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ABEMAトーナメント2024 予選Dリーグ第三試合

7月27日、ABEMAトーナメント2024の予選Dリーグ第三試合が放映されました。勝者が予選突破となるチーム佐々木「リーダー頑張ります!」とエントリーチーム「四間の流儀」の顔合わせとなっています。
※本稿は収録当時の呼称で記述させていただきます。


一局目:伊藤匠七段 vs 井出隼平五段

エントリーチームは自虐コメントを残して井出五段が出陣します。振り駒で後手となった井出五段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、伊藤七段は6筋の歩を伸ばして角道を通します。井出五段が△4四飛と飛車を差し出すと、伊藤七段は飛先の歩を交換して▲2四飛と走り、お互いに飛車を取り合います。井出五段は△2八飛と打ち込み、伊藤七段が▲1一角成と香を取って馬を作ると、△2九飛成と桂を取って竜を作り、△5六銀と捨てて金取りに△6四桂と打ち、金桂交換します。井出五段が更に金銀交換して馬を作り、△7九馬と銀を食いちぎってから△8六歩と攻め掛かると、伊藤七段は▲7七馬と引き付けて凌ぎ、時間に追われながら▲8四歩~▲8三香と反撃します。井出五段は△8七銀から先手玉に迫り、伊藤七段の王手をかわして寄せ切りました。
チーム佐々木:0勝 - エントリーチーム:1勝

二局目:佐々木勇気八段 vs 冨田誠也五段

チーム佐々木はリーダーが出陣します。先手の冨田五段が中飛車に振り、美濃囲いに構えて角を交換すると、佐々木八段は飛車を浮いて角の打ち込みに備えます。佐々木八段が△4四角と据え、7筋の歩を交換して銀を繰り出すと、冨田五段は▲8五歩と叩いて飛車を追い、▲8三角と打ち込んでから▲5六銀打と飛車を捕獲します。佐々木八段は飛車を取られる間に△3五角と出て、飛車取りに△4六銀と打ちますが、冨田五段は飛車を取らせる代わりに▲3四歩と銀頭を叩いて剥がし、▲6一角成と馬を作ってから▲8二飛と打ち込みます。佐々木八段は△8一歩~△7一歩と打って飛車を取り、冨田五段が馬で金を取って後手玉に攻め掛かると、△2九飛と王手して攻め合います。冨田五段は▲3二馬から詰めろを続け、最後は即詰みに討ち取りました。
チーム佐々木:0勝 - エントリーチーム:2勝

三局目:久保利明九段 vs 大橋貴洸七段

連勝スタートのエントリーチームはリーダーを送り出します。先手の久保九段が三間飛車に振り、相穴熊の将棋となります。大橋七段が△6四銀とぶつけて銀交換し、8筋の歩を突き捨てて飛車取りに△8七銀と打って竜を作ると、久保九段は▲8五飛~▲8三飛成と竜を作り、▲7三歩成と"と金"を作ります。大橋七段が△4一香と自陣に放つと、久保九段は"と金"で金を追ってから香を剥がします。大橋七段は成銀で金を剥がし、久保九段が角取りに▲4四銀と打つと、角を見捨てて△3二金打と埋めます。お互いに自陣に駒を埋めて剥がし合う激戦となり、大橋七段が△7七角成と桂を取って竜に当てると、久保九段は竜を諦めて▲3七角成と自陣に引き付けて粘ります。久保九段の端攻めを凌いだ大橋七段は△4五桂から先手玉に迫り、最後は鮮やかな即詰みに討ち取りました。
チーム佐々木:0勝 - エントリーチーム:3勝

四局目:伊藤匠七段 vs 井出隼平五段

両チームとも順番を変えず、一局目と同じ顔合わせになります。先手の井出五段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、伊藤七段は穴熊を目指します。千日手の気配も漂いましたが、銀冠に組み替えた井出五段が2筋の歩を交換して▲2五桂と跳ね、1筋を端攻めして桂交換し、▲2四桂と打って金桂交換し、▲2四金と畳み掛けます。伊藤七段は金銀交換してから銀の両取りに△3五桂と打ち、井出五段が▲2五歩と角頭を叩くと、銀桂交換してから角を取り合います。井出五段が▲6二角と打ち込むと、伊藤七段は△8八飛成と竜を作り、△5三角と合わせて交換し、金銀両取りに△3五桂と打ちます。井出五段は▲2三角と打って攻め合いますが、伊藤七段は金桂交換してから歩で玉頭を叩いて吊り上げ、△2五金の王手から即詰みに討ち取りました。
チーム佐々木:1勝 - エントリーチーム:3勝

