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2023年度升田幸三賞と名局賞の発表

4月1日、2023年度の対局を対象とした「第30回升田幸三賞・第18回名局賞」が発表されました。観る将としてはもっとも注目している表彰なので、各賞の結果を確認しておきたいと思います。


第30回升田幸三賞

升田幸三賞:伊藤匠七段(角換わり後手番持将棋定跡)
升田幸三賞特別賞:村田顕弘六段(村田システムなど)

升田幸三賞は、棋王戦第一局の後手番で持将棋に持ち込んだ伊藤七段が選ばれました。先手角換わりで驚異的な勝率を誇る藤井竜王名人対策として衝撃的でしたが、今後も研究が深められていくものと思います。
私が升田幸三賞と予想した村田システムは、特別賞の受賞となりました。これも藤井竜王名人の角換わりを避ける対策の一つの選択肢であり、現在の将棋界において藤井竜王名人とどう戦うかが命題になっていることが浮き彫りにされたように思います。

第18回名局賞

名局賞:第71期王座戦挑戦者決定戦 〇藤井聡太竜王名人 ●豊島将之九段
名局賞特別賞:第71期王座戦五番勝負第四局 ●永瀬拓矢王座 〇藤井聡太竜王名人

名局賞は、私も候補の一つに挙げた王座戦挑戦者決定戦が選ばれました。番勝負ではなかったので少し印象が薄い気がしていましたが、両者1分将棋になってからも50手以上指し続け、形勢も二転三転する死闘は、名局賞に相応しい内容だったと思います。
名局賞特別賞は、将棋界に新しい歴史が刻まれた王座戦決着局が選ばれました。選考する記者さんたちにとって、当日現地で終局近しと判断し、対局室に移動し始めた矢先に起きた大逆転劇は、相当インパクトの強い結末だったと思います。


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