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「観る将」が観た第3期清麗戦挑戦者決定戦

7月14日に第3期大成建設杯清麗戦の挑戦者決定戦が行われました。タイトル獲得通算8期で昨年度も3棋戦でタイトル挑戦を果たした加藤桃子女流三段と、2002年プロ入りの中堅でタイトル初挑戦を目指す鈴木環那女流三段との顔合わせとなりました。

鈴木女流三段はYoutubeの「森内俊之の森内チャンネル」のアシスタントを務め、「鈴木環那 タイトル戦への道」という企画で十八世名人の資格を持つ森内九段の指導を受けています。その成果もあってか今年度は11勝2敗と好調で、非常に注目される一局となりました。

振り駒で先手となった鈴木女流三段は角道を止めて雁木模様の駒組みを進め、加藤女流三段は腰掛け銀に据え右四間飛車に構えます。鈴木女流三段が▲4六銀と上がったのを見て、加藤女流三段は薄くなった相手の6筋に対して△6五歩と仕掛けます。鈴木女流三段も居玉のまま、角交換から▲8四角と攻め合いを選択します。

お互いに銀桂交換の後、鈴木女流三段は▲6六角~▲1一角成と馬を作り、加藤女流三段はその間に△4七歩成と"と金"を作ります。鈴木女流三段は取った香を飛車取りに打ちますが、加藤女流三段は手抜いて△5七桂と敵玉に迫ります。鈴木女流三段は馬を天王山に引き寄せて粘りますが、ここで加藤女流三段の△9五角と打った手が、先手玉の退路を塞ぐ決め手となりました。加藤女流三段は鮮やかな寄せを魅せ、鈴木女流三段の投了となりました。

本局は中盤から激しい攻め合いとなり一気に終盤戦に突入しましたが、タイトル戦常連の加藤女流三段が貫録を示す形となりました。加藤女流三段は対局後「里見さんといい将棋を指しつつも、欲を出して取りにいきたい気持ちがあります」と語っており、9月に開幕する五番勝負での好勝負が楽しみです。鈴木女流三段は敗れたものの他の棋戦でも好調で、近い将来タイトル戦に登場することを期待したいと思います。


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