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ABEMAトーナメント2024 予選Bリーグ第三試合

7月13日、ABEMAトーナメント2024の予選Bリーグ第三試合が放映されました。優勝候補のチーム永瀬「川崎家」と予選突破には2敗しかできないチーム菅井「菅井組」の顔合わせとなっています。
※本稿は収録当時の段位で記述させていただきます。


一局目:増田康宏七段 vs 丸山忠久九段

チーム永瀬は前の試合ではやや不調だったエースに先陣を託します。振り駒で先手となった増田七段が飛先の歩を交換すると、丸山九段は飛先の歩を交換してから3筋の歩を突き捨てて桂頭を狙います。増田七段は▲4五桂と跳ね、丸山九段が角を交換して△5五角と据えると、▲2八角と打って4筋の歩を支えます。丸山九段は△8八角成と銀を食いちぎり、4筋の桂も取って2枚替えとし、増田七段が▲6四角と飛び出すと、飛車を6筋に回して角に当てます。丸山九段が更に△6四桂~△5六銀と飛車を捕獲し、△2八飛と打って攻め込むと、増田七段は▲3九金と寄って飛車に当てます。丸山九段が飛車を見捨てて△5八成銀と先手玉を追い詰めると、増田七段は▲7一飛から竜を作り、▲5六角成と根元の桂を取って自玉を安全にしてから寄せ切りました。
チーム永瀬:1勝 - チーム菅井:0勝

二局目:永瀬拓矢九段 vs 菅井竜也八段

早くもリーダー対決が実現します。先手の菅井八段が中飛車に振り、銀冠から▲3六銀と繰り出すと、永瀬九段は△4四金と上がって歩を支え、3-4筋の位を確保します。菅井八段は▲6五銀とぶつけて銀交換し、▲5五金とぶつけて金も交換し、永瀬九段が△4四銀と応じると、角で食いちぎってから▲4四金と打って角金交換します。菅井八段は桂取りに▲5一角と打ち込み、永瀬九段が2筋の歩を突き捨ててから△8六飛と走ると、▲3三角成と金を食いちぎってから▲2四金と攻め掛かります。永瀬九段が歩で先手陣を乱し、△2八角の王手で金を剥がし、△8八飛成と王手で飛び込むと、菅井八段は▲5八歩~▲4九金と粘ります。永瀬九段は金交換してから竜を作り、そのまま寄せ切りました。
チーム永瀬:2勝 - チーム菅井:0勝

三局目:森内俊之九段 vs 菅井竜也八段

予選突破には後がないチーム菅井はリーダーが連投です。後手の菅井八段は三間飛車に振り、森内九段が▲4五歩と仕掛けると、四間飛車に振り直します。菅井八段が△5三銀と引いて角交換し、銀冠に組み替えてから7筋の歩をぶつけてから△7四銀と支えると、森内九段は▲8七金と金冠で備え、3筋の歩をぶつけて桂頭を狙います。菅井八段は攻防に△4三角と据えてから飛車を5筋に回し、森内九段が6筋の歩を伸ばすと、△5五銀と繰り出します。森内九段が2筋の歩を伸ばして"と金"を作ると、菅井八段は飛車を走って5筋の歩を成り捨て、△4六銀とタダ捨てしてから、金銀両取りに△5七飛成と竜を作ります。森内九段は▲7八銀打と銀を支え、▲5一飛成と竜を作り、菅井八段の△7七成桂からの猛攻を凌いで逃げ切りました。
チーム永瀬:3勝 - チーム菅井:0勝

四局目:永瀬拓矢九段 vs 菅井竜也八段

チーム菅井はチームメイトに推されてリーダーが3連投です。先手の菅井八段は中飛車に振って美濃囲いに構え、永瀬九段が△7三桂と跳ねると、飛車を7筋に回します。永瀬九段も飛車を7筋に寄せ、菅井八段が7筋の歩を交換すると、△6五桂と跳ねます。菅井八段は▲7四銀と前進し、永瀬九段が△5五角と飛び出すと、▲7三歩と飛車を追い、銀桂交換してから▲7二歩成と"と金"を作ります。菅井八段は▲7一飛成と竜を作り、▲7七角とぶつけて角交換し、永瀬九段が1筋を端攻めすると、"と金"で金や飛車を剥がして攻め込みます。永瀬九段は馬を作って粘りますが、菅井八段は慌てず着実に寄せ、最後は即詰みに討ち取りました。
チーム永瀬:3勝 - チーム菅井:1勝

五局目:増田康宏七段 vs 佐藤康光九段

チーム菅井は出番のなかった佐藤九段が出陣します。後手の佐藤九段は角を交換し、左金を△6三金と繰り出してから向かい飛車に振り、高美濃に囲います。ジリジリした駒組みが続き、佐藤九段が穴熊を目指すと、増田七段は▲4六角と据え、5筋の歩を交換して▲5五角と出ます。佐藤九段は飛車を5筋に回し、角と刺し違えてから桂取りに△4八角と打ち、増田七段が桂香両取りに▲1一飛と打つと、桂を取って馬を作り、飛車取りに△3八角と打って攻め込みます。増田七段は飛車を角と刺し違えてから▲2一飛成と竜を作り、佐藤九段が△2九飛と打ち込むと、▲3五角と打って後手陣を睨みます。佐藤九段は△5六馬と銀を食いちぎり、9筋を端攻めしますが、増田七段は▲7一"と"から9筋の香を剥がして逆襲し寄せ切りました。
チーム永瀬:4勝 - チーム菅井:1勝

六局目:森内俊之九段 vs 丸山忠久九段

羽生世代同士の重厚な対決が実現します。先手の丸山九段が角換わりに誘導しますが、森内九段は△3四歩を遅らせ、力戦調の将棋となります。丸山九段が角を交換してから棒銀で銀交換し、更に1筋を端攻めすると、森内九段は△2三金と上がって受けます。丸山九段は1筋で桂香交換し、森内九段が△2五桂と反発すると、▲3九香と打って桂成を防ぎます。森内九段が5-6筋から攻め掛かって金銀交換すると、丸山九段は▲4四角と金を食いちぎって上部から押さえつけます。森内九段は香取りに△5七角と打ち、飛車取りに△3七銀と畳み掛け、丸山九段が飛車で銀を食いちぎると、△2八飛と打ち込みます。丸山九段は金取りに▲1五桂と打って後手玉に迫りますが、森内九段は冷静に△3三金とかわして銀を入手し、△7八飛成から即詰みに討ち取りました。
チーム永瀬:5勝 - チーム菅井:1勝

予選Bリーグ第三試合の結果

チーム永瀬は、増田七段と森内九段がともに2戦2勝、リーダーの永瀬九段もリーダー対決を1勝1敗で指し分け、危なげなく予選1位通過を決めました。予選を通して3人がいずれも勝ち越しており、優勝候補として不安要素はありません。
チーム菅井は、リーダーの菅井八段が3連投の気迫を見せましたが、1勝に留まりチームに勢いをもたらすことはできませんでした。佐藤九段と丸山九段は、時間に追われての逆転負けが続き、予選を通して勝ち星に恵まれませんでした。中盤まではリードしている将棋が多く、ベテランの技は魅せてくれたと思います。

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