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第52期新人王戦三番勝負第一局

10月4日、新人王戦三番勝負第一局が関西将棋会館で行われました。新人王戦は、26歳以下で六段以下の棋士、女流棋士4名、アマチュア1名、奨励会三段リーグ上位者によるトーナメント戦で、決勝のみ三番勝負が行われます。若手にとっては登竜門とも言うべき棋戦で、過去の優勝者には羽生善治九段や森内俊之九段、藤井聡太三冠らが名を連ねています。

伊藤匠四段は2020年10月にプロ入りした18歳で、藤井三冠と同年代の現時点での最年少棋士です。新人王戦は3回目の出場で、今期は準決勝で前期準優勝の齊藤優希三段を破って決勝に駒を進めました。古賀悠聖四段は2020年10月にプロ入りした20歳です。新人王戦は2回目の出場で、今期は準決勝で梶浦宏孝七段を破って決勝に駒を進めました。フリークラスからのプロデビューでしたが、準決勝の梶浦七段戦で規定を満たし、来年度はC級2組へ昇級することを決めています。

両者は公式戦では初顔合わせになりますが、三段リーグでは古賀四段が2勝1敗と勝ち越しているそうです。両者とも第4回ABEMAトーナメントに出場し、非公式戦とはいえ上位者との対局を重ねて急速に力を伸ばしたように感じます。

本局は振り駒で先手となった伊藤四段が相掛かりに誘導し、古賀四段も受けて立ちました。古賀四段が先に飛先の歩を交換すると、伊藤四段も飛先の歩を交換し▲3五歩~▲2六飛と浮き飛車にします。伊藤四段が棒銀を見せると、古賀四段は右玉に構え角交換してから△2二銀と上がって受けます。伊藤四段が更に9筋の歩を突き捨て、▲9三歩と打ったところで昼休となりました。残り時間は伊藤四段が2時間27分、古賀四段が1時間54分と30分程差がついています。

古賀四段は、昼休を挟む44分の長考で△9三同香と取ります。伊藤四段が7筋の歩も突いて攻め掛かると、古賀四段は△5四角と打って先手の桂頭を狙います。伊藤四段は飛車取りに▲9二角と打ち、この角を取らせる間に▲7三歩成で後手陣を崩し、▲5五歩と角を捕獲します。古賀四段は角で先手の銀を食いちぎり玉を引いて陣形を整えますが、伊藤四段は飛車を8筋に回して攻めをつなぎます。古賀四段は△7九角と敵陣に打ち込み攻め合いに託しますが、伊藤四段は厳しく攻め続け鮮やかに寄せ切りました。

本局は若い二人が相掛かりの最新形に挑み、終始積極的な姿勢を貫いた伊藤四段に軍配が上がりました。古賀四段には、先手番の次局での巻き返しに期待したいと思います。次世代を担う二人がしのぎを削り、好局を魅せてくれることを期待しています。

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