「観る将」が観た第2期清麗戦五番勝負第四局
8月6日に行われた清麗戦第四局の感想です。ここまで里見清麗が2連勝の後、上田女流四段が1勝を返しています。あまり女流棋戦に詳しくないのですが、ヒューリック杯清麗戦は昨年から始まったタイトル戦で、里見清麗が初代清麗の座についています。里見清麗は、他にも女流名人・女流王位・倉敷藤花を保持する第一人者です。上田女流四段は女王獲得経験もある強豪で、Twitterやnoteで積極的に情報発信しています。両者の対局は過去2回にわたり名局賞特別賞を受賞する等、熱戦が多いことで知られています。
本局は里見清麗が勝った第二局と同様、居飛車対中飛車の駒組が進みます。先日日本中の注目を集めた棋聖戦第四局で、先手の渡辺棋聖(当時)が藤井七段(当時)に、第二局で敗れた矢倉の改良手順をぶつけたのと同じ心意気を感じます。しかし先に手を変えたのは里見清麗でした。第二局の序盤は先手が指せていたという判断だったのでしょうか。
この後しばらく間合いを図る手順を重ね、上田女流四段が▲4五桂から仕掛けました。里見清麗も△2四角~△5四桂と反撃し、難しい中盤戦に突入します。飛車交換後、先に▲4一飛と敵陣に打ち込んだ上田女流四段は、角を取らせる間に桂で敵玉に迫り、8-9筋から突破を図ります。里見清麗も大駒3枚で敵陣をにらみ、渾身の勝負手△5四金を放ち、手に汗握る攻防となりました。最後は両者秒読みの中、上田女流四段が▲8三桂成から殺到し、勝利を収めました。
男性棋戦のタイトル戦では、このところ相居飛車の将棋が続いていますが、本局では対抗形の攻防を堪能することができました。特に上田女流四段が、里見清麗の激しい攻めを防ぎつつ、要所で決断良く攻撃に転じた手順が素晴らしかったと思います。
かつて女流名人戦で、里見女流名人に2連勝後3連敗した経験もある上田女流四段ですが、本シリーズでは逆に2連敗後の3連勝で清麗奪取できるよう応援したいと思います。
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