2023年度将棋大賞の発表
4月1日、2023年度の対局を対象とした「第51回将棋大賞」が発表されました。各賞の結果を確認しておきたいと思います。
個人表彰
最優秀棋士賞:藤井聡太竜王(4年連続4回目)
特別賞 :該当なし
優秀棋士賞 :伊藤匠七段(初)
敢闘賞 :丸山忠久九段(初)
新人賞 :藤本渚五段(初)
東京将棋記者会賞:小林健二九段、小山怜央四段
最優秀棋士賞は、順当に藤井竜王名人の4年連続受賞となりました。六冠すべてを防衛した上で名人と王座を奪取し、史上初の全八冠制覇を達成したばかりでなく、一般棋戦もJT杯を制し、他の3棋戦も準優勝と充実した1年でした。
優秀棋士賞はかなり票が割れたようですが、伊藤匠七段の初受賞となりました。竜王戦と棋王戦でタイトル挑戦し、叡王戦でも挑戦権を獲得したことが評価されたと思います。
敢闘賞も票が割れたようですが、丸山忠久九段の初受賞となりました。全八冠を獲得し、一般棋戦でも前年度から無敗を続けていた藤井竜王名人を倒し、銀河戦初優勝したことが評価されました。王座戦で健闘した永瀬拓矢九段や、2つのタイトル戦に登場した菅井竜也八段、佐々木大地七段は、惜しくも届きませんでした。
新人賞は藤本渚五段が選ばれました。加古川青流戦優勝、王位リーグ入りなど、躍進の1年となりました。
記録部門
最多対局賞 :伊藤匠七段 69対局(初)
最多勝利賞 :伊藤匠七段、藤本渚五段 51勝(ともに初)
勝率一位賞 :藤井聡太竜王名人 0.852(46勝8敗)(6回目)
連勝賞 :佐々木大地七段 15連勝(初)
最多対局賞は、伊藤七段が2位の藤本五段に9局の差を付け、初の受賞となりました。藤井竜王名人は王座戦以外のタイトル戦で予選がなかったため、55対局で5位タイでした。
最多勝利賞は、伊藤七段と藤本五段が最後までデッドヒートを繰り広げ、1位を分け合いました。藤井竜王名人は46勝で3位タイでした。
勝率一位賞は、藤井竜王名人と藤本五段が史上最高勝率(0.855)に迫る勢いでの競り合いとなりました。藤井竜王名人の7年連続8割超えは、もはや当たり前という感覚になってしまっているところが驚異的ですが、前人未到の大記録であることを付記しておきます。藤本五段は0.850でわずかに及びませんでしたが、1年を通しての高勝率は今後の活躍に期待を抱かせました。
連勝賞は、春先に15連勝を記録していた佐々木七段が逃げ切り、初受賞となりました。伊藤七段が14連勝で2位、藤井竜王名人は12連勝、11連勝、9連勝と3度の大型連勝を記録しています。
第30回升田幸三賞・第18回名局賞、女流部門の結果については、後日投稿したいと思います。