GN Athlete Interview #3 佐藤圭太
GRIT NATIONがもっとも大切にしている在り方(Value)は「進化を楽しむ(Positive attitude for transformation)」ということ。目標設定はもちろん大事だけれど、本当に高みに達する人たちはそのプロセスすらも楽しんでいる。だから僕たちはトップアスリートの生き方に学び、人々の生き様を肯定するブランドでありたい。実際にGRIT NATIONでトレーニングするアスリートへのインタビューを通じて、GRIT NATIONの思想を伝えていきたいと思います。
第三弾は東京五輪期待のスプリンター、リオデジャネイロパラリンピック4x100mリレー3位の佐藤圭太選手。
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Shoe: 僕自身はパラアスリートとしての佐藤圭太ではなく、佐藤圭太自身というか、これまでの人生で何があって、重大な分かれ道みたいなところでこっちを選んだから今ここに繋がってる。なんかそういうところも含めて話を聞かせてほしいな。
Keita:わかりました。僕でよければ!
Shoe: どんな子供だった?足を失った経緯も俺ちゃんと知らないし、子供の頃はどういう生活をしてたのかな?
Keita: 静岡の藤枝市というサッカーの街出身で、周りもみんなサッカーやってるから自然と始めてました。それがスポーツとの最初の出会いですかね。
サッカーを中学校でもずっと続けていて、15歳のときに右足のくるぶしの辺りに腫れ物ができて、最初は痛みもなかったし、整形外科で打撲と診断された。だけどその腫れ物が半年ぐらいずっとあって、痛みがちょっとずつ出てきて、病院をいろいろ回って、最終的には悪性リンパ腫と判明した。ちょうど15歳の11月ぐらいで、高校受験をしてサッカーを続けようかなと考えていた時です。そこからすぐ入院生活が始まりました。
Shoe: サッカーはその当時どれぐらい自分の人生の中で比重が高かった?
Keita: 僕はゴールキーパーだったんですけど、その時は別に職業にしようと全く思ってなかったけど、純粋に楽しいし、続けていきたいなと考えていました。
Shoe: すぐに足を切るという大きな決断ができるものなの?
Keita: 半年ぐらいですかね。11月に入院して、抗癌剤治療を3か月ぐらいやった後に方法が二つ提示された。足を残す方法と足を切る方法。
足を残す方法だと足は形としては残るんですけど、くるぶし辺りに腫瘍ができたので、かかとの骨や周りの筋肉は全部削って取らないといけない。形は残るけども、足としての機能はもう難しいからスポーツはできない。でもまあ足は残るから気持ち的にはプラスになる。
もう一つの方法が足を切って、義足をつけてしまって、リハビリをすればまたスポーツはできるし、再発の可能性が圧倒的に少ない。でもそれだと足は無くなるから気持ち的にはもしかしたら辛いものがあるのかもしれないという話だったんですね。その二つを提示されて、最終的に自分で決めないきゃいけない。
Shoe: 告げられた時はどう思うものなの?
Keita: 自分の中ではもう再発も嫌だなと思ったし、スポーツできるんだったら義足でいいかなっていうぐらい気持ちだった。やっぱり言われた当初は義足はどうなるか自分の中で全くイメージつかなかったので、ないものをイメージできない。これまでもできていたもの(=スポーツ)のイメージにつられて、足切りますと決めました。
Shoe: 15歳がする決断にしてはなかなか大変だよなと思うけど、スポーツできるだったらそっちにしますと割り切れるものがあったんだね。悲観的にはならなかった?
Keita: ああでも切った後はやっぱり悲観的になりましたね。足も痛いし、義足もやっぱり慣れないものだったので、 もうスポーツは絶対無理だなと思いましたね。
Shoe: そうして実際にスポーツをやるのはどういう展開だった?
Keita: やっぱりスポーツやるために足を切ったんだけど、義足で何か運動できるイメージが最初はなかった。とりあえずその時はスポーツの基本である走ることなのかなという漠然とした思いがあったので、とりあえず陸上部に入って、走れるようになって、他のスポーツ、サッカーとかまたできたらいいなって思いから、リハビリの延長で陸上部に入って走り始めたという感じです。
Shoe: 陸上部にも同じ境遇の奴なんていないわけだよね。それで皆んなと同じようにいきなりできていくものなの?
Keita: 半年ぐらいは歩く程度の練習ですね。もう本当にリハビリみたいな感じ。ジョギングとか始めて、ちょっとずつ走れるようになってきました。
Shoe: それでちゃんと競技になってきたのはどういうタイミング?
Keita: 練習を一年ぐらいするとある程度走れるようになっていたので、高校2年で地元の障害者のスポーツ大会があって、記念に出場してみました。その時はどっちかというと競技というよりもお遊び半分。そこに他の義足を履いた選手がいて、パラリンピックの話を聞いたり、競技らしいものに触れ始めた感じです。
Shoe: どこでギアが切り替わるというか、こんなに真剣にパラを目指すようになったの?
