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第83期順位戦A級6回戦

順位戦A級は12月26日までに全員が6回戦を終えていますので、状況を確認しておきたいと思います。

私が注目していたのは、4勝1敗でトップを並走する佐々木勇気八段と、3勝2敗で追う増田康宏八段の対局です。先手の増田八段は相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換してから、佐々木八段が角を交換します。佐々木八段は銀取りに7筋に桂を跳ね、増田八段が構わず▲5五角と打つと、銀桂交換してから△6四銀と打ちます。増田八段が角で銀を食いちぎり、7筋に"と金"と成桂を作って金を剥がす間に、佐々木八段は銀取りに△1三角と打ち、角で銀を取って飛車に当てます。増田八段は金を犠牲に角を取って銀に当て、佐々木八段が△5九金と王手すると、取ると王手飛車があるので玉を6筋に寄ってかわします。佐々木八段は取られそうな銀をタダ捨てしてから△3三銀と上がって飛車を追い、増田八段が玉で金を取ると、銀で飛車を取ります。ここで増田八段は▲2二銀と放って後手玉の退路を狭め、この銀を取ると詰みがあるので佐々木八段は△5一銀と打って粘りますが、▲7三銀が詰めろ飛車取りの痛打となり急転直下の終局となりました。

他の対局結果は以下の通りです(左が勝者)。
 豊島将之九段 - 稲葉陽八段
 中村太地八段 - 永瀬拓矢九段
 千田翔太八段 - 渡辺明九段
 菅井竜也八段 - 佐藤天彦九段

1敗でトップを並走していた永瀬九段、佐藤(天)九段、佐々木(勇)八段がともに敗れ、増田(康)八段を含む4人が4勝2敗で並ぶ大混戦となっています。渡辺(明)九段、中村(太)八段、千田八段の3人が3勝3敗で追っています。次の7回戦では、永瀬九段vs渡辺(明)九段、佐藤(天)九段vs中村(太)八段、佐々木(勇)八段vs千田八段の対局が組まれており、7人がトップに並ぶ可能性もあります。
なお、12月13日に行われた渡辺(明)九段と千田八段の対局で、渡辺(明)九段がひざ痛のため、まだ形勢互角の中盤に投了するというハプニングがありました。渡辺(明)九段はひざの手術のため、12月19日から1月20日まで休場することが発表され、7回戦の対局は休場明けに延期されるそうです。早期回復を祈念いたします。


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