ABEMA師弟トーナメント2022 本戦準決勝第一試合
1月28日、ABEMA師弟トーナメント2022 本戦準決勝第一試合が放映されました。チーム深浦「大地球」とチーム豊川「マッスルマンモス」の顔合わせとなっています。
一局目:深浦康市九段 vs 豊川孝弘七段
両チームとも師匠が先陣を切り、プロ入り同期という2人の対決となりました。先手の深浦九段が得意の雁木に組むと、豊川七段は菊水矢倉に構えます。豊川七段が飛先の歩を交換すると、深浦九段は力強く金を上がって飛車を追い返します。深浦九段が飛先の歩を交換すると、豊川七段は銀冠に組み替えます。豊川七段が銀を引いて角の活用を図ると、深浦九段は3,4筋の歩を突き捨て▲3五角と飛び出します。豊川七段は構わず8筋の歩を合わせますが、深浦九段も2筋の歩を合わせて▲2四歩と銀頭を叩き、後手の玉頭に殺到します。豊川七段は△7四桂と打って攻め合いますが、深浦九段は▲3二金から清算し▲6四角と王手飛車を掛け、怒涛の攻めで寄せ切りました。
チーム深浦:1勝 - チーム豊川:0勝
二局目:佐々木大地七段 vs 渡辺和史五段
両チームとも弟子が登場し、三段リーグ時代から数多く対戦してきた2人の対決となりました。先手の渡辺五段が矢倉を選択し、佐々木七段は急戦調の駒組みを進めます。渡辺五段が飛先の歩を交換し、▲5六銀と前進すると、佐々木七段は△5五銀とぶつけます。渡辺五段は銀を4筋にかわしてジリジリした中盤戦となり、佐々木七段は角を小刻みに動かして△8四角と飛び出します。渡辺五段が2筋で銀交換してから▲7五歩と桂頭を狙うと、佐々木七段は持ち駒の銀を打って桂頭を守ります。渡辺五段は▲2五銀と打って後手の玉頭に攻め掛かり、▲6四角と差し出して後手陣を崩します。佐々木七段は取った角を飛車取りに△4六角と打ちますが、渡辺五段は▲2二歩成~▲2二飛成と金を食いちぎり、鮮やかに寄せ切りました。
チーム深浦:1勝 - チーム豊川:1勝
三局目:佐々木大地七段 vs 豊川孝弘七段
チーム深浦は敗れた弟子が連投します。後手の豊川七段が角道を止め、意表を突く中飛車に振ると、佐々木七段は銀冠に構えます。佐々木七段は2,3筋の歩を突き捨ててから6筋の歩を突いて角道を開けると、角を交換してから▲2四飛と走ります。豊川七段が構わず4筋の歩を突き捨て歩頭に△4五桂と跳ねて銀に当てると、佐々木七段は少し考えて桂を取り△3三角と王手飛車を掛けさせてから▲4四飛と寄って飛角交換します。佐々木七段が▲4二角~▲6四角成と馬を作ると、豊川七段も△2九飛成~△4九飛と2枚飛車で攻め込みます。2分程残していた佐々木七段が1分半程考えて▲6三歩成と踏み込むと、豊川七段は△8九飛成から先手玉に迫ります。両者時間に追われてギリギリの寄せ合いとなりましたが、最後は佐々木七段が逃げ切りました。作戦会議室では深浦九段が天を仰いで「危なぁー」と声を漏らします。
チーム深浦:2勝 - チーム豊川:1勝
四局目:深浦康市九段 vs 渡辺和史五段
両チームともこの日1勝して好調の2人の対決となりました。先手の渡辺五段が相掛かりに誘導し、深浦九段は受けて立ち、お互いに飛先の歩を交換します。渡辺五段は3筋の位を取りますが、深浦九段は金を繰り出して奪還します。深浦九段が4筋の歩をぶつけて桂交換し、更に1筋の歩もぶつけると、渡辺五段は▲9七角と覗きます。深浦九段が1筋の歩を取り込むと、渡辺五段は王手角取りに▲3四桂と打ち銀桂交換します。深浦九段は1筋に"と金"を作りますが、渡辺五段は構わず▲6四角と飛び出し、▲2一銀~▲1二銀不成と虚を取って攻め合います。お互いに時間に追われる中、激しい駒の取り合いとなりましたが、渡辺五段が飛車を取って▲6二角成と後手玉に迫ると、深浦九段は歩頭に△7五銀と打って先手玉に迫ります。深浦九段は連続王手で迫りましたが届かず、渡辺五段が逃げ切りました。
チーム深浦:2勝 - チーム豊川:2勝
五局目:佐々木大地七段 vs 渡辺和史五段
両チームとも弟子を送り出し、二局目と同じ顔合わせになりました。振り駒で先手となった渡辺五段は前局と同様に矢倉を選択し、佐々木七段も矢倉に組んで△3一角と引きます。渡辺五段が4筋の位を取ると、佐々木七段は7筋の歩を交換して△8四角と引きます。お互いに陣形の整備に戻り、佐々木七段が飛車を7筋に回すと、渡辺五段も飛車を7筋に回して備えます。佐々木七段が4筋の歩を突き捨ててから角頭を叩くと、渡辺五段は桂で取り、飛車を3筋に回して角交換します。4筋の桂を取った佐々木七段が△3三金と寄って王手飛車の筋を消し、飛車取りに△2八角と打って攻め掛かると、作戦会議室では深浦九段が「おぉ、いいねいいね」とつぶやきます。佐々木七段は馬を作って△4五馬と王手し、角と刺し違えてから飛車を取り合って先手玉に迫ります。時間に追われながら渡辺五段も粘りましたが、最後は佐々木七段が大駒の威力で寄せ切りました。
チーム深浦:3勝 - チーム豊川:2勝
本戦準決勝第一試合の結果
チーム深浦は、師匠の深浦九段が幸先良く1勝すると、弟子の佐々木七段は決着局も含めて2勝を挙げ、チーム力の高さを見せつけました。特に佐々木七段は予選1回戦に続いて最終決着局に勝ち、決勝に向け頼もしい勝負強さを魅せてくれました。深浦九段は弟子を信頼しながら自らも着実に白星を挙げ、決勝での戦いが楽しみです。
チーム豊川は、弟子の渡辺五段が獅子奮迅の活躍で、この試合でも2勝して決着を最終局に持ち越しました。予選から強敵相手に7連勝したことで、個人的にも大きな自信になったと思います。師匠の豊川七段は、この日は白星に恵まれませんでしたが、弟子の良いところを引き出す言葉から日頃の素晴らしい師弟関係を感じさせてくれたと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?