第5回ABEMAトーナメント エントリートーナメントの結果(関東Bブロック)
4月9日、第5回ABEMAトーナメントの最後の1チームを決める戦い、エントリートーナメントが放映されました。前週に放映されたドラフトに漏れた棋士の中から、117名が参加したエントリートーナメントを誰が勝ち上がったのか、確認しておきたいと思います。
37名が参加した関東Bブロックは、準決勝に近藤正和七段、佐々木慎七段、戸辺誠七段、黒田尭之五段の4人が勝ち上がりました。
準決勝:佐々木慎七段 vs 黒田尭之五段
先手の佐々木七段が三間飛車に振り、オールラウンダーの黒田五段は駆け引きの末、居飛車を選択し穴熊を目指します。佐々木七段が積極的に銀を前進し▲3四銀と1歩手にしますが、黒田五段は構わず穴熊を完成させます。黒田五段は△4四銀と前進して先手の銀を▲2五銀と下がらせると、△5五歩と仕掛けます。佐々木七段は手抜いて1筋から端攻めを決行します。佐々木七段が▲1四歩と垂らすと、黒田五段は飛車を5筋に回して銀取りに△5五飛と出ます。佐々木七段が歩で銀を支えると、黒田五段は歩で先手の銀を追い返します。佐々木七段は▲6二角成と馬を作って攻め込みますが、黒田五段も"と金"を作って攻め合います。最後に佐々木七段は後手玉の玉頭から攻め掛かりましたが届かず、黒田五段が即詰みに討ち取りました。
準決勝:近藤正和七段 vs 戸辺誠七段
ゴキゲン中飛車の元祖近藤七段が先手となり迷わず初手▲5六歩と突き、中飛車が得意な戸辺七段は10秒ほど考えて△5四歩と突き、珍しい相中飛車の将棋となりました。戸辺七段が美濃囲いに構えると、近藤七段は穴熊を目指します。戸辺七段は1筋の位を取り△2五桂と跳ね着々と端攻めの準備を進めますが、近藤七段が先に9筋から端攻めし香を取り合います。戸辺七段が1筋に香の2段ロケットを設置すると、近藤七段は桂取りに▲2六香と打って催促します。戸辺七段は少考で△1七桂成と飛び込み、2筋の歩を伸ばして香を取ります。近藤七段は銀をぶつけて▲6四銀と銀交換し▲6四角と飛び出しますが、戸辺七段は手堅く持ち駒の銀を打って追い返します。戸辺七段がジワジワと端を攻め突破したかに見えましたが、近藤七段も金を犠牲にして決め手を与えません。近藤七段は端から攻め立てますが、戸辺七段は丁寧に対処してから反撃し、竜を作って即詰みに討ち取りました。
決勝:戸辺誠七段 vs 黒田尭之五段
先手の戸辺七段が中飛車に振り、対抗形の将棋となりました。戸辺七段が角を交換すると、黒田五段は2枚の銀を前進して中央に厚みを作ります。黒田五段は△6五銀と出て、戸辺七段が▲5五歩と突くと△9二角と遠見の角を放ちます。戸辺七段は▲6六銀と上がってぶつけますが、黒田五段は△5六銀とかわして飛車を5筋に回します。戸辺七段は▲7七角と打って天王山の歩を支えますが、黒田五段は銀取りに△6五歩と突いて銀交換します。黒田五段が飛車を8筋に戻すと、戸辺七段は▲8三銀と打って角と交換します。黒田五段が角取りに△8八銀と打つと、戸辺七段は角銀交換を甘受し飛車との両取りを避けて▲4七金と寄りますが、黒田五段は飛桂両取りに△6八角と打ち込みます。馬を作った黒田五段はノータイムで1筋から端攻めし、△1六桂と王手し先手の玉を吊り上げます。最後は黒田五段が△4八馬と金を補充し、即詰みに討ち取りました。
黒田尭之五段のプロフィール
2019年プロ入りの25歳です。順位戦参戦2期目に昇級を果たし五段に昇段しています。昨年度は27勝17敗(勝率0.614)で、勝ち数ランキングは20位タイでした。
今大会では、松本六段、石川(陽)七段、田村七段、佐々木(慎)七段、戸辺七段を破ってエントリーチーム入りを果たしました。前回もエントリートーナメント決勝まで駒を進めており、チームのエースとしての活躍が期待されます。
エントリーチームのメンバーが決定
冨田誠也四段、折田翔吾四段(リーダー)、黒田尭之五段
関東ブロックでも関西所属の棋士が勝ち上がり、プロ入り2-3年目のフレッシュなチームになりました。リーダー決めでは譲り合う様子も見られましたが、3人は奨励会時代にも切磋琢磨した間柄のようで、チームの雰囲気も良さそうです。もちろん3人ともABEMAトーナメントは初出場ですが、フィッシャールールも浸透してきているようで、準決勝・決勝の戦いぶりを見る限り、ルールへの戸惑いは感じられません。注目を集める初めての舞台になると思いますが、伸び伸びとした将棋を魅せてくれることを期待したいと思います。
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