五局目:伊藤匠七段 vs 冨田誠也五段

チーム佐々木は勝った伊藤七段の連投です。後手の冨田五段は四間飛車に振り、伊藤七段が穴熊を目指すと銀冠に囲います。伊藤七段が飛車を3筋に寄せて歩を交換すると、冨田五段も飛車を3筋に回して受け、角を引いて飛車が向かい合ったまま9筋を端攻めします。冨田五段は角道を通してから△9七歩と香頭を叩き、伊藤七段が桂で取ると、飛車を交換して王手桂香取りに△3九飛と打ち込みます。冨田五段は更に桂交換して金取りに△6六桂と打ち、伊藤七段が同金と食いちぎって▲9四桂と王手すると、△9三玉とかわします。伊藤七段は▲8一飛と打ち込んで竜を作り、冨田五段が△6七金と反撃すると、▲8九桂と埋めて凌ぎます。冨田五段は△8一金と埋めて粘りますが、伊藤七段は▲8二金と王手し寄せ切りました。
チーム佐々木:2勝 - エントリーチーム:3勝

六局目:久保利明九段 vs 井出隼平五段

エントリーチームは順番を変えて井出五段を送り出し、振り飛車党同士の対局となります。後手の久保九段は早々に△6四歩と突き、井出五段が四間飛車に振ると、右四間に構えて対抗形の将棋となります。井出五段は美濃囲いに構え、久保九段が穴熊を目指すと、6筋の歩をぶつけて角道を通して開戦します。久保九段が角を交換して△4四角と打ち直すと、井出五段は▲4六角と打ち、桂を交換して▲7五桂~▲8三桂成と飛車を捕獲します。久保九段は飛車を取らせる代わりに4筋の歩を伸ばして角を取り、△8五角と打って飛車と交換し、井出五段が▲8一飛と打って竜を作ると、△8九飛~△6五角と先手陣を睨みます。壮絶な玉頭戦となり形勢も大きく揺れ動く大熱戦となりましたが、最後は井出五段が入玉を果たし、久保九段は投了を告げました。
チーム佐々木:2勝 - エントリーチーム:4勝

七局目:佐々木勇気八段 vs 大橋貴洸七段

追い詰められたチーム佐々木はリーダーが出陣し、リーダー対決となります。先手の佐々木八段が角換わりに誘導し、早繰り銀で3筋から仕掛けると、大橋七段は△4五歩と伸ばして銀を追い返します。佐々木八段が5筋の歩を伸ばして銀を吊り上げ、2筋の歩を突き捨てて▲2二歩と桂頭を叩くと、取ると王手桂取りがあるので、大橋七段は桂を取らせて玉で"と金"を取ります。佐々木八段が▲1五銀と棒銀で攻めると、大橋七段は△3五銀と受け、飛銀両取りに△3七角と打ちます。佐々木八段は銀を取らせてから馬銀両取りに▲2七桂と打って銀桂交換し、▲3三銀と打ち込んで清算し後手玉を孤立させます。大橋七段は△8六桂から反撃し、飛車取りに△6八角と打ち込みますが、佐々木八段は▲3一角~▲3二飛成と後手玉に迫って即詰みに討ち取りました。
チーム佐々木:3勝 - エントリーチーム:4勝

八局目:久保利明九段 vs 大橋貴洸七段

エントリーチームは自ら不完全燃焼と言うリーダーが連投します。後手の久保九段が三間飛車に振り、大橋七段が銀冠に組むと、高美濃から銀冠に組み替えます。膠着状態になりましたが、大橋七段は桂をぶつけて交換し、久保九段が銀をぶつけて交換すると、▲5二銀と打ち込み金と交換し、▲5三金と打ち込み金交換し、▲6三金~▲6四金と飛車に当てます。久保九段が△4五歩と打って飛車を取らせる代わりに角を取ると、大橋七段は金取りに▲6四桂と打ってから▲5三歩と垂らして"と金"を作ります。久保九段が飛金両取りに△3九角と打って攻め合うと、大橋七段は飛車を取らせる間に"と金"で銀を剥がし、▲3二飛と打ってから成桂で金を剥がします。久保九段は自陣に飛車を埋めて粘りますが、大橋七段は▲6一銀から飛車を剥がして寄せ切りました。
チーム佐々木:3勝 - エントリーチーム:5勝

予選Dリーグ第三試合の結果

エントリーチームは、初出場の井出五段が2勝を挙げてチームに勢いを付けました。リーダーの大橋七段も着実に2勝を挙げてチームを予選突破に導きました。冨田五段も安定して白星を挙げており、本戦での活躍を期待したいと思います。
チーム佐々木は、3連敗スタートから伊藤七段が連投連勝で息を吹き返し、リーダーの佐々木八段もリーダー対決を制して意地を見せましたが、この日は久保九段が白星に恵まれず力尽きました。第一試合と同様、前半に黒星が先行して波に乗れませんでしたが、予選で姿を消すには惜しいチームだったと思います。

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