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ABEMAトーナメント2024 本戦1回戦第二試合

8月10日、ABEMAトーナメント2024の本戦1回戦第二試合が放映されました。予選Bリーグを1位通過したチーム永瀬「川崎家」と、予選Dリーグを2位通過したエントリーチーム「四間の流儀」の顔合わせとなっています。


一局目:森内俊之九段 vs 井出隼平五段

エントリーチームは予選で活躍した井出五段が先陣を切ります。後手の井出五段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、森内九段は銀冠に囲います。井出五段が6筋の歩を伸ばして取り込み、8筋の歩を突き捨てると、森内九段は▲5五銀とぶつけて銀交換し、▲6四歩と拠点を作ります。井出五段は角金両取りに△6六銀と打ち、森内九段が金銀交換に応じてから▲8四歩と伸ばすと、攻防に△8五金と据えます。森内九段は王手で▲8三銀と打ち込んで銀交換してから▲8六銀打で金銀交換し、井出五段が△8五歩と叩いてから△6七銀と打ち込むと、▲8四銀とタダ捨てして後手玉を吊り上げ▲6六角と王手します。井出五段は歩頭に△7五銀と捨てて防ぎ、金銀交換してから△6五歩と角に当てますが、森内九段は角を見捨てて▲7四歩と踏み込み寄せ切りました。
チーム永瀬:1勝 - エントリーチーム:0勝

二局目:永瀬拓矢九段 vs 大橋貴洸七段

早くもリーダー対決となります。先手の大橋七段が角道を止めて相雁木の将棋となり、先後同型の駒組みが続きます。大橋七段が4筋から仕掛けて銀交換すると、永瀬九段は桂取りに△5四銀打と手放します。大橋七段は歩で桂を支え、永瀬九段が8筋の歩をぶつけると、角で取ってから▲6四銀と打って攻め掛かります。永瀬九段は△6五桂と跳ね、大橋七段が▲3三桂成と桂交換してから銀取りに▲5五桂と打つと、銀で桂を食いちぎって△8四桂と据えます。大橋七段は▲6五銀と桂を取り、永瀬九段が△5五角と銀を取ると、▲6四銀打と角に当てつつ後手玉に迫ります。永瀬九段は△7六桂と捨ててから飛車を角と刺し違え、△8八角成と馬を作ってから△2二馬と引き付けて万全を図り、△3七銀と挟撃態勢を作って寄せ切りました。
チーム永瀬:2勝 - エントリーチーム:0勝

三局目:増田康宏八段 vs 冨田誠也五段

チーム永瀬は予定通り増田八段を送り出します。後手の冨田五段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、増田八段は3筋から仕掛けます。冨田五段は飛車を3筋に寄せて収め、増田八段が穴熊に組み替えると、銀冠に組み替えます。冨田五段が△9二香~△9一香と端攻めを狙うと、増田八段は3筋から反発して銀交換します。冨田五段は△4三銀と打って飛車に当てますが、増田八段は構わず▲2四角とぶつけ、飛車を取らせる代わりに角を取って馬を作ります。冨田五段は△3九飛と打ち込み、増田八段が▲5二角と攻め合うと、9筋を端攻めします。増田八段は▲6三角成と金を食いちぎり、冨田五段が△9三香打と設置すると、▲8七銀打と補強して三段ロケットの猛攻を凌ぎ、▲6一馬から即詰みに討ち取りました。
チーム永瀬:3勝 - エントリーチーム:0勝

四局目:永瀬拓矢九段 vs 大橋貴洸七段

苦しくなってきたエントリーチームはリーダーが出陣し、再びリーダー対決となります。先手の大橋七段が矢倉を選択すると、永瀬九段は急戦含みの駒組みを進めます。大橋七段は中住まいに構えて飛先の歩を交換し、7筋の歩を突き捨ててから3筋の横歩も取ります。永瀬九段は△4四角と出て飛車に当て、大橋七段が▲6八銀と引くと、角を交換して△4四角と打ち直して飛角交換し、金香両取りに△8九飛と打ち込みます。大橋七段は▲9六角と金に紐を付け、もう1枚の角を▲5六角と打ってから▲7四歩と桂頭を叩き、永瀬九段が△5五歩と伸ばして角に当てると、▲7三歩成と桂を取り、角を取らせる代わりに"と金"で飛車も取ります。永瀬九段は△6九飛と王手してから馬を作り、大橋七段が▲5三桂打から攻め込むと、△3五馬と攻防に引き付けて寄せ切りました。
チーム永瀬:4勝 - エントリーチーム:0勝

五局目:森内俊之九段 vs 大橋貴洸七段

後がなくなったエントリーチームは、ジャンケンで勝ったリーダーが連投します。先手の森内九段は相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換してから角も交換します。森内九段は4筋から仕掛けて▲4五桂と跳ね、大橋七段が△5四金と繰り出すと、▲5一角~▲7三角成と馬を作ります。大橋七段は△5七歩と玉頭を叩いてから△4五銀と桂を食いちぎり、△4六歩と銀頭を叩いてから△4五金と繰り出します。森内九段が飛桂両取りに▲6四馬と引くと、大橋七段は飛車を取らせる間に△5六金~△6六金と銀2枚と交換し、王手金取りに△5六桂と打ってから馬取りに△8五桂と畳み掛けます。森内九段は▲2四歩と合わせ、馬を取らせる代わりに▲2三歩成から連続王手で後手玉に迫りますが、時間に追われて詰ますことはできず、大橋七段が逃げ切りました。
チーム永瀬:4勝 - エントリーチーム:1勝

六局目:永瀬拓矢九段 vs 井出隼平五段

チーム永瀬は個人賞も意識してか、リーダーが決着を付けに出陣します。先手の井出五段が四間飛車に振り1筋の位を取ると、永瀬九段は穴熊を目指します。井出五段が角を交換して後手陣を乱し、▲7七角と打ち直すと、永瀬九段は銀冠に組み替え、飛車を4筋に回してから1筋の歩を突き捨てて逆襲します。井出五段は4筋の歩を交換し、▲4四同角と金を食いちぎって▲6四飛と走り、永瀬九段が△7二角と自陣角で飛成を防ぐと、銀取りに▲5四金と打ちます。永瀬九段はもう1枚の角を△5三角と打ち、井出五段が金交換してから飛角両取りに▲5四金と打ち直すと、△1七歩と垂らして攻め掛かります。井出五段は飛車取りに▲6一角と打ち込んで攻め合いますが、永瀬九段は△1七桂成と銀を取り、△1八金とタダ捨てし、そのまま即詰みに討ち取りました。
チーム永瀬:5勝 - エントリーチーム:1勝

本戦1回戦第二試合の結果

チーム永瀬は、リーダーの永瀬九段が3戦3勝でチームを1回戦突破に導きました。森内九段と増田八段も着実に1勝してチームに貢献しており、優勝候補の一角として死角はありません。次の準決勝はチーム藤井との優勝候補同士の顔合わせとなりましたので、白熱の好勝負を期待したいと思います。
エントリーチームは、リーダーの大橋七段が1勝して意地を見せましたが、井出五段と冨田五段がこの日は白星に恵まれず、残念ながら敗退となりました。エントリートーナメントを勝ち上がった3人が力を合わせ、素晴らしいチームワークを魅せてくれたと思います。

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