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2021年度将棋大賞 女流部門予想
将棋界では年度毎に将棋大賞の表彰があります。2021年度も年度末を迎えるにあたり、今回は女流部門の各賞受賞者を予想していきたいと思います。なお、最優秀女流棋士賞と優秀女流棋士賞については、下記記事をご参照ください。
■女流最多対局賞の状況
女流棋士の記録部門としては、対局数のみ表彰されているようです。日本将棋連盟HPを確認すると、過去5年の受賞者は以下のようになっています(敬称略)。
2020年度 加藤桃子(43)
2019年度 伊藤沙恵(46)
2018年度 伊藤沙恵(36)
2017年度 伊藤沙恵(41)
2016年度 室谷由紀(40)
3月23日対局分までの状況は、以下のようになっています。
1位 伊藤沙恵(51)
2位 加藤桃子(49)
3位 里見香奈(48)
伊藤沙恵女流名人が2位に2局の差をつけトップに立っています。まだ年度末まで残り1~2局が予定されていますが、2019年度以来4度目の女流最多対局賞を獲得しそうです。今年度の上位はここ数年の数字を大きく上回りましたが、白玲戦の新設の効果が大きかったものと思います。
なお日本将棋連盟HPでは、女流の勝数・勝率・連勝ランキングも掲載されており、3月23日対局分までの状況は、以下のようになっています。
■女流勝数ランキング
1位 里見香奈(38)
2位 伊藤沙恵(35)
3位 加藤桃子(32)
里見香奈女流四冠が2位に3勝の差をつけトップに立っています。年度末までの対局数は1~2局なので、このまま1位となりそうです。
■女流勝率ランキング
1位 里見香奈(0.792)
2位 西山朋佳(0.784)
3位 山口恵梨子(0.710)
里見香奈女流四冠と西山朋佳女流二冠が接戦となっています。里見女流四冠が1敗でもすると逆転の可能性が生じます。山口恵梨子女流二段が3位に顔を出しているのが目を引きますが、女流王座戦、倉敷藤花戦、清麗戦、女流名人戦などで活躍が目立っています。
■女流連勝ランキング
1位 里見香奈(17)
2位 西山朋佳、上田初美、塚田恵梨花(10)
里見香奈女流四冠が春先に記録した17連勝が断トツの1位となりそうです。
■女流名局賞の予想
私が観戦した女流対局は少ないので、限られた範囲での予想になりますが、以下の3局を女流名局賞候補に上げさせていただきます(敬称略)。
第3期清麗戦五番勝負第二局 〇加藤桃子女流三段 ●里見香奈清麗
加藤女流三段が積極的に攻めて優位に立ちましたが、辛抱していた里見清麗が反撃に転じて十字飛車を決め逆転模様となりました。両者の意地がぶつかり合う激しい応酬となり、形勢も揺れ動いてどちらが勝つのかわからない激闘となりましたが、落ち着いて里見清麗の攻撃を凌いだ加藤女流三段が寄せ切りました。
第3期清麗戦五番勝負第五局 ●里見香奈清麗 〇加藤桃子女流三段
先手の里見清麗が午前中から積極的に仕掛けましたが、加藤女流三段が丁寧に受け止めて反撃に転じました。優勢となった加藤女流三段は攻めを急がず、里見清麗の繰り出す厳しい攻撃に丁寧に対処し、最後は鮮やかに寄せ切りました。加藤女流三段が、ついに二強の一角を切り崩したという点でも、印象に残る名局だったと思います。
第48期女流名人戦五番勝負第四局 ●里見香奈女流名人 〇伊藤沙恵女流三段
先手の里見女流名人がいったん振った飛車を居飛車の位置に戻す工夫を魅せ、伊藤女流三段の仕掛けに強く反発して攻め込みました。伊藤女流三段が凌いで反撃すると、里見女流名人が玉頭戦を仕掛けて白熱した攻防となりました。最後は玉頭から反発した伊藤女流三段が鮮やかに寄せ切りました。9回目の挑戦で初戴冠となった伊藤新女流名人の涙も忘れられません。