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「観る将」が観た第32期銀河戦決勝トーナメント1回戦 藤井竜王名人vs狩山四段

11月12日に、銀河戦決勝トーナメント1回戦第4局が放映されました。Hブロックで近藤誠也七段を破って最終勝残者となった藤井聡太竜王名人と、Cブロックで6人抜きの最多連勝者となった狩山幹生四段の顔合わせとなっています。
※狩山四段は11月5日付で五段に昇段していますが、本稿では収録時の段位で記述します。

狩山四段は2021年プロ入りで、放映日が23歳の誕生日となりました。まだ目立った活躍はありませんが、永瀬九段を相手に持将棋指し直しの末に相入玉で点数勝ちしており、粘り強い棋風には定評があります。

戦型は相掛かり

振り駒で先手となった狩山四段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換して浮き飛車に構えます。狩山四段が3筋と4筋の歩を伸ばすと、藤井竜王名人は3筋の歩をぶつけて角道を通します。狩山四段は4筋の歩をぶつけ、藤井竜王名人が角で取ると、角を交換してから3筋の歩を取り込み、飛車を3筋に回します。

藤井竜王名人の馬

藤井竜王名人は△2八角と打ち込み、狩山四段が▲1八香とかわすと、△1九角成と馬を作ります。狩山四段は▲2七銀~▲3八金と後手の馬を閉じ込め、藤井竜王名人が△2三金~△4三銀と飛車に圧力を掛けると、▲2二歩と桂頭を叩きます。藤井竜王名人が△3五歩と飛頭を叩き、先手の飛車を5筋に追ってから△2二金と歩を取ると、狩山四段は▲4二角と打ち込んで後手玉のコビンを狙います。

狩山四段の馬

藤井竜王名人は△5四銀と上がって飛車の利きを止め、狩山四段が▲2四角成と馬を作ると、△3二金と寄って馬の再侵入を防ぎます。狩山四段が再度▲2二歩と桂頭を叩くと、藤井竜王名人は桂を取らせる代わりに9筋の歩をぶつけて取り込みます。狩山四段が▲9八歩と受けると、藤井竜王名人は△6六歩と取り込みます。

藤井竜王名人が歩で先手陣を攻略

狩山四段が▲6六同銀と取ると、藤井竜王名人は8筋の歩を突き捨て、△8七歩と玉頭を叩いて金で取らせ、△8五歩と継ぎ歩で空間を作って△8六歩と金頭を叩きます。狩山四段は同金と応じ、藤井竜王名人が△8五桂と跳ねると、▲8四歩と垂らして飛車で取らせ、歩頭に▲7五桂と打って銀に当てます。

狩山四段の勝負手

この桂を取ると銀を繰り出されて飛車を攻められるので、藤井竜王名人が△6五歩と銀頭を叩くと、狩山四段は銀桂交換してから更に▲7五銀打と歩頭に捨てる勝負手を放ちます。藤井竜王名人は同歩と応じ、狩山四段が同銀と上がって飛車に当てると、構わず△3八馬と金を食いちぎり、△6八銀と打ち込んで詰めろを掛けます。

粘りを許さない一気の寄せ

狩山四段は▲8五金と桂を食いちぎって詰めろを逃れますが、藤井竜王名人が同飛と金を取った手が王手で突き刺さります。狩山四段が▲8六歩と飛車の利きを止めると、藤井竜王名人は△6七金と再度詰めろを掛けます。受けが効かなくなった狩山四段は飛車を取り、藤井竜王名人の△7七金打の王手を見て投了を告げました。

まとめ

本局は狩山四段が後手の馬を封印し、馬を作って攻め掛かった辺りでは主導権を握ったかに見えました。藤井竜王名人が端攻めから歩の連打で後手陣を崩すと、狩山四段は相手の歩頭に桂や銀を打つ勝負手で後手の飛車を攻めました。藤井竜王名人は構わず先手玉に迫り、狩山四段に粘りを許さず寄せ切りました。
藤井竜王名人は2回戦に進出し、JT杯で苦杯を舐めた広瀬九段と顔を合わせます(銀河戦の収録が先だったかもしれません)。3度目の銀河戦制覇を目指す藤井竜王名人が、どのような戦いを魅せるのか楽しみにしたいと思います。

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