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第66期王位戦挑戦者決定リーグの展望
伊藤園お~いお茶杯王位戦は、前期成績によりシードされた4名と予選を勝ち上がった8名が、6名ずつ紅白2組に分かれて挑戦者決定リーグ(王位リーグ)を戦い、優勝者同士が挑戦者決定戦を行います。挑戦者は藤井王位との七番勝負に挑むことになります。紅組と白組の組み合わせが発表されましたので、顔ぶれを確認しておきたいと思います。
紅組
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各棋戦で活躍する実力者が揃う楽しみな組み合わせとなりました。優勝の最有力候補には渡辺明九段を挙げたいと思いますが、佐々木勇気八段と佐々木大地七段も有力です。まだタイトル挑戦経験のない八代弥七段や大橋貴洸七段の躍進も楽しみです。
渡辺明九段
2000年プロ入りの40歳です。前期は挑戦者となり藤井王位に挑みましたが、自身初となる王位獲得は叶いませんでした。膝の手術の影響が気になりますが、今期も挑戦権を獲得して藤井王位との七番勝負が期待されます。
佐々木大地七段
2016年プロ入りの29歳です。王位リーグは相性が良く、前期も3勝2敗で残留を果たして8期連続の参戦となりました。第64期の挑戦者でもあり、2年ぶりとなる挑戦権獲得を目指します。
丸山忠久九段
1990年プロ入りの54歳です。今期は予選で伊藤匠叡王らを破って王位リーグ入りを果たしました。銀河戦では2年続けて藤井王位を倒して優勝するなど、数少ない藤井王位に勝ち越している棋士の一人です。挑戦権を獲得すれば、大注目の七番勝負となりそうです。
佐々木勇気八段
2010年プロ入りの30歳です。今期は予選で佐藤康光九段や高見泰地七段らを降して王位リーグ入りを果たしました。今年度は竜王戦で挑戦者となり、早くから高く評価されていた才能をようやく開花させつつある印象です。王位戦でも挑戦権を獲得し、藤井王位との熱戦が期待されます。
八代弥七段
2012年プロ入りの30歳です。今期は予選で三枚堂達也七段や行方尚史九段らを破って王位リーグ入りを果たしました。毎年高勝率を残す実力者であり、王位リーグでの活躍が楽しみです。
大橋貴洸七段
2016年プロ入りの32歳です。今期は予選で佐藤康光九段や高見泰地七段らを降して王位リーグ入りを果たしました。藤井王位とはプロ入り同期で、対戦成績も勝ち越しています。久し振りの対局を実現できれば、非常に楽しみな七番勝負になりそうです。
白組
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実績十分の実力者と好調の新鋭が集う組み合わせとなりました。優勝の最有力候補には永瀬拓矢九段を挙げたいと思いますが、レジェンド羽生善治九段や斎藤慎太郎八段も侮れません。若手成長株の一人である古賀悠聖六段の活躍も楽しみです。
斎藤慎太郎八段
2012年プロ入りの31歳です。前期は4勝1敗で紅組優勝を果たしましたが、挑戦者決定戦で惜しくも涙を飲みました。王座1期の実力者ですが、2期連続の名人挑戦以来タイトル戦から遠ざかっており、今期こそタイトル挑戦が期待されます。
羽生善治九段
1985年プロ入りの54歳です。前期は3勝2敗で残留を果たしています。今年度は勝率5割を下回り、やや精彩を欠いている印象もありますが、熱烈なファンからの声援を糧に挑戦権獲得を目指します。
永瀬拓矢九段
2009年プロ入りの32歳です。今期は予選で佐藤天彦九段や広瀬章人九段らを降して王位リーグ入りを果たしました。今年度は王座戦と王将戦で挑戦者になるなど好調で、王位戦でも挑戦権獲得を目指します。
都成竜馬七段
2016年プロ入りの35歳です。今期は予選で服部慎一郎六段や藤本渚五段ら好調の若手を破って王位リーグ入りを果たしました。独創的な棋風で知られており、リーグを盛り上げる活躍を期待しています。
古賀悠聖六段
2020年プロ入りの24歳です。今期は予選で糸谷哲郎八段や菅井竜也八段らを倒して王位リーグ入りを果たしました。期待される若手の一人であり、リーグでの躍進が楽しみです。
杉本和陽五段
2017年プロ入りの33歳です。今期は予選で藤井猛九段や深浦康市九段らを降して王位リーグ入りを果たしました。三段リーグに17期在籍した苦労人ですが、銀河戦で2期連続して決勝トーナメントまで勝ち進むなど頭角を現わしつつあります。