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第36期竜王戦決勝トーナメント1-2回戦

竜王戦の決勝トーナメントが開幕し、6月27日に1回戦、30日に2回戦が行われました。

1回戦:伊藤匠六段(5組優勝)vs出口若武六段(6組優勝)

両者は今月、順位戦C級1組で初めて顔を合わせ、出口六段が勝っています。
本局は角換わり模様の出だしから、伊藤六段が角道を止めて相雁木の将棋となります。伊藤六段が7筋から仕掛けると、出口六段は金銀を前進して受けます。伊藤六段は9筋の端攻めを絡め、角銀交換して先手陣に攻め掛かり、優勢の局面を築きます。伊藤六段は更に飛車も見捨てて攻め続けますが、出口六段は自陣に飛車を投じて粘ると、2枚の飛車を犠牲に上部脱出を図ります。伊藤六段はギリギリのところで入玉を阻止し、162手の激闘を制しました。

2回戦:大石直嗣七段(4組優勝)vs伊藤匠六段(5組優勝)

後手の大石七段が角を交換して馬を作ると、伊藤六段も筋違い角を打って馬を作ります。大石七段は飛車を9筋から浮かして中央に転回し、大乱戦になるかと思われましたが、お互いに自陣の傷を消してじっくりした中盤戦に戻ります。伊藤六段が金銀を前進して7-8筋の位を取ると、大石七段は8筋で桂を交換し、銀取りに△2四桂と打って銀桂交換します。伊藤六段が金の両取りに▲4四桂と打つと、大石七段は"と金"を作って飛車に当てます。伊藤六段は構わず馬金両取りに▲5四銀と打ち、飛車を取らせる代わりに後手の玉頭に殺到し、そのまま一気に寄せ切りました。

藤井竜王が読売新聞の取材(下記記事参照)で「七番勝負で戦いたい相手」を聞かれ、「あえて選ぶなら」と名前を挙げた伊藤六段が、まずは階段を2つ上りました。将棋ファンとしても、藤井竜王のライバルに成長して欲しい伊藤六段との同世代対決は楽しみなカードです。伊藤六段の竜王戦ドリームは、まだまだ先の長い道のりですが、期待を込めて注目していきたいと思います。


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