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ABEMA師弟トーナメント2022 予選Bリーグ2位決定1回戦

1月14日、ABEMA師弟トーナメント2022 予選Bリーグ2位決定1回戦が放映されました。チーム中田「サトーとコーヤン」とチーム杉本「味噌煮込み」の顔合わせとなっています。

一局目:中田功八段 vs 藤井聡太竜王

チーム中田は師匠が先陣を切り、楽しみにしていたと言う藤井竜王との対局が実現しました。後手の中田八段が三間飛車に振り美濃囲いに構えると、藤井竜王は穴熊を目指します。中田八段が銀冠に組み替え8筋の位を取ると、藤井竜王は一度引いた銀を▲5三銀と戻し攻めの姿勢を見せます。中田八段は△8四角と出ますが、藤井竜王は角と銀で飛車を追います。中田八段は△4八角成と馬を作りますが、藤井竜王は構わず2筋の歩をぶつけます。中田八段は2分以上考えて同歩と応じ、金取りに△6六歩と打ちますが、藤井竜王は手抜いて飛金両取りに▲2二飛成と飛び込みます。中田八段は銀を引いて金取りを防ぎつつ飛車に紐を付け、藤井竜王が金をかわすと飛車を6筋に回して攻め合います。作戦会議室では杉本八段が「ピンチじゃない?」とつぶやきますが、藤井竜王は角で桂を食いちぎり、金取りに▲6四桂と打って後手の飛車の利きを止めます。中田八段は△7五馬と引きつけて桂を取りにいきますが、一瞬の隙を突いた藤井竜王の▲7二歩の王手から飛金両取りの▲5二桂成が突き刺さります。この成桂を取ると飛車を抜かれてしまい、飛車をかわしても金をタダ取りされてしまうので、中田八段は堪らず投了を告げました。
チーム中田:0勝 - チーム杉本:1勝

二局目:佐藤天彦九段 vs 藤井聡太竜王

チーム杉本は何とじゃんけんで勝った藤井竜王が連投します。先手の佐藤九段が矢倉を選択し、藤井竜王は急戦調の駒組みを進めます。佐藤九段が5筋の位を取ると、藤井竜王は△3三桂~△4五歩と銀を追います。佐藤九段が7筋の歩をぶつけて桂頭を狙うと、藤井竜王は金を上がって受けます。藤井竜王が△6五桂と跳ねて銀桂交換し、△3一角と引いて7-8筋を睨むと、佐藤九段は▲5五銀とぶつけて銀交換します。藤井竜王が8筋の歩を突き捨て、△5七歩と垂らして先手陣を乱してから△4四銀打と角に当てると、佐藤九段は角で銀を食いちぎり▲7二銀と飛車取りに打ちます。藤井竜王は飛車をかわしますが、佐藤九段は▲5六桂から後手の中段玉に攻め掛かり、金銀を犠牲に飛車を取ると王手金取りに▲5二飛と打ち込みます。藤井竜王は金を諦めて王手を凌ぎ、金を打って竜をはじき、飛金両取りに△3九角と打ち込みます。佐藤九段は飛車を6筋に回して後手玉の挟撃態勢を作りますが、藤井竜王は歩で自玉を守り△4八銀から先手玉に迫ります。両者時間に追われる中、どちらが勝っているのかわからない大激戦になりましたが、佐藤九段が▲6五銀と後手玉を縛ると、藤井竜王が同銀と取った手が逆王手となり鮮やかな即詰みに討ち取りました。
チーム中田:0勝 - チーム杉本:2勝

三局目:佐藤天彦九段 vs 杉本昌隆八段

後がなくなったチーム中田は、流れを変えに弟子が連投します。先手の杉本八段が1筋の位を取って四間飛車に振ると、佐藤九段は穴熊を目指します。杉本八段がミレニアムに構えて4筋の歩をぶつけると、佐藤九段は2分程の長考で3筋の歩を突き捨て、8筋も突き捨ててから△7三角と上がって先手陣を睨みます。杉本八段は金を上がって備えますが、佐藤九段は飛車を3筋に回して玉頭戦を仕掛けます。杉本八段が1筋を端攻めすると、佐藤九段は金銀両取りに△3三桂と跳ねます。杉本八段は2分程の長考で構わず香取りに▲1四歩と打ち、金を取らせて▲2五同桂と端攻めをつなぎます。佐藤九段は手厚く△2二金打と補強しますが、杉本八段は後手の飛車を奪って▲6二飛と打ち込み竜を作ります。佐藤九段が△3六歩から反撃すると、杉本八段は2枚目の竜を作って攻め込みます。佐藤九段が詰めろを掛けて下駄を預けると、杉本八段は王手しますが続かず投了を告げました。
チーム中田:1勝 - チーム杉本:2勝

