2020年度将棋大賞 升田幸三賞・名局賞予想
将棋界では年度毎に将棋大賞の表彰があります。2020年度も年度末を迎えるにあたり、観る将の観点から、升田幸三賞と名局賞の予想をしていきたいと思います。
10月に2020年度前半(4月から9月)の対局の中から候補を挙げています。
■2020年度前半の升田幸三賞、升田幸三賞特別賞候補
●棋聖戦五番勝負第二局(△5四金)
●振り飛車ミレニアム(トーチカ囲い)
■2020年度前半の名局賞、名局賞特別賞候補
●棋聖戦五番勝負第一局 渡辺棋聖(当時)vs藤井七段(当時)
●王将戦挑戦者決定リーグ 藤井二冠vs羽生九段
●棋聖戦挑戦者決定戦 永瀬二冠(当時)vs藤井七段(当時)
これらを候補に挙げた理由については、下記投稿をご覧ください。
今回は10月から3月の対局の中から、候補を挙げていきたいと思います。
■2020年度後半の升田幸三賞、升田幸三賞特別賞候補
●竜王戦2組ランキング戦準決勝 藤井二冠vs松尾八段(▲4一銀)
この手には多くのプロ棋士たちが驚愕のコメントを出していますが、遠山六段の解説がわかりやすいです。
●朝日杯本戦トーナメント2回戦 藤井二冠vs豊島竜王(△8六歩)
厳密にはまだまだ難しい状況だったようですが、両者秒読みの中、豊島竜王にとってはまさに見えないところから飛んできた強烈なフックを浴びた形になりました。藤井二冠にとっては、難攻不落の豊島竜王を初めて倒す印象的な絶妙手でした。
●NHK杯本戦2回戦 木村九段vs藤井二冠(▲4七馬)
藤井二冠が直前に放った△7八銀が起死回生の1手になるかと思われましたが、木村九段がそれを上回る絶妙手となる馬のタダ捨て中合いで勝利を決定づけました。両者30秒将棋とは思えない技の応酬は、非常に見応えがありました。
■2020年度後半の名局賞、名局賞特別賞候補
●朝日杯本戦決勝 藤井二冠vs三浦九段
今年の朝日杯では、2回戦の藤井二冠vs豊島竜王や、準決勝の渡辺名人vs藤井二冠も名局と思いましたが、やはり決勝を名局賞候補に挙げておきたいと思います。藤井二冠の王将がスルスルと敵陣まで潜り込み、最後はまた颯爽と自陣に生還していく流れは、軍記物語を観るようなドキドキ感がありました。
■2020年度の升田幸三賞、升田幸三賞特別賞予想
●竜王戦2組ランキング戦準決勝 藤井二冠vs松尾八段(▲4一銀)
この1手は羽生さんの▲5二銀に匹敵する歴史的妙手との評価もあり、升田幸三賞の大本命に躍り出たと思います。
候補に挙げた「振り飛車ミレニアム」を特別賞と予想しておきます。
■2020年度の名局賞、名局賞特別賞予想
●棋聖戦五番勝負第一局 渡辺棋聖(当時)vs藤井七段(当時)
この1局は、タイトル戦という大舞台、終盤までどちらが勝つかわからない熱戦、美しい投了図と三拍子そろった名局だったと思います。名局賞の本命と予想しておきます。
候補に挙げていませんが、叡王戦の死闘なども名局賞特別賞の候補なのかもしれません。
日本将棋連盟は、升田幸三賞と名局賞の投票を受け付けています(応募期間は3月31日23時59分まで)。私も自分の予想を投票しようと思っています。みなさまも、印象的な対局や感動を与えた妙手などがあれば、選考に参加されてはいかがでしょうか。
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