![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149617469/rectangle_large_type_2_435ff5cc06a09866cd47ab3bc73d0466.png?width=1200)
ABEMAトーナメント2024 本戦1回戦第一試合
8月3日、ABEMAトーナメント2024の本戦1回戦第一試合が放映されました。予選Cリーグを1位通過したチーム藤井「パイナップル」と、予選Aリーグを1位通過したチーム渡辺「ジグザグ打線」が、いきなり1回戦から激突する好カードとなっています。
一局目:青嶋未来六段 vs 渡辺明九段
チーム渡辺はいきなりリーダーが出陣します。先手の青嶋六段は向かい飛車に振り、渡辺九段が角を交換してから、相穴熊の将棋となり、両者似た様な駒組みが続きます。青嶋六段は▲2六金と繰り出し、金交換後に角も交換して▲7二角と打ち、渡辺九段が△8二飛とかわすと、▲6三角成と馬を作って銀に当てます。渡辺九段は△5三金と銀に紐を付けてから角を合わせて馬を消し、青嶋九段が▲3三歩と垂らすと、8筋の歩を突き捨ててから△7九角~△2四角成と馬を作ります。青嶋六段は飛車を3筋に回して1筋の歩をぶつけ、渡辺九段が飛車を走ると、▲2五金と打って厚みを加え、▲3三銀と打ち込んで攻め掛かります。渡辺九段は△3三馬と引き付けて粘りますが、青嶋六段は▲6四角と攻め駒を足し、▲1一金から即詰みに討ち取りました。
チーム藤井:1勝 - チーム渡辺:0勝
二局目:藤井聡太竜王名人 vs 岡部怜生四段
先勝したチーム藤井はリーダーが出陣します。先手の岡部四段は相掛かりに誘導し、藤井竜王名人が飛先の歩を交換して△8七歩と角を9筋に追うと、1筋の歩をぶつけます。藤井竜王名人は△9五歩とぶつけて角を追い、△3四歩と角道を通して交換し、△2二歩と低く受けます。岡部四段は3分を超える長考で▲4五桂と跳ね、藤井竜王名人が歩で4筋の桂を取る間に、▲1三歩成と飛び込み、香を吊り上げて▲1二角と打ちます。藤井竜王名人は8筋の歩を成り捨ててから△4三角と桂に紐を付け、岡部四段が▲2一角成と桂を食いちぎって▲1三香成と攻め込むと、△8七桂と打って香を取り、△2四香と打って飛車を追い、△7九角と打ち込んで金を取ります。大きく駒得した藤井竜王名人が△8七角成と2枚目の馬を作ると、岡部四段は投了を告げました。
チーム藤井:2勝 - チーム渡辺:0勝
三局目:羽生善治九段 vs 山崎隆之八段
連勝スタートとなったチーム藤井は羽生九段を送り出します。後手の山崎八段が9筋の位を取り、角を交換して△3三金型に構えると、羽生九段は淡々と銀矢倉に組み、飛車を5筋に回して歩を交換します。山崎八段が3筋の歩を突き捨てて△2七角と桂頭を狙うと、羽生九段も▲7四歩と桂頭を叩いて銀で取らせ、▲5四飛と歩を食いちぎります。取ると飛金両取りがあるので、山崎八段は△6三銀と引いて辛抱しますが、羽生九段は▲5二飛成と金を食いちぎり、飛車取りに▲7二金と打ち込み、後手玉の腹に▲6二角と打ち込みます。山崎八段は△6三玉と顔面受けで桂に紐を付け、△5二飛と自陣に打って金を取り合い、△8一飛と引いて馬を捕獲しますが、羽生九段は▲5五桂の王手から▲5四歩と金頭を叩いて馬を救出し、金桂交換から"と金"で銀を剥がして寄せ切りました。
チーム藤井:3勝 - チーム渡辺:0勝
四局目:青嶋未来六段 vs 山崎隆之八段
チーム渡辺はリーダーが「勝つために」山崎八段の連投に託します。駆け引きの末に相居飛車の将棋となり、山崎八段が▲3七角と回すと、青嶋六段も△7三角と転回し、お互いに菊水矢倉に組みます。青嶋六段は6筋から仕掛けて桂を取り、山崎八段が4筋で桂交換し、飛車取りに▲5五角と出て馬を作ると、△7三角と引いて飛車に当て、作った馬を△8二馬とぶつけて交換します。山崎八段が銀取りに▲6三角と打ち込み、再度馬を作って飛車に当てると、青嶋六段は飛車を見捨てて△7六香と打ち、先手陣の銀2枚を剥がして飛金両取りに△5九角と打ち込みます。山崎八段は王手で▲7一飛と打って自陣にも利かせ、玉の上部脱出を図りますが、青嶋六段は詰めろ馬取りに△5六銀と打ち、馬交換後に△5六金と竜に当てつつ先手玉の上部を押さえて寄せ切りました。
チーム藤井:4勝 - チーム渡辺:0勝
五局目:藤井聡太竜王名人 vs 渡辺明九段
追い込まれたチーム渡辺はリーダーが出陣します。先手の藤井竜王名人が角換わりに誘導し、相腰掛け銀となり4筋から仕掛けます。渡辺九段が△6四角と据えると、藤井竜王名人は▲7四歩と桂頭を叩き、銀で桂を食いちぎってから金取りに▲5一角と打ち込み、▲7三角成と角と交換して"と金"を作ります。藤井竜王名人は▲7三角~▲9一角成と香を取って馬を作り、渡辺九段が△8八歩と桂頭を叩くと、構わず▲2七香と二段ロケットを設置します。渡辺九段は△8九歩成と桂を取り、藤井竜王名人が▲2三歩成から金桂交換し、▲7三馬とぶつけて飛車と交換すると、金取りに△4九角と打ち込みます。藤井竜王名人は▲2四桂と王手してから▲4八金打と角金交換し、渡辺九段が再度△4九角と打って反撃すると、▲5八角と打って凌いでから寄せ切りました。
チーム藤井:5勝 - チーム渡辺:0勝
本戦1回戦第一試合の結果
チーム藤井は、予選から好調の青嶋六段が一局目に相手チームのリーダーを倒して勢いに乗り、リーダーの藤井竜王名人も2連勝でチームを牽引しました。予選ではやや不調だった羽生九段も豪快な将棋で白星を挙げ、優勝候補の一角として圧倒的な強さで1回戦を突破しました。
チーム渡辺は、予選では力を発揮できなかった山崎八段の連投に勝負を賭けましたが、作戦巧者のリーダーの起用が結果的に裏目となりました。残念ながらここで敗退となりましたが、チーム内の雰囲気は和やかで、特に若手の岡部四段の持ち味を存分に引き出した好チームだったと思います。