Keita: 高校3年間で一番楽しかったのが陸上で、これからも続けたいなという思いもあって、パラリンピックの話も聞いてやっぱり凄い楽しそうだし、憧れみたいな気持ちがあったので、そこを目指そうと思って、大学で陸上が強いところに行こうって決めましたね。そこから何かスイッチが入ったっていう感じですね
Shoe: サッカーは味方と競り合い、敵とぶつかる相対的なスポーツ。でも陸上は全然性格が違うというか、同じ体育会でも何か違うものを得ているんじゃないかと思うんだけどどう?
Keita: 陸上は基本的に自分のレーンを走るしかないんですね。いくら相手がいようと、やっぱり自分にフォーカスする時間がとてつもなく増えたなって気がします。もし相手と競ってて調子がどうとか見たり感じますけど、結局は自分のやることをやらないと相手がどうこうっていうのはもうコントロールできないので。いかに自分の準備をしてそこに臨むかっていうのが陸上だと思う。だから準備が9割ぐらいで、試合のスタートラインに立つ時には9.5割ぐらいが終わっていて、あとはもうやるだけ。
Shoe: 走るのが速いって才能ありきなのかなと思ってた。僕自身は高校生ぐらいから足が速くなっていく感覚なんてなかった。そういうもんだって思ってたんだけど、でもきっとそうじゃなさそう。身体的・技術的に向上すればタイムという形で返ってくるというか、常に階段を登ってる感覚がやっぱりあるもの?実際にどんどん速くなっていくものなの?
Keita: そうですね。本当に難しいのは練習したら確実に速くなるかっていうとそういうわけでもないんですよね。何年もベストを更新できずに、それでもやっぱり自分は自分のやってることを信じて、疑いなくできればもちろん結果はついてくると思います。
Shoe:ちなみに圭太くんのベストはいつ出た?
Keita: 僕は四年前ですね。リオパラリンピックの時です。
Shoe: 陸上やる人を尊敬するのって、俺はなんか怖くなっちゃうなって。タイムという凄く絶対的なもので測られるじゃない。圭太くんも4年間自己ベストを更新できていないことに焦ったりしない?要は自分の成長をなかなか感じられない時、どういう心持ちでやるんだろう?
Keita: 僕はリオの時に自己ベストが出たんですけど、その時にもうこれ以上は無理だな、伸びないなって思ったんですよね。リオの前からずっと腰が痛くて、それを高谷さん(高谷温子 GRIT NATION Performance Therapist)に診てもらって動きを良くして貰ったら、痛みが凄く少なくなった。それでリオに臨んでベストが出たんですけど、 その時に昔のようにがむしゃらにウェイトトレーニングをしてたらダメだなと感じた。良い動きを徹底して体に覚えさせて、身体を変えていく。東京までの4年間で結果はしばらく出なくていいから、リセットして新しい動きを習得して、東京で結果が出ればいい。
Shoe: なるほどね。これまでの延長線上ではもう成長がないから、積み上げてきたものを一旦否定するというか、それを捨てて新しいことを今作ろうとしてるから、すぐに結果がでなくても覚悟してやってるということなのね。
Keita:もちろん結果が出ないのは辛いので、少しポイントポイントでは自分でご褒美を作ってますね。
Shoe: 例えばどんなもの?
Keita: これがちょっと良くなったらおいしいもの食べに行こうとか、それぐらいの感じなんですけど。長いこと負け試合を続けることになるから、それだとやってて苦しくなるので、 ポイントポイントで自分を甘やかしてますね。
Shoe: 今までのやり方を捨てる覚悟、結果が出なくてもやめない信念、でもこれを続けるの大変だからちゃんと自分にご褒美を意識的にあげようというのが、頑張り続けるコツなのかな。
一年の中で調子の上げ下げみたいなことは意図的にやるところもあるの?
Keita: はい。そこはコーチと話して、来シーズンをどういう風にしようと考えて計画します。捨て試合を作るっていうのは大事だよって話はよくしますね。目の前のことに一喜一憂しないでやるべきことをやって、ちゃんとピークで結果を残すというところですね。
Shoe: そうすると今で言うと東京五輪の8月にピークを迎えるようなこのプランが組んであるってことなんだね。それって1年単位で考えるの?
Keita: 僕の場合は4年で考えています。選手によっては計画の中で丸々1年試合に出ないという選択をする人も。ピークに行くために休むのが必要な1年だよねっていう考え方もある。
Shoe: きっと正解なんてない世界だよね。結果を出したやつが正解になっていく。東京五輪という花火の先に何を見るの?
