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ABEMA師弟トーナメント2022 予選Aリーグ2位決定戦

12月24日、ABEMA師弟トーナメント2022 予選Aリーグ2位決定戦が放映されました。チーム畠山「熱風」とチーム豊川「マッスルマンモス」の顔合わせとなっています。

一局目:畠山鎮八段 vs 豊川孝弘七段

両チームとも師匠が先陣を切ります。後手の豊川七段が角道を止めて雁木に組むと、畠山八段は矢倉の駒組みを進め3筋の歩を交換して角で取ります。豊川七段が4筋の歩を伸ばして飛車を4筋に回すと、畠山八段は1分以上考えて1筋の歩を突いて手を渡します。豊川七段が9筋を端攻めして△9七歩と垂らすと、畠山八段は角頭を歩で叩いて角交換してから9筋の垂れ歩を香で取ります。豊川七段は9筋の香の裏に歩を垂らしますが、畠山八段は飛車を5筋に回して銀を取り、飛車をぶつけて交換します。豊川七段が力強く王手銀取りに△3八飛と打ち込むと、畠山八段も▲8一飛と打ち込んで攻め合います。最後は畠山八段が間接王手竜取りから竜を取り寄せ切りました。
チーム畠山:1勝 - チーム豊川:0勝

二局目:斎藤慎太郎八段 vs 渡辺和史五段

両チームとも弟子が出陣し、練習でも指したことがないという対戦が実現します。先手の渡辺五段が矢倉を選択し、斎藤八段は急戦調の駒組みを進めます。渡辺五段が飛先の歩を交換し3筋の横歩も取ると、斎藤八段は△4四角と出て先手の飛車に圧力を掛けます。角交換後に渡辺五段が▲5六角と打ち後手陣の左右を睨むと、斎藤八段は飛車取りに△4四角と打ち直します。渡辺五段が7筋の歩をぶつけて桂頭を狙うと、斎藤八段は飛車で桂頭を守ります。渡辺五段は飛車を角と刺し違えて▲9五角と打ち、飛車を引かせて桂を取ります。渡辺五段は王手金取りに▲3五桂と打って金を剥がし、▲3四金と打ってから▲7七角と引いて流れるような手順で後手の玉頭を攻めます。防戦一方となった斎藤八段は銀を出て歩を支えますが、渡辺五段が金をタダで取り、▲5二角成と馬を作って後手玉に迫ると投了を告げました。
チーム畠山:1勝 - チーム豊川:1勝

三局目:斎藤慎太郎八段 vs 渡辺和史五段

両チームとも弟子が連投し、先後を入れ替えて再戦します。先手の斎藤八段が角換わりに誘導し、渡辺五段は受けて立ち相腰掛け銀の将棋となります。斎藤八段が▲4五桂と跳ねると、渡辺五段は銀を引き、歩で桂を取ります。斎藤八段が9筋を端攻めし、香を吊り上げて▲8三角と打ち込むと、渡辺五段は飛車を9筋に回して受け、△8四角と打って先手が香を走るのを防ぎます。難解な玉頭戦になり、渡辺五段は角を切り、桂で銀を取って攻め込みますが、斎藤八段は4筋の歩を成り捨て▲2三飛成と竜を作ります。両者時間に追われる中、渡辺五段は金香両取りに△8五桂と跳ね、取った香を角金の田楽刺しに打ちます。斎藤八段は角香交換に応じ、渡辺五段が金の両取りに△5九角と打つと、金に紐を付けつつ王手で▲9五角と打ち返します。斎藤八段は金の両取りに▲5五桂と打ち勝勢に見えましたが、渡辺五段は角取りに△9四香と走ります。斎藤八段は迷いながらも▲6五銀と攻め駒を補充しますが、渡辺五段が角を取ると金取りが残って先手玉も急に危なくなります。渡辺五段は△9七香成~△4八角成と挟撃態勢を作り、△6六桂と打って鮮やかな即詰みに討ち取りました。
チーム畠山:1勝 - チーム豊川:2勝

四局目:畠山鎮八段 vs 豊川孝弘七段

師匠同士が登場し、一局目と同じ顔合わせになります。先手の豊川七段が相掛かりに誘導し、7筋の歩を伸ばしてひねり飛車を採用します。豊川七段が6筋の歩をぶつけますが、畠山八段は構わず3-4筋の位を取ります。豊川七段が7筋の歩を突き捨ててから6筋の歩を取り込むと、畠山八段は銀で取ります。豊川七段は▲7四飛と走りますが、畠山八段は金を上がって飛車に当てます。豊川七段が迷った手つきで角取りに▲6五桂と跳ね、飛桂と角の交換になりますが、畠山八段は力強い手つきで△8九飛と打ち込みます。豊川七段は馬で金を追いますが、畠山八段は銀取りに△2六桂と打ち、竜を作って攻め立てます。豊川七段は馬を取らせる代わりに飛車を取って粘りましたが、畠山八段は丁寧に先手陣の金銀を剥がして寄せ切りました。
チーム畠山:2勝 - チーム豊川:2勝

五局目:斎藤慎太郎八段 vs 渡辺和史五段

チーム畠山は師匠がフルセットに持ち込み、連敗の弟子を送り出します。先手の斎藤八段が相掛かりに誘導し、渡辺五段は受けて立ちます。斎藤八段は2筋の歩を合わせ、渡辺五段が1分以上考えて同歩と応じると、飛車で3筋の横歩も取ります。渡辺五段は角を交換してから△3三歩と蓋をして飛車に当てますが、斎藤八段は1分程考えて▲6六角と打ち飛車に当て返します。渡辺五段が飛車を引くと、斎藤八段は飛車で7筋の歩も取ります。渡辺五段は香取りに△2八角と打ちますが、斎藤八段は9筋から端攻めします。渡辺五段は取った香を角取りに打ちますが、斎藤八段は構わず9筋の歩を成り込みます。渡辺五段は角を取って△8九角と打ち込み、△3七馬と桂を取って挟撃態勢を作ると、飛車の2筋からの突入を図って寄せ切りました。
チーム畠山:2勝 - チーム豊川:3勝

予選Aリーグ2位決定戦の結果

チーム豊川は、前の試合で自信を取り戻した渡辺五段が、本人も「自分の実力以上のものが出た」という快進撃を見せ、強敵を相手に1人で3勝してチームを予選突破に導きました。師匠の豊川七段が、一局毎に強くなる弟子の良かった点を誉めていたことも、更に自信を深める要因になっていたと思います。豊川七段も、敗れはしましたが闘志あふれる内容の将棋を魅せており、本戦での活躍が楽しみです。
チーム畠山は、師匠の畠山八段が2勝して前回優勝チームの意地を見せましたが、弟子の斎藤八段がまさかの3連敗を喫して姿を消すこととなりました。前回は歓喜の涙を流した師匠が悔し涙を流すことになりましたが、負けた弟子を責めることは一切なく、自分の中の受けて立つ気持ちや弟子に頼る気持ちを反省する姿は清々しかったと思います。

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