第71期王将戦挑戦者決定リーグ戦の展望
第71期ALSOK杯王将戦の、7名総当たりによる挑戦者決定リーグ戦(通称:王将リーグ)の顔ぶれが決まりました。将棋界で最も過酷なリーグと言われるだけあって、今期もそうそうたるメンバーが出揃っています。
①永瀬拓矢王座
前期挑戦者のため王将リーグからの登場です。前期は意表を突く振り飛車を採用して藤井二冠を倒し、他のプロ棋士たちを驚かせました。9月に開幕する王座戦五番勝負を控えており、竜王戦でも藤井二冠と挑決三番勝負を戦っています。順位戦も今期初めてA級に昇格し、2勝1敗と好スタートを切っています。
②豊島将之竜王
前期リーグを2位で残留し、王将リーグからの登場です。前期は永瀬王座と5勝1敗で並びましたが、挑戦者決定戦で敗れています。今期王位戦では挑戦権を獲得し藤井王位に挑みましたが、惜しくも奪取はなりませんでした。叡王戦でも藤井二冠を挑戦者に迎え、9月に決着局となる第五局が予定されています。
③羽生善治九段
前期リーグを3位で残留し、王将リーグからの登場です。前期は開幕戦で藤井二冠を破りましたが、惜しくも挑戦権獲得はなりませんでした。今期王位戦では白組優勝で挑戦者決定戦に進みましたが、豊島竜王に敗れて挑戦権獲得はなりませんでした。
④広瀬章人八段
前期リーグを4位で残留し王将リーグからの登場です。第69期の王将リーグでは、最終局で4勝1敗同士の藤井七段(当時)との対局を制し挑戦権を獲得しています。前期は最終局でそれまで全勝だった永瀬王座に土を付け、残留を果たしました。
⑤藤井聡太二冠
前期はまさかのリーグ陥落となり、二次予選で石田五段と稲葉八段を破って復帰となりました。今期は既に棋聖と王位の防衛を果たし、叡王戦でも豊島叡王に挑戦中です。竜王戦でも永瀬王座との挑決三番勝負に先勝し、あと1勝で豊島竜王への挑戦権を獲得します。前期の借りを返して自身初の王将挑戦がなるか、非常に注目されます。
⑤糸谷哲郎八段
二次予選で佐藤(慎)七段と八代七段を破り、2年ぶり6度目の王将リーグ参戦です。昨年度は棋王戦で久し振りのタイトル挑戦を果たしており、自身初の王将挑戦を目指します。
⑤近藤誠也七段
今期唯一の一次予選からの勝ち上がりです。二次予選では澤田七段、三浦九段、佐藤(天)九段を破り、第66期以来2度目の王将リーグ参戦です。プロ入り5年目でB級1組まで駆け上がった俊英で、そろそろ殻を突き破ってタイトル争いに絡んで欲しい若手の一人です。
タイトルホルダー3人が顔を揃え、A級棋士が5人という豪華なメンバー構成となりました。その中でも藤井二冠が、他のメンバーからマークされる大本命であることは間違いありません。対抗はやはり、タイトルホルダーの豊島竜王と永瀬王座でしょうか。両者とも作戦家なので、周到な準備をして藤井二冠に挑むと思われます。タイトル獲得通算100期を目指す羽生九段にも注目したいと思いますが、個人的には近藤七段が台風の目になることを期待しています。9月下旬に開幕する王将リーグで、数多くの好局が観られることを楽しみにしたいと思います。
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