を1回使う長考で△4五歩と銀にぶつけ返します。お互いに銀を取り合ってから、藤井銀河は▲4三銀と飛車に当てつつ3筋の歩に紐を付け、杉本五段が飛車を2筋にかわすと、▲2五飛と走ります。

藤井銀河が銀捨ての強襲

杉本五段が考慮時間を使って1筋の歩を突くと、藤井銀河も考慮時間を使って5筋の歩を突き捨て、更に考慮時間を2回使って▲3二銀成と飛車の利きに飛び込みます。取ると角を素抜かれてしまうので、杉本五段は△2三飛とかわしますが、藤井銀河は▲3三歩成と追撃します。AIの評価値は87%と大きく藤井銀河に傾いています。

杉本五段の辛抱

杉本五段は考慮時間を2回使って同桂と応じ、藤井銀河が同成銀と取ると、角を見捨てて同飛と応じます。藤井銀河は飛車で角を取り、杉本五段が△3七歩成と"と金"を作ると、▲2二飛成と竜を作って飛車に当てます。杉本五段は△3六飛とかわし、藤井銀河が考慮時間を1回使って▲5三歩と垂らすと、考慮時間を2回使って△6一銀と自陣に打って辛抱します。

後手陣の穴熊を巡る攻防

藤井銀河は▲5一角と打ち込んで攻め駒を足し、杉本五段が△5三金と歩を取ると、▲4二角成と馬を作って金を追います。杉本五段は△2一歩と竜で取らせてから△5二金と引いて馬に当てますが、藤井銀河は構わず銀取りに▲5三桂と打ちます。杉本五段は金で馬を取り、藤井銀河が▲6一桂成と銀を取ると、考慮時間を使って△3一歩と竜の横利きを止めて凌ぎます。

粘りを許さない穴熊崩し

藤井銀河は成桂を金と交換してから▲8六角と出て4筋の金に当て、杉本五段が△5二金とかわすと、銀取りに▲6一金と打ち込みます。杉本五段は考慮時間を使い切って△7二銀とかわし、藤井銀河が▲7一金と寄ると、△6一銀打と粘ります。藤井銀河が▲5三歩と金頭を叩くと、これ以上の粘りは効かないと見た杉本五段は潔く投了を告げました。

まとめ

本局は対抗形で相穴熊の将棋となり、杉本五段は後手番ながら積極的な動きを見せました。藤井銀河が序盤から慎重に時間を投じて反発すると、杉本五段は長考の末に攻め合いに託し、大駒がぶつかり合う難解な中盤戦となりました。藤井銀河は銀捨てから角を奪って攻め掛かり、自陣の穴熊は無傷のまま緩みなく寄せ切り、考慮時間を4回残しての快勝となりました。
連覇を目指す藤井銀河は、次の決勝戦では丸山忠久九段と対戦します。12月23日に無料プレミアで公開されるようなので、楽しみにしたいと思います。

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