2021年度将棋大賞 記録部門状況
将棋界では年度毎に将棋大賞の表彰があります。2021年度も年度末を迎えるにあたり、今回は記録部門(対局数・勝数・勝率・連勝)の状況を確認しておきたいと思います。
■過去5年の受賞者
日本将棋連盟HPを確認すると、過去5年の受賞者は以下のようになっています(敬称略)。
2020年度
最多対局賞:永瀬拓矢(69)
最多勝利賞:藤井聡太、永瀬拓矢(44)
勝率一位賞:藤井聡太(0.846)
連勝賞 :澤田真吾(14)
2019年度
最多対局賞:佐々木大地(67)
最多勝利賞:藤井聡太(53)
勝率一位賞:藤井聡太(0.815)
連勝賞 :永瀬拓矢(15)
2018年度
最多対局賞:広瀬章人(64)
最多勝利賞:佐々木大地(46)
勝率一位賞:藤井聡太(0.849)
連勝賞 :渡辺明(15)
2017年度
最多対局賞:藤井聡太(73)
最多勝利賞:藤井聡太(61)
勝率一位賞:藤井聡太(0.836)
連勝賞 :藤井聡太(29)
2016年度
最多対局賞:千田翔太、佐々木勇気(65)
最多勝利賞:千田翔太(48)
勝率一位賞:青嶋未来、斎藤慎太郎(0.750)
連勝賞 :豊島将之、青嶋未来(12)
■最多対局賞の状況
1位 藤井聡太(64)
2位 豊島将之(58)
3位 永瀬拓矢(57)
藤井竜王が独走し、2回目の受賞となりそうです。今年度は新たに3つのタイトル戦で挑戦権を獲得し、いずれも奪取するという圧巻の1年となりました。来年度以降は予選が少なくなり、受賞は難しくなるかもしれません。2位には、タイトル戦だけで藤井竜王と14局も戦った豊島九段が入りそうです。
■最多勝利賞の状況
1位 藤井聡太(52)
2位 伊藤匠(44)
3位 服部慎一郎(42)
藤井竜王が勝数でも独走し、3年連続4回目の受賞となりそうです。来年度以降は対局数が減り、受賞は難しくなるかもしれません。新人王戦に優勝した伊藤(匠)五段と、加古川青流戦に優勝した服部四段が他の棋戦でも活躍し、ベスト3に名を連ねているのが目を引きます。
■勝率一位賞の状況
1位 伊藤匠(0.815)
2位 藤井聡太(0.812)
3位 服部慎一郎(0.778)
過去4年間藤井竜王の指定席となっていた勝率一位賞が、今年度は伊藤(匠)五段とのハイレベルな争いになりました。藤井竜王は今年度の対局を終えており、伊藤(匠)五段は3月30日にもう1局組まれているので、勝てば初の勝率一位賞、敗れると藤井竜王が逆転で5年連続の勝率一位賞となります。なお、藤井竜王の5年連続勝率8割以上は、もちろん前人未到の大記録です。これまでの連続記録は中原十六世名人と羽生九段の2年(通算でも羽生九段の3回)なので、ご本人はあまり意識されていないようですが、常識をはるかに超えた数字だと思います。
■連勝賞の状況
1位 藤井聡太(19)
2位 渡辺和史(14)
3位 西田拓也、斎藤明日斗、本田圭(12)
藤井竜王が春先に記録した19連勝で、あの29連勝以来2回目の受賞となりそうです。トップ棋士との対局が続く中での記録は、29連勝にも匹敵する大記録かもしれません。なお、渡辺(和)五段の14連勝は継続中のため、来年度の記録になる可能性があります。
※今年度の数字は2022年3月24日対局分まで(未放映のテレビ対局を除く)。出典:日本将棋連盟HP