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「観る将」が観た第6期清麗戦五番勝負第二局

7月24日に大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第二局が、愛知県犬山市のホテルインディゴ犬山有楽苑で行われました。先勝した福間香奈清麗が勝って防衛まであと1勝とするのか、加藤桃子女流四段が勝ってタイスコアに戻すのか、楽しみな一局となりました。


福間清麗は中飛車

挑戦者の要望で少し照明を落とした対局室に、福間清麗が淡い水色の着物と青緑の袴で入室し、加藤女流四段は濃紺の着物と山吹色の袴で入室します。後手の福間清麗は中飛車に振り、加藤女流四段が超速で銀を繰り出すと、5筋の歩を取り込んで交換します。福間清麗は4筋の歩を伸ばして銀にぶつけ、加藤女流四段が同銀と応じると、△4二角と引きます。

福間清麗が銀桂交換の駒得

福間清麗が△5五歩と打って先手の銀の退路を断ち、△3三桂と跳ねて捕獲すると、加藤女流四段は▲6六金と繰り出して5筋の歩を狙います。福間清麗は29分の熟考で銀桂交換してから5筋の歩を伸ばし、加藤女流四段が▲5五歩と蓋をすると、△1五角と飛び出します。

福間清麗の踏み込み

加藤女流四段は▲5八金と備えますが、福間清麗は飛車取りに△3七銀と踏み込みます。桂で取ると馬を作られてしまうので、加藤女流四段は飛車を1筋にかわし、福間清麗が△4六銀成と5筋の歩に紐を付けると、1筋の歩を突いて角を追い返し、飛車を4筋に回して成銀に当てます。

歩の取り合い

福間清麗が成銀で3筋の歩を取ると、加藤女流四段は金で5筋の歩を取り返します。福間清麗が5筋に歩を合わせ、加藤女流四段が次の55手目を考慮中に昼休となりました。形勢はほぼ互角、各4時間の持ち時間の内、残り時間は福間清麗が2時間30分、加藤女流四段が2時間31分と拮抗しています。

飛頭の歩の叩き

ワンピースとジャケットに着替えた加藤女流四段は、昼休を挟む20分の熟考で同歩と応じ、福間清麗が角を交換すると、桂で取り返します。福間清麗は△5四銀と歩切れを解消し、加藤女流四段が▲5二歩と飛頭を叩くと、金で歩を取ります。加藤女流四段は銀取りに▲5五歩と打ち、福間清麗が△4七歩と飛頭を叩くと、飛車を引いてかわします。

加藤女流四段が駒損を回復

中盤の難所となり、福間清麗は小刻みに時間を使って飛車取りに△3八角と打ち、加藤女流四段が飛車を4筋に寄って当て返すと、△4八歩成と"と金"を飛車に当てつつ角の利きを5筋の金に当てます。ハッとする手ですが、加藤女流四段が冷静に飛角交換してから5筋の銀を取ると、福間清麗は桂香両取りに△4九飛と打ち込みます。形勢はわずかに先手が指し易くなってきたようです。

竜飛両取りの角打ち

加藤女流四段は6筋の歩をぶつけ、福間清麗が△4八"と"とぶつけると、金で食いちぎってから竜飛両取りに▲1五角と打ちます。福間清麗が△5八竜とかわして金に当てると、加藤女流四段は▲6三歩成と王手し、玉で取らせて後手陣を乱してから▲6七銀打と金に紐を付けつつ竜に当てます。形勢ははっきり先手に傾いてきたようです。

痛烈な玉頭への桂打ち

19分の考慮で残り1時間を切った福間清麗は、△8八金と捨てる送りの手筋で△6八竜と銀を取り、加藤女流四段が▲7八金と竜の利きを止めつつ竜に当てると、△7九銀と王手を続けます。加藤女流四段は△9七玉とかわし、福間清麗が取られそうな飛車を6筋にかわすと、金取りに▲6四桂と後手の玉頭に放ちます。

懸命の粘り

この桂は後手玉が7二から逃げるのを防いでおり、タダで取れますが取ると竜を取られた後に飛車を素抜かれる筋があるので、福間清麗は金を6筋に寄ってかわします。加藤女流四段も残り1時間を切り、金で竜を取ってから▲6五金と後手玉の玉頭を押さえて詰めろを掛けると、福間清麗は△5二歩と打って逃れます。加藤女流四段は5筋の歩を成り捨てて▲5一飛と畳み掛け、福間清麗が自陣に金を埋めて粘ると、飛車を交換して金取りに▲4一飛と打ち直します。

盤石の寄せ

加藤女流四段は7筋の歩を伸ばして詰めろを続け、福間清麗が4筋に歩を打って逃れると、▲8五角と王手します。福間清麗は7筋の歩を突いて玉の逃げ道を作りますが、加藤女流四段は6一飛成と金を食いちぎってから▲8三角成と王手します。取ると詰まされてしまうので、福間清麗は玉を6筋に戻すしかありませんが、加藤女流四段は馬で飛車を取って後手玉を追い詰めます。福間清麗は持ち時間を使い切るまで考えましたが、次の手を指さずに投了を告げました。

まとめ

本局は福間清麗が積極的に仕掛けて銀桂交換の駒得となりましたが、加藤女流四段は中央に厚みを築いてバランスを保ちました。福間清麗は角と銀で先手の飛車を攻めましたが、加藤女流四段は飛車を角と刺し違え、銀を取ってリードを奪いました。福間清麗は"と金"で金を剥がして攻め込みましたが、加藤女流四段は攻め合いに転じ、後手の玉頭に桂を放った手が決め手となりました。福間清麗は懸命に粘りましたが、加藤女流四段は小刻みに時間を使って慎重に寄せ切りました。
対局後、タイスコアに戻した加藤女流四段は「私にとっては1局でも多く指せることはとても嬉しいので、また次局に向けて準備をしたいですし、体調も整えたいと思います」と話しました。やや不本意な内容だった福間清麗は「力を出しきれるように頑張りたいと思います」と話しており、次局が熱戦となるよう期待したいと思います。

大成建設杯清麗戦は大成建設が主催しています。棋譜は下記サイトをご確認ください。


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