第81期順位戦A級9回戦一斉対局 ~将棋界の一番長い日~
順位戦A級最終9回戦の一斉対局が、3月2日に恒例となっている静岡市の浮月楼で行われました。この日は元々の対局時間の長さに加え、名人挑戦者やA級残留者が決まる重要対局が重なることから「将棋界の一番長い日」とも言われています。今期はA級残留者はすでに確定していますが、名人挑戦者は最大5人のプレーオフの可能性が残された状態での一斉対局となりました。
対局結果(左が勝者)
藤井聡太竜王(7勝2敗) - 稲葉陽八段(4勝5敗)
両者得意の角換わりの将棋となり、序盤の工夫で稲葉八段の研究を外した藤井竜王が、駒損のギリギリと思われた細い攻めをつないでの快勝となりました。
永瀬拓矢王座(6勝3敗) - 斎藤慎太郎八段(5勝4敗)
斎藤八段が相掛かりに誘導し、中盤までほぼ互角の戦いから形勢が二転三転する熱戦となりましたが、永瀬王座が寄せ切りました。
佐藤康光九段(1勝8敗) - 糸谷哲郎八段(1勝8敗)
佐藤(康)九段が向かい飛車に振り、お互いに馬を作り合う激しい戦いとなりました。終盤まで形勢互角の大熱戦となり、最後は佐藤(康)九段が長手数の即詰みに討ち取りました。
豊島将之九段(6勝3敗) - 佐藤天彦九段(3勝6敗)
佐藤(天)九段が横歩取りに誘導し、中盤まで優勢の局面が長く続きました。豊島九段は竜を作って形勢を入れ替えると、佐藤(天)九段の猛攻をギリギリでかわして逃げ切りました。
広瀬章人八段(7勝2敗) - 菅井竜也八段(5勝4敗)
菅井八段が三間飛車に振り、お互いに金銀4枚の穴熊に囲うじっくりした戦いになりました。菅井八段が角で金を食いちぎって後手陣を崩しましたが、広瀬八段は桂香を使って先手陣の金銀を剥がして寄せ切りました。
藤井竜王と広瀬八段が7勝2敗で並び、3月8日に行われるプレーオフで渡辺名人への挑戦権を争うことになりました。先手番では28連勝中と無敵の強さを誇る藤井竜王と、秋に行われた竜王戦七番勝負では先手番で2勝を挙げた広瀬八段の戦いとなり、振り駒でどちらが先手となるのか注目されます。3月5日に新潟で棋王戦第三局がある藤井竜王に対し、5日間の短い準備期間で広瀬八段がどのような作戦を準備するのかも楽しみです。
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