第80期順位戦B級2組の展望
今期の順位戦のB級2組は、25名が参加して10局ずつ戦い、上位3名が昇級し下位6名に降級点(*)が付きます。前期は10勝0敗の藤井二冠、9勝1敗の佐々木(勇)七段に続き、7勝3敗で4人が並ぶ混戦となりましたが、順位が上の横山七段が悲願の昇級を果たしました。降級点争いも、3勝以下の5名に加え4勝6敗で6人が並ぶ混戦となっていますので、まずは5勝して昇級争いに加わりたいところです。
今期の注目棋士をリストアップしておきたいと思います。
丸山忠久九段
1990年プロ入りの50歳です。
羽生世代の一人で、名人2期を含むタイトル獲得通算3期の強豪です。前期はB級1組から降級となりましたが、昨年度竜王戦で藤井二冠を破って挑戦者決定三番勝負に進出しており、このクラスでは文句なしに昇級候補です。
深浦康市九段
1991年プロ入りの49歳です。
王位獲得3期の強豪です。解説者としては軽妙な語り口でお馴染みですが、先日は王座戦挑決トーナメントで藤井二冠の連勝を止め、地球代表と呼ばれる粘り強い棋風はまだまだ健在です。
澤田真吾七段
2009年プロ入りの29歳です。
昨年度は14連勝を記録し、将棋大賞の連勝賞を受賞しています。前期は序盤の3連敗が響き、惜しくも次点に泣きました。先日の王位リーグでは、最終局に敗れて紅組優勝を逃しましたが残留を果たしました。そろそろ飛躍が期待される俊英の一人です。
中村太地七段
2006年プロ入りの32歳です。
王座獲得経験のある中堅です。2011年度には歴代2位となる勝率0.8511を記録したこともあります。ABEMAトーナメントで羽生九段から1巡目指名を受けるなど実力は高く評価されており、更なる飛躍が期待されます。
増田康宏六段
2014年プロ入りの23歳です。
「矢倉は終わった」「詰将棋は将棋の上達には関係ない」など、過激な発言で注目されてきましたが、新人王戦2連覇の若手実力者です。昨年のAbemaTVトーナメントでは、チーム永瀬で藤井二冠とチームメイトとなり優勝を果たしています。前期B級2組から昇級したばかりで順位は低いですが、1期抜けを期待したいと思います。
高見泰地七段
2011年プロ入りの27歳です。
タイトル戦に昇格したばかりの第3期叡王を獲得した若手実力者です。長らくC級2組に在籍していましたが、2期連続昇級でB級2組に駆け上がってきました。実力を発揮できれば3期連続昇級も夢ではありません。
個人的には、谷川浩司九段や藤井猛九段にも期待しています。かつてのレジェンドたちも、ここ数年は苦戦を強いられていますが、往年の切れ味を取り戻して欲しいと願っています。
(*)降級点 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
B級2組以下のクラスでは、成績が悪くても1期で降級することはなく、成績下位の一定人数に「降級点」がつけられる。降級点はB級2組とC級1組では2つ累積、C級2組では3つ累積すると降級する。
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