四局目:中田功八段 vs 杉本昌隆八段

振り飛車党同士の師匠対決となりました。後手の杉本八段が早々に居飛車を明示し、中田八段は得意の三間飛車に振り美濃囲いに構えます。弟子の将棋をイメージしてと話していた杉本八段は穴熊に囲い、8筋の歩を交換して角をぶつけます。中田八段が飛車を8筋に回して受けると、杉本八段は角を交換して△6七角と打ち込みます。中田八段は5筋の歩を伸ばしますが、杉本八段は歩を成り捨ててから飛車取りに△7八角成と馬を作り、飛車取りの先手で△7七馬と桂を取ります。中田八段は1筋を端攻めしますが、杉本八段は△5五桂と打ち、金を引かせてから△6七桂成と攻め込みます。中田八段は▲1三香成から後手陣に殺到し、馬と成桂の両取りに▲5六銀と打ちますが、杉本八段も力強く飛車取りに△8八歩成と攻め合います。馬と飛車を取り合ってから、中田八段は▲3四桂~▲1三歩成と攻め込みますが、杉本八段は王手で△1九飛と打ち込み△1三飛成と"と金"を取ります。苦しくなった中田八段が▲5五角打で間接的に後手玉を睨むと、時間に追われた杉本八段はタダで取られる位置に銀を打とうとして慌てて▲4四銀と打ち場所を変えます。中田八段の攻勢が続き、杉本八段は竜を角と刺し違えて凌ぎます。中田八段は金銀両取りに▲5一飛と打ち込み、両者時間に追われながら壮絶な戦いとなります。最後は竜を切って勝負に出た中田八段が、鮮やかに長手数の即詰みに討ち取りました。
チーム中田:2勝 - チーム杉本:2勝

五局目:佐藤天彦九段 vs 藤井聡太竜王

フルセットとなり、両チームとも頼れる弟子が出陣します。先手の佐藤九段が角換わりに誘導し、相腰掛け銀の将棋となります。藤井竜王が1分程考えて6筋の歩をぶつけ、取り込んでから飛先の歩を交換すると、佐藤九段は1分半程考えて▲4七玉と戦場から遠ざけます。藤井竜王が△6八歩と怪しく垂らすと、佐藤九段は▲5八金と寄って受けます。藤井竜王が△6九角と打ち込むと、佐藤九段は△6七銀と引いて守ります。藤井竜王が7筋の歩をぶつけて銀で取らせてから桂を交換すると、佐藤九段は▲8八角と打って凌ぎます。藤井竜王が7筋の歩を突いて銀を下がらせ△6六桂と打ち込むと、佐藤九段はやむなく▲6八金左と歩を払いますが、藤井竜王が金桂交換して角銀両取りに△8七角成と馬を作ると、堪らず投了を告げました。
チーム中田:2勝 - チーム杉本:3勝

予選Bリーグ2位決定1回戦の結果

チーム杉本は、弟子の藤井竜王が3戦3勝と獅子奮迅の活躍でチームを2位決定戦に導きました。前の試合では久し振りのフィッシャールールに不安な内容でしたが、この試合では二局目にやや劣勢と見られた終盤に逆転勝ちし、決着局では垂れ歩で一発KOという力強さを見せ、完全に感覚を取り戻したように感じます。師匠の杉本八段は前の試合を含めて4連敗と結果が伴いませんが、中盤まで優勢な局面になることが多く、1つ勝って弟子を楽にさせたいところです。
チーム中田は、師匠と弟子が1勝ずつ挙げて意地を見せましたが、決着局では弟子の佐藤九段が力尽きました。師匠の中田八段は弟子に決着局を任せたい一心で四局目に逆転勝ちし、チームとしては惜しくも敗退となりましたが満足のいく内容だったのではないかと思います。

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