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ABEMA師弟トーナメント2022 予選Bリーグ1回戦第2試合

12月31日、ABEMA師弟トーナメント2022 予選Bリーグ1回戦の2試合が一挙に放映されました。第2試合はチーム木村「シン ドラの穴」とチーム杉本「味噌煮込み」の顔合わせとなっています。

一局目:高野智史六段 vs 杉本昌隆八段

チーム木村は弟子が出陣し、公式戦では対戦のないカードが実現しました。後手の杉本八段が三間飛車に振り、高野六段は急戦含みの駒組みを進めます。杉本八段が向かい飛車に振り直し美濃囲いに構えると、高野六段は4筋の歩をぶつけて仕掛けます。高野六段が2筋の歩を突き捨ててから角交換し、▲4六角と好所に据えると、杉本八段は△3三角と打って先手の飛車が走るのを防ぎます。杉本八段は3筋の歩をぶつけて桂頭を攻めますが、高野六段は構わず7筋の歩をぶつけて後手玉のコビンを攻めます。杉本八段は桂得となりますが、高野六段も▲2二飛成と竜を作ります。杉本八段は飛車を角と刺し違えると、高野六段の角取りにも構わず玉頭の歩を取り込み圧力を掛けます。高野六段は角銀交換して▲5五角と打ちますが、杉本八段は△7三角と打ち返して角を追い、玉頭に厚みを築いて上部脱出を図ります。高野六段は角で金を食いちぎり、2枚竜で後手玉を追い、金で上部脱出を防いで即詰みに討ち取りました。
チーム木村:1勝 - チーム杉本:0勝

二局目:高野智史六段 vs 藤井聡太竜王

チーム木村は勝った弟子が連投します。先手の藤井竜王が角換わりに誘導し、相早繰り銀の将棋となります。藤井竜王が3筋から仕掛けると、高野六段は8筋を継ぎ歩で攻めます。藤井竜王は構わず銀頭を叩いて引かせると、▲6八銀と引いて自陣を整えます。高野六段が9筋の歩を突き捨ててから香を吊り上げ、歩頭に△8七角と打ち込んで攻め掛かると、作戦会議室では木村九段が「その度胸は凄いね」とつぶやいています。高野六段は角香交換の代償に竜と"と金"を作りますが、藤井竜王は2分半程の長考で6筋の歩を伸ばして桂交換し、更に1分程考えて▲1八角と遠見の角を放ちます。高野六段が△1三桂と跳ねて先手の飛車に圧力を掛けると、藤井竜王は▲4六桂と打って銀を捕獲します。高野六段も銀取りに△2三桂と打ち、藤井竜王が銀桂交換の後に銀をかわすと、△3五香と角金の田楽刺しに打ちます。時間に追われた藤井竜王は銀で香を食いちぎり▲4六角と打ちますが、高野六段が△4九銀と王手で攻め込むと、作戦会議室では杉本八段が頭を抱えます。高野六段が金銀交換して△2九竜と桂を取ると、藤井竜王はかなり慌てた手つきで竜取りに▲3八銀と打ちます。両者時間に追われる中、藤井竜王は馬を作って粘りましたが、攻め続けた高野六段が殊勲の星を挙げました。
チーム木村:2勝 - チーム杉本:0勝

三局目:木村一基九段 vs 藤井聡太竜王

連敗スタートとなったチーム杉本は、流れを変えるべく弟子が連投します。先手の木村九段が角道を止めると、藤井竜王は雁木に構えます。木村九段が菊水矢倉に構えると、じっくりした駒組みが続きましたが、飛車を4筋に回して仕掛けます。歩交換の後、木村九段が▲3七角と6筋の歩を狙うと、藤井竜王は飛車を6筋に回して紐を付けます。木村九段が7筋の歩を突き捨て桂頭を狙うと、藤井竜王は6筋の歩をぶつけて攻め合います。木村九段は1分以上考えて▲7三角成と桂を取りますが、藤井竜王は6筋の歩を取り込み、飛車と金銀の2枚替えで馬を作ります。木村九段が▲6一飛と打ち込み、馬で香を取って▲2八香~▲2九飛と後手の玉頭に戦力を集めると、藤井竜王は△5一金と打って飛車に当てます。木村九段は▲6六飛成と竜を自陣に引き付けますが、藤井竜王は△3八銀から飛車を捕獲します。藤井竜王は△6九飛と打ち込んで先手玉に迫り、上部脱出を許さず寄せ切りました。
チーム木村:2勝 - チーム杉本:1勝

四局目:木村一基九段 vs 杉本昌隆八段

何度も対戦してきたという師匠同士の対局となりました。先手の杉本八段が三間飛車に振り美濃囲いに構えると、木村九段は穴熊を目指します。杉本八段が四間飛車に振り直すと、木村九段も飛車で対抗します。杉本八段は3筋の歩をぶつけますが、両者とも放置してじっくりした駒組みが続きます。杉本八段が3筋の歩を取り込み▲6八角と引くと、木村九段は△4三銀と引いて銀交換を避けます。木村九段が6筋の歩をぶつけると、バタバタと桂と香を取り合い角交換になります。木村九段が△5五角と好所に据えると、杉本八段は飛車を角と刺し違え、▲6四角~▲7二角と2枚の角を打って攻めます。木村九段が△5九飛と打ち込むと、杉本八段は▲3六馬と引いて守りを固めます。木村九段は丁寧に先手陣の金銀と馬を剥がし、杉本八段の端攻めをを凌いで、一気に即詰みに討ち取りました。
チーム木村:3勝 - チーム杉本:1勝

予選Bリーグ1回戦第2試合の結果

チーム木村は、弟子の高野六段が一局目から連投し連勝する活躍でチームを勝利に導きました。師匠の木村九段も弟子の連勝を喜びつつ、着実に1勝してフルセットにもつれ込むことなく1位決定戦に駒を進めました。この試合で自信を付けた高野六段がチームに貢献すれば、安定した強さを見せる木村九段が率いるチームに死角はありません。
チーム杉本は、弟子の藤井竜王が先手番でまさかの黒星を喫し、師匠の杉本八段も連敗でチームに勢いをもたらすことができませんでした。このチームは絶対的なエースの藤井竜王が一人で3勝することも十分あり得るので、まだまだ予選突破の可能性はあると思います。

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