Keita: 義足って大体50万ぐらいするんですよね。僕が義足で走り始めたのも、たまたま僕は入院していたところの担当してくれた看護師さんがモニターみたいな形で、義足を使っていいよっていう形でくれたんですね。その偶然がなければ50万とか払わないので、たぶん走ることなんてなかったし、スポーツを通じて幸せな人生を歩んでこれなかったと思うんですよね。そういう不確実をなくしたいというか、ちゃんと組織化して足がなくても誰もがちゃんと走れるような状態は作れるようにしたいなって思ってます。
僕の人生の中で一番引っ掛かってるのが、足を切ることになった時に、僕自身はあっけらかんとしてるのに、親や周りの人が凄く悲しんだ。何でそんな泣くんだろうと思ったんですけど、彼らは足がないこと、障害を負うことに対して凄くネガティブなイメージがあって、かわいそうとか不幸な人生になるみたいな思いを持ったと思うんですよね。それは今までその人たちが歩んできた人生の中で見てきた社会の結果だと思うんですけど。その姿を見て、僕自身も悲しみ、彼らも悲しみ、そういうものを失くしていきたいなと思いますね。
たぶん今は周りが僕を見ても不幸そうだなって思わないと思うんですよね。足がなくてもアクティブに活動して挑戦して、人生を歩んでる人達が当たり前にいれば、そういうネガティブな感じはなくなる思う。今までは障害持っててもアクティブな人を見る機会が凄い少なかったと思うんですけど、パラリンピックが注目されて、今ではCMとか色んなメディアで扱われるようになった。僕自身も足がなくなっても、障害があっても、こんな感じで普通に楽しく生きていけるんだと示しながら、ネガティブなものがない社会を作っていきたいなという思いはあります。
Shoe: 本当その通りだよね。オリンピック・パラリンピックという区分けも何か今ひとつ俺自身しっくり来てない。一個の中でやっちゃえばいいのになって。かつパラリンピックの中には別に健常者だろうが障害者だろうがほぼ同じ条件でできる種目って結構あったりするじゃない?何かそういうものは別に入り交じってやったらいいじゃんと。 義足のスプリントとか義足のスキーとかはもうエクストリームスポーツに近いから、もっとショーとして華々しく見れたら面白いし、大会としての線引きはいらないじゃないかな。
Keita: やっぱりパラスポーツであったり、パラリンピックという言葉がフューチャーされればされるほど、そこに乖離を感じますね。
Shoe: そうだよね。健常者と障害者の世界じゃないじゃない、これから来る曖昧な世界ってさ。多分その境目がグチャッとなってる方がいいよね。
Keita: 僕自身もパラ陸上をやってる認識が全然なくて、陸上競技をやってる認識なんですよね。練習仲間は健常者ばかりで、日本選手権決勝に残るレベルの選手もいて、 病院の話の中で「圭太さんって手術したことありましたっけ?」と言われて、あとからその選手は「そうかそうか」と思い出したんですけど、やっぱりその選手にとって別に僕が義足だってことがもうある意味関係ないように見えて、僕は凄い嬉しかったですね。 でもそういうもんなんじゃないかなと感じはしてますね。
Shoe: そうだよね。極端に可哀想がる必要なんてなくて、個性の一つっていう話だよね。そうなっていってほしいというよりも、なるような気がする。僕は今日の話を聞いたから、次に見る君の走りを凄く意味のあるものとして見る気がするんだよね。 それって実は本質的に君が速いとかはあんまり関係がないところ。佐藤圭太はなぜ走るのか、何を思って、何を変えようとしているのか、その物語を知っていたらもっと面白さが増す。
世界に自分の姿を晒す道を選んだのであれば、本質の追求と、それを世の中に伝えていくってことは同じぐらいの温度でやった方がいい。アスリートもそうじゃない人も、自分の生き方に凄く価値を感じて、多くの人に伝えていくようになったらいいな。でも一人一人の力は限られているから、僕たちGRIT NATIONは一つのプラットフォームになって、僕たちが得意なことと選手が得意なことが合わさって世の中的な価値を増幅していくみたいなことをやりたいな。インタビューだったのに俺の話ですね。最後に洋服の話をするけど、普段困ることってある?
Keita: 義足を頻繁に外すので、タイトなボトムは履けないかな。ジャージー生地とか伸びるものが好きです。
Shoe: 上半身は?スプリンターって結構マッチョな人が多いよね。
Keita: 結局胸まわりで合わせると丈が長いとか常々そんな感じです。ワイシャツとかきちんとした格好をするときは大変ですね。
話を聞けば聞くほど彼のことが好きになっていくような不思議な時間でした。佐藤圭太選手のアスリートとしての道の歩き方や、どんな世界を目指しているかという大義を聞くことのできる貴重な時間となりました。
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