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「観る将」が観た第10期女流王座戦第一局

10月28日に開幕した女流王座戦五番勝負第一局を観た感想です。西山女流王座は、昨年このタイトルを里見女流四冠から奪取し、奨励会員が参加できる3つの女流棋戦タイトルすべてを保持しています。里見女流四冠にとっては、リベンジマッチとなります。女流棋界の七大タイトルを二分する両者は、これまで15回の対局があり西山女流王座が9勝6敗と勝ち越しています。ともに振り飛車党であり、どのような戦型になるのか注目されました。

里見女流四冠が紺系の落ち着いた色の着物姿で登場すると、西山女流王座は紫地に花柄の鮮やかな着物姿で登場し、女流タイトル戦らしく華やかな雰囲気で対局が始まりました。
振り駒で先手となった里見女流四冠は、初手▲5六歩と突き出し迷わず中飛車に構えます。西山女流王座も12手目に5筋に飛車を振り、相中飛車の将棋になりました。

西山女流王座は王を右に移動させ木村美濃と呼ばれる囲いに、里見女流四冠は玉を左に移動させ、途中飛車を2筋に振り直し対抗型の形になりました。互いに仕掛けるタイミングが難しい状態が続きましたが、西山女流王座の△6五歩に対して里見女流四冠は玉を7八→6八→5八→4九と戦場になりそうな左辺から右辺に移動させます。このタイミングで△4五歩と仕掛けた西山女流王座は、3-6筋の歩を突き捨て相手陣を乱すと△7九角から猛攻し寄せに入ります。里見女流四冠も相手の玉頭から反撃し、▲6二角と王手飛車取りに打った辺りではかなりの混戦模様となりましたが、西山女流王座は落ち着いて詰めろを逃れると、最後は即詰みに討ち取りました。

本局は、先手の飛車の横利きが止まった瞬間に仕掛けた西山女流王座の鮮やかな攻撃が印象的でした。里見女流四冠も懸命に粘って反撃し、あわや逆転かという見せ場を作った好局だったと思います。第二局以降も、お互いに白熱した攻防を繰り広げる熱戦を期待したいと思